マイナス・ゼロ (集英社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #15287 / 本
- 発売日: 2008-07
- 版型: 文庫
- 518 ページ
エディターレビュー
出版社 / 著者からの内容紹介
幻の名作が大きな活字で復刊
戦時中に隣人と交わした約束。18年後にその約束を果たそうとして、主人公が見たものは? 日本語で書かれたタイムトラベル小説の最高峰といわれる名作が大きな活字で復刊。(解説/星新一)
内容(「BOOK」データベースより)
1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械―それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
広瀬 正
1924年東京生まれ。1972年没。日大工学部卒業後、バンド「広瀬正とスカイトーンズ」を結成。同バンド解散後、同人誌「宇宙塵」「SFM」誌などで活躍。73年『鏡の国のアリス』で星雲賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
すでに持っている人ももう1冊
作者と作品内容については他の方が詳しく書いてくださっているので省略。
この文庫の最初の版が出たのは1982年2月。奥付によれば1998年に第12刷が出たのが最後のようですので、10年ぶりの復活です。
今回の改訂新版は、帯のうたい文句に「活字が大きく読みやすくなりました」とあります。
前の版が436ページ、この改訂新版が518ページ。
あとがきも星新一さんの解説もそのままの内容ですので、このページ数の差がそのまま活字の大きさの差だとすると、約19%拡大ということになります。
前の版を持っている人も、読みやすくなったこの改訂新版でもう一度広瀬正の世界を堪能してください。
なお、来月には『ツィス』が予定されていますので、このまま全6巻のすべてが改訂新版として刊行されることを期待したいです。
これを機にこの名作を読んでください
日本SF長編の金字塔であり、SF黎明期に登場し後の作家たちに多大な影響をあたえた大傑作SFが本書「マイナス・ゼロ」です。
著者の広瀬 正は、不幸な作家でした。長い不遇の時代を経て、ようやく世間に認められた矢先、取材先で心臓発作を起こして亡くなってしまいます。直木賞に三度もノミネートされたにも関わらず、SF不遇の時代だったために受賞を逃し、それでも、ようやく人気が出てきて、さあこれからという矢先の突然の死でした。
さて、前置きはこれくらいにして本書の主な舞台は、戦時中の東京です。昭和初年の東京が眼前に広がります。『昭和38年、主人公である浜田俊夫は、18年前の大空襲時に行方不明になっていた隣家の娘伊沢啓子と再会する。啓子は、失踪した当時のままの年齢だった。彼女は戦火を逃れて、タイムマシンにのって現在にやってきたという。俊夫はタイムマシンにのって過去へ向かうが、予定していた年代にはつかず、違う時代にタイムトラベルしてしまう。』
導入部だけ紹介するにとどめます。この作品、タイムマシンが引き起こす混乱に各登場人物が翻弄され、要約では、説明しきれない内容になってるんです。様々な問題が起こり、幾人かがタイムトラベルすることによってパラドックスがうまれ、あらゆる要素が伏線となりラストですべてが整然と解決されます。緻密に計算されていて、すべてが収まるべきところに収まるところなど並のミステリ以上に大きなカタルシスを得られます。かてて加えて、この作者の描く昭和初期のノスタルジックな描写の素晴らしさはどうでしょう。これは、本書のもうひとつの魅力でしょうね。とにかく本書が復刊されたのはとても喜ばしいことです。これを機に是非もっと多くの方が本書を読まれることを願ってやみません。
伊沢先生、あなたは誰?
司馬遼太郎が直木賞選考委員だった際に、何度も候補になったSF作家・広瀬正の作品を、候補になるたびに高く評価し、特に『マイナス・ゼロ』を大絶賛していたと知り、我先にと飛びついた本作品。特に、タイムトラベルを扱った話に必ず付いて回るパラドックスにどうやって取り組んだのかに注目して読んだ本作品であったが、物語の大団円で主人公浜田俊夫とヒロイン伊沢啓子にまつわる謎はほぼ破綻なく解明されたものの、物語の最初からずっと解明されるべく提示されていた浜田俊夫のお隣の大学の先生で伊沢啓子の父親でもあった男の正体について何ら回答が出されていなかった。
その他、駐在所の巡査の顛末であるとか、そもそもタイムマシンがどこからやってきたのかについてもどこか宙ぶらりんな形で話が完結していた。物語の最後の1ページで、これら残された諸疑問がこれから解決されるような予感を読者に与える形で話は終わってはいたものの、是非著者自身の手でもう少し明確な決着を付けて欲しかったというのが、正直な感想である。
それにしても、最初から最後まで、タイムマシンは無機質でひたすら不気味な存在だった。





