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神秘のモーツァルト

神秘のモーツァルト
By フィリップ ソレルス

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  • 発売日: 2006-12
  • 版型: 単行本
  • 335 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
神が与えた天才モーツァルトの謎と神秘に挑む!
モーツァルトとは何者か? なぜこれほど我々を熱狂させるのか? 鬼才ソレルスは残された膨大な書簡と音楽を横断し、その言葉もまた「モーツァルトの音=謎」を追って心地好いまでに疾走し、秘密に至る。

内容(「MARC」データベースより)
モーツァルトの神秘においては、すべてが叡智であり美である-。モーツァルトがモーツァルトでありつづける秘密とは何か? 生誕250年の掉尾を飾る、鬼才ソレルスが挑む天才の謎と神秘。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ソレルス,フィリップ
1936年、フランスのボルドーに生まれ、21歳で短篇小説『挑戦』(57)、ついで長篇『奇妙な孤独』(58)で華麗なデビューを果たす。60年、「テル・ケル」の創刊に参加、同時に前衛的小説『公園』(61)でメディシス賞受賞、以後『ドラマ』(65)から『天国』(81)にいたる諸作を発表

堀江 敏幸
1964年、岐阜県生まれ。明治大学教授。『おぱらばん』で1999年、三島由紀夫賞、『熊の敷石』で2001年、芥川賞、「スタンス・ドット」で2003年、川端康成文学賞、同作所収の『雪沼とその周辺』で2004年、谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、『河岸忘日抄』で2005年、読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

モーツァルトに魅せられたソレルスの鮮やかな手つきと、堀江敏幸の訳文に魅せられる!5
 モーツァルトは大のフランス嫌い。ザルツブルク大司教の支配から逃れるためにパリで就職活動をするも、七歳の頃はちやほやした貴族たちに見向きもされず(音楽を理解しない“けだものや動物ども”)、折しも失恋のどん底にいて、母親まで病死してしまうのだから。そんなモーツァルトが生粋のフランス知識人の手にかかったら、こんなスリリングな本になりました。
 有名なエピソードの数々を、構造主義的に並べるソレルスの手つきは実に鮮やかで、特にオペラを語るところは魅力的。「イドメネオ」で息子を生贄にしようとする父王は、大司教に屈服し、息子の才能を犠牲にしようとする父レオポルトに喩えられる。一命をとりとめ、結婚の自由を得る王子イダマンテはモーツァルトだ。「後宮からの誘拐」ではヒロイン・コンスタンツェを後宮から救うベルモンテは、コンスタンツェ・ウェーバーを母親から救って結婚するモーツァルトに重ねられ、トルコの太守から自由になろうとするコンスタンツェもまたモーツァルトだ。「フィガロの結婚」の伯爵はドン・ジョヴァンニにバージョンアップし、フィガロはレポレロに、いたずら好きな女中スザンナは「コジ・ファン・トゥッテ」で千人斬りの女中デスピーナに成長する。「コジ〜」がなぜ絵空事だって言うんだろう、モーツァルト自身もウェーバー姉妹ふたりを愛したのに……まるで五線譜に向かうモーツァルト本人のように軽やかで楽しげだ。
 いたずらにモーツァルトを茶化すわけではない。ソレルスは途中何度も、CDをかける。書を捨てよ、モーツァルトに耳を傾けろ、というわけだ。K304、310、406、516、478、475、457、550(短調好き?)そしてクラリネット五重奏曲にクラリネット協奏曲!ドイツ占領下のフランスでラジオから流れる「魔笛」を聴いた六歳児は、すっかりモーツァルトに魅了されたのだ!
 堀江敏幸の訳文にも一頁目から魅せられる。

ソレルスによるアマデウスへのオマージュ5
これまでソレルスよりはその細君・ジュリア・クリステヴァのほうを熱心に読んできた。どちらもよく分からなかったが(因みに、いまもこの2人夫婦ですよね?)

今回、モーツァルトイヤーより少し遅れて、本書をひもといてみた。読んでいてシアワセになるという稀なる快楽に身を任せた。これは、素晴らしい。手放しのオマージュを捧げよう。 手練の作家と訳者による文章を読むことの喜び。本書はそのことに尽きる!

『ミサ曲ハ短調』の「インカルナートゥス」を取り上げた部分の素晴らしさ!!

<モーツァルトは文字どおり再生する。美しい旋律がありフーガが形式がある桁はずれの挑戦のなかで、また、やがてヨーロッパのみならず世界中の地を支配していくことになる死の文化の外で。スターリンやヒトラー・・・があたかも存在しなかったかのようにモーツァルトを語るのは、唖然とするほど盲目的なことだ。・・・拷問と死体置き場を背景に、この「インカルナートゥス」を感じなければならない。宣伝広告にだまされて、それを忘れてはならない。>

冒頭、タクシーを拾ってパリの町を走るソレルスは、タクシーの運転手さんから音楽を聴きますかと問われる。その音楽は『レクイエム』である。この場面の上手さときたら!!!