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模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉
By 宮部 みゆき

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  • Amazon.co.jp ランキング: #17963 / 本
  • 発売日: 2001-03
  • 版型: 単行本
  • 701 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
公園のゴミ箱から発見された女性の右腕、それは史上最悪の犯罪者によって仕組まれた連続女性殺人事件のプロローグだった。比類なき知能犯に挑む、第一発見者の少年と、孫娘を殺された老人。そして被害者宅やテレビの生放送に向け、不敵な挑発を続ける犯人――。が、やがて事態は急転直下、交通事故死した男の自宅から、「殺人の記録」が発見される。事件は解決するかに見えたが、そこに、一連の凶行の真相を大胆に予想する人物が現れる。死んだ男の正体は? 少年と老人が辿り着いた意外な結末とは? 宮部みゆきが“犯罪の世紀”に放つ、渾身の最長編現代ミステリ。

内容(「BOOK」データベースより)
炎上しながら谷底へ落ちていく一台の車。事故死した男の自宅には、数々の「殺人の記録」が。事件を操る真犯人の正体は…!?あまりに切ない結末!魂を抉る驚愕と感動の三千五百五十一枚。

内容(「MARC」データベースより)
炎上しながら谷底へ落ちていく一台の車。事故死した男の自宅には、数々の「殺人の記録」が。事件を操る真犯人の正体は…? あまりに切ない結末、魂を抉る驚愕と感動の長篇ミステリー。


カスタマーレビュー

今頃よみました。3
現実の世界でも犯罪が発生したとき、マスコミは被害者の痛みを掬い上げることはできず、言葉を弄して薄っぺらな事件の解釈を垂れ流すだけ。被害者家族は無視され、無責任な一般大衆の好奇心の恰好の餌食にされ、二重三重に傷ついていく。その上、マスコミは派手やかな犯罪者を時代の寵児に祭り上げもする。そんな危うい時代風潮がこの小説の背景にある。

駆け出しのジャーナリスト滋子は、事件のルポを週刊誌に掲載しつつどうしても行き詰って書けないのは所詮事件が彼女にとって他人事だからだと、被害者の祖父有馬から看破されてしまう。滋子はおそらく作者の物書きとしての分身だろう。たとえこの作品がフィクションであっても犯罪小説を書く人間として、被害者の側の気持ちを掬おうとする作者の真摯さがうかがえた。

翻って犯罪者の心理については、浩美の心理に深く分け入っいるわりに、ピースの実像は見えにくい。最後に彼の生い立ちが暴露されるが、それがどう彼を犯罪に駆り立てたのかがわかりづらい。

さらに難を言えば、ピースが華々しくマスコミに登場してから、警察もジャーナリズムも彼に疑いの目をむけ彼の裏側を暴こうと動きだすまでに時間がかかりすぎた。信じがたいくらいのろい。大きな手がかりとなるはずの「声」の問題もほったらかしで、なんともじれったい。ピースの特殊な立場が目くらましになって、彼への関心がずれてしまうという理由はあるにせよ、あんまりだ。大団円もあっけなく真犯人をつきとめるまでのサスペンスがまったく機能していない。

ただミステリーとしてはイマイチだけれど、有馬、真一、滋子、樋口めぐみ、高井、浩美らの人物造形は素晴らしく読みごたえがあった。

それでも輝く宮部の優しさ5
全部を通読しての感想なので,上下巻両方のレビューに同内容で投稿させてもらいました.

多くの人が書かれているように,物語世界の全体を俯瞰するためとはいえ長過ぎると思いますし,所謂「犯罪小説」が好みの人には登場人物のキャラクターや最後の真犯人の稚拙さが納得できないかもしれません.また,やはり「火車」を超えていないと言われたら,そうかもしれないとも思います.でも,それなら読むに価しないかと問われたら,やはり読む価値は有ると思うのです.ちょっと甘いかもしれませんが,5つ星にしたのはそのためです.

最近巷に溢れる犯罪小説の犯人は頭が良くてスマートな人間が多くなってきました.でも,彼等が散々に猟奇的犯罪を犯した挙げ句に「だから人間の本質は残酷なのだ」みたいな㡊??とを言われても,本当にもう結構という気しかしないのです.いつからか犯罪者がヒーローのように扱われる本が巷に溢れているのに違和感を感じるーーそういう感覚を持っている人になら,この本は絶対にお勧めできます.

その意味で,本書の山場は前畑が真犯人と直接対決をするところではなくて,有馬義男と真犯人が電話を挟んで対峙するあのシーンにあると思うのです.連続殺人者でありながら自らの知性と正義に耽溺する真犯人に対し,「それでも犯罪者は愚かだ」と叫び,反駁し,論破してくれる彼の2ページに渡る台詞こそが,作者の書きたかった言葉なのではないでしょうか.

最初に述べたような箇所で批判するのは易しいでしょう.それでも私は,特に最後の50ページは,読む価値が有ると思うのです.

おもしろい、というには・・・5
あまりにも残虐、あまりにも悲痛。そしてこれを読む読者自身がその残虐な舞台の観客であるとしたならば。思い知らされるのは他人事としてこの小説を楽しんでいる他ならぬ自分自身の愚かさ。関係ない人物までスポットを当てたせいでストーリーが冗長になっているという意見があるが、それは作者がある登場人物に語らせる“殺されたのは取り替えのきく部品などではない、ひとりひとり大切な人間なのだ”という叫び、そこに至る綿密なプロセスではないのか。そしてそれこそがこの物語の最も重要なテーマではないか。犯人の犯罪に至る心理の説明が不十分とも言われるが、優先されるべきは、重要なのは、決して犯罪心理の解明などではない。私はそう思いたい。