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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #111500 / 本
- 発売日: 2009-05-26
- 版型: 単行本
- 336 ページ
エディターレビュー
内容紹介
小説は悪魔ですか。それとも、作家が悪魔ですか?
かつて小説家の緑川未来男は、
愛人の存在に嫉妬した妻の狂乱を
『無垢人』という小説で赤裸々に書いた。
そして今、小説家の鈴木タマキは、
己自身の恋愛の狂乱と抹殺を
『淫』という小説に書こうとしていた。
『無垢人』と『淫』を繋ぐ、「○子」とは誰か?
やがて「○子」は、書く人と書かれた人と書かれなかった人々の蠢く
小説の此岸の涯へ、タマキを誘っていく。
内容(「BOOK」データベースより)
彼は、小説に命を懸ける、と何度も言った。小説は悪魔ですか。それとも、作家が悪魔ですか?恋愛の「抹殺」を書く小説家の荒涼たる魂の遍路。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
桐野 夏生
1951年金沢生まれ。93年『顔に降りかかる雨』で第39回江戸川乱歩賞受賞。98年『OUT』で第51回日本推理作家協会賞受賞。99年『柔らかな頬』で第121回直木賞受賞。2003年『グロテスク』で第31回泉鏡花文学賞受賞。04年『OUT』でエドガー賞(MWA/Mystery Writers of America)候補。同年『残虐記』で第17回柴田錬三郎賞受賞。05年『魂萌え!』で第5回婦人公論文芸賞受賞。08年『東京島』で第44回谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
読み取る力量がなくてすみません。
「OUT」に対して「IN」とは何ぞや?と期待して読んだものの、がっかりでした。
「東京島」のがっかりとまた違いますが、何がいいたいのかさっぱりわかりません。
「OUT」は気持ち悪くなりながらも先へ先へと読み進め、桐野夏生はすごいと感動しましたが、これはどう評価していいのか・・・???
好きな作家なので期待も大きい分がっかりも大きいです。
評価の高い方は読み取る力がある方なのでしょう。
何度も読めばわかってくるかも知れませんが、何度も読みたい作品ではありません。
普通の男女の恋愛物語
「OUT」「グロテスク」で楽しませてくれた作家だけに、「東京島」に続いて本作もとっちらかったまま終わってるのが残念でならない。本来、とっちらかった物語は結末に向けて収斂していくところが醍醐味なのだが、今回もそれはなかった。
「OUT」「グロテスク」を読む限り、通常の男女の恋愛感情には距離を置いている作家と見たが、いくつかの男女関係が描かれているうちの最初に出てくる女性との関係だけが際立ったのは、それが唯一、この作家の本領を発揮した異形な部分だったからだ。主人公を含むその他の関係にはまったく感情移入できなかった。
それから使われている固有名詞や状況説明が何かの伏線かと疑う細かい描写が随所にあったが、結局何でもなかったものが多かった。ということは、無駄な描写が多いということではなかろうか。これは異形でもなんでもない、通常の恋人、夫婦、不倫の物語であり、男女の感情の機微が浅くしか捉えられてない、なんだか路線が間違っていると感じた。
好きな作家だからこそ、あえて言わせて頂いた。
作者の折り返し地点か
桐野夏生の小説には、読むとすぐにそれとわかるモデル事件が存在する。
『OUT』の井の頭公園バラバラ死体遺棄事件、『グロテスク』の東電OL殺人事件、『東京島』のアナタハン事件。
そして本作は、島尾敏雄夫妻と敏雄の作品『死の棘』、業界では誰もが知っていた作者自身のダブル不倫事件がモデルとなっている。
現実に題材を取る作家ではあるものの、しかし桐野は現実に取材する作家ではない。
本作の感想に、作家の取材方法がわかって面白かったと表現しているものを散見するが、桐野自身はこの手のインタビュー取材を行ってはいないのだ。島尾敏雄とミホ夫妻に対する子供側からの冷ややかな視線は、島尾伸三本人が、すでに赤裸々に綴っているところであり、桐野はそれを読んだだけであることは明らかである。
つまり、物語の後半、劇的に真相が明かされていく過程は、娯楽小説としてのスタイルであり、桐野の創作なのだ。もちろん、彼女の不倫相手も死んではいない。
娯楽としてのサービスが充分であり、巧いとも言えるが、甘いともいえる。
良くも悪くも、本作は『OUT』の裏面、対になる作品であり、『OUT』が最終局面で甘く緩い方角に流れたように、また作者のデビュー作の特徴である、「主人公だけに、とっておきの秘密をべらべらと喋る初対面の相手」という女性ミステリ作家にありがちな大きな欠点も抱えており、その欠点の分量込みで、桐野の出世作『OUT』の完全な再現となっている。
(事情を知らない方が本作を『OUT』と無関係と断じているが、桐野は不倫相手と『OUT』を作ったのであり、その創作に至る道筋が本作には書かれている。)
小説家が小説家を主人公にした小説は非常に多く、その大部分が作者の狭い世界の狭さを見せられているようで興ざめなものだが、本作は、その狭さをすさまじい深さで補い、充分に必然性のある激しい作品を作出している。
本作は、桐野の最高傑作には絶対にならないが、次へのステップとして大きな意味がある重要な作品であることははっきりしており、読むべき一冊であることは明らかだ。





