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水滸伝〈18〉乾坤の章 (集英社文庫)

水滸伝〈18〉乾坤の章 (集英社文庫)
By 北方 謙三

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  • 発売日: 2008-03-19
  • 版型: 文庫
  • 397 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
童貫軍の猛攻撃が始まった。呼延灼は秘策をもってそれを迎え撃つ。梁山湖では李俊ひきいる水軍が、巨大な海鰍船と対峙していた。梁山泊に上陸される危険を背負いながら、幾百の船群に挑む。一方、二竜山も陥落の危機を迎えていた。趙安の進攻を一年以上耐え抜いた秦明は、総攻撃を決意する。楊春、解宝が出撃、そして、青面獣の名を継ぐ楊令が初めて騎馬隊の指揮を取る。北方水滸、死戦の十八巻。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
北方 謙三
1947年唐津生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で日本推理作家協会賞長編部門を、91年『破軍の星』で柴田錬三郎賞を受賞する。また、2004年『楊家将』で吉川英治文学賞、06年『水滸伝』(全19巻)で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

好漢たちが逝くたびに、残りの冊数も減っていく!5
文庫版も遂に18巻にも達したが、このあたりのレビューを参考に新たに『水滸伝』を読み始めるという方はたぶんいないだろう。ましてや、17巻まで読んで来たが18巻を読むかどうかはレビューを読んでから考える、などという方はおられる訳がない。ということで、いたって気楽に書き進めることとする。それに、最終巻となる次号は、レビューを書く方も多いだろうし・・・。

このシリーズのレビューは3度目となり、何れも私なりに大きく気持ちの揺れ動いたときに書き込んできた。それは『巨星墜つ!』である。登場人物に入れ込む余りに逝かれた際の落ち込みも大きいが、今までは「楊志」と「晁蓋」がそれであった。今回が「誰?」なのか書くつもりはないが、たぶん皆さんも納得する人物であろうと確信している。今回は予感めいたものがあったが(残りも少ないし)、特に「晁蓋」の場合はまだ物語の半ばでもあり、『まさか彼が!』というショックが大きかったように記憶する。

実は、「後水滸伝」とも呼ばれる『楊令伝』のハードカバー4冊を既にオークションで手に入れている。このシリーズが終わり次第突入するつもりだったが、ある時(酔っ払って!)堪らずに読み始めてしまった。暫くして考えたのだが、登場人物リストに名前が出てこないのは亡くなったからではないのか?それに気付いて直ぐに本を閉じてしまったが、何か私自身の手で「名札」を裏返しにしてしまったような気がして心苦しかった。『水滸伝』の残り冊数が少なくなって寂しく感じる方も多いと思われるが、後には『楊令伝』が控えている。そのことを思うと、次号はまさしく「終わりの始まり」でもあり、最後までしっかり楽しんで読もうという気分になる。

多巻もののレビューはオフ会の掲示板の感があり釈迦に説法かもしれぬが、次号まで手持ち無沙汰の方には、是非とも『楊家将』シリーズ(『血涙』を含む)をお薦めしたい。楊志から楊令に伝わった「吹毛剣」の由来を辿れるとともに、「楊家」一族を理解しておくことは、『楊令伝』の面白さを更に深めてくれるに違いない。

帰ってきた楊令!5
子午山の王進のもとにいた楊令が童貫との戦いを前に梁山泊軍に参戦!
強き男たちの多くの思いを受けて真の男に成長した楊令が素晴らしい活躍を見せます。
最終局面を前に熱い思いで涙が出そうになる18巻です。

泣かずに読めるか5
泣かずには読めません。
「ああ、もうこれ以上泣かせるようなことせんといてほしいわぁ。」(by 京極さん)

童貫率いる禁軍の再度の出動。
呼応するかのような宋水軍の出動。
望むと望まざるとに関わらず、総力を挙げての決戦になってしまいます。
もちろん激しい戦いの中で、主要人物が次々と命を落としていきます。
「あの男」は死なないと勝手に思っていましたが、まさかこの巻で。
北方先生、やっぱりそれは反則です。

子午山を降り梁山泊軍に合流する楊令と林冲の再会、お互いの得物を手に対峙する再会のあり方。
「女の命も救えない男に俺をしないでくれ」命を賭して敵中に飛び込む林冲。
隊旗は常に隊長とあるものと行動を共にする郁保四。
「あの」公孫勝の頬を伝う一筋の涙。
泣き所・泣かせ所という点で本巻はまさにクライマックスかもしれません。

現代のゆるい人間関係では、分かり合えることはないであろう部分で通じる、「友」「仲間」がいることはある意味うらやましいと思えます。
もちろん、いつ自分の首が斬り飛ばされるか、馬に四肢を引き裂かれるかの心配と背中合わせの生活をしたいとは思いませんが。

軍の組織や経済的基盤、情報通信網、そして従来あまり触れられなかったであろう「敵方」の組織や心理状況の精緻な描写。
背景となる情報をきっちり書き込んでいるからこそ、この緊迫感や臨場感が味わえるのですね。
しかも冗長さは微塵も無し。
まさにストーリーテリングの「匠」の技です。

いよいよこの巻を読み終えたら残すはあと1巻になってしまいました。
全19巻の作品でありながら、いつまでも読み続けていたいと思える作品に出会えたことは幸運としかいいようがありません。