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天切り松読本 (集英社文庫)

天切り松読本 (集英社文庫)
By 浅田 次郎

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  • 発売日: 2007-06
  • 版型: 文庫
  • 223 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
著者自らが、作家生活で生み出した作品たちの「長男」だと断言する傑作『天切り松 闇がたり』シリーズ。その魅力をさらに楽しむための公式ガイドブックができました。安吉一家が活躍した物語の舞台を著者と歩く特別企画書き下ろしエッセイ、大正ロマンあふれる帝都東京や登場人物たちを豊富な写真と図版で紹介するコーナーなど読みどころ満載です。文庫オリジナル編集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
浅田 次郎
1951年東京都生まれ。95年『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で第117回直木賞、2000年『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

『天切り松』シリーズの読者への温かい配慮4
本書は、『天切り松』シリーズの読者へのサービスのような趣があり、浅田次郎の気遣いだと受け取っています。

天切り松は実在の人物ではありませんが、明治、大正、昭和の東京の街を舞台に様々なエピソードが展開されますので、まるで実際に活躍していたように親近感を持って読んでいるファンも多いかと思われます。浅田次郎は、外連味たっぷりの虚実をないまぜる手法であたかも自分がその時代に降り立ったかのような感覚を持たせるほど巧みな文章力と表現力、構想力を持った作家です。その筆力ゆえ、フィクション上の人物がまるで実在していたかのように感じられることもあり、本書のような企画が生まれたのでしょう。

第1巻から第4巻まで、それぞれのテーマで登場した東京の街の今昔を当時の写真を使用し、小説の文章を引用しながら舞台となった東京の名所旧跡、老舗の名店など、当時と今とを行き来して小説の舞台へと我々をいざなってくれます。

引用されている「天切り松」の外連味たっぷりな台詞回しがいいですね。威勢のよい啖呵が歌舞伎俳優の台詞回しのように伝わってきます。彼の作品は、地の文体も含めて、語り口調が滑らかですので、とても読み易いですし、テンポのある筆運びによって物語に引き込まれ、気分を高揚させてくれます。

関東大震災と東京大空襲で東京は焼け野原になり、昔を偲ばせる建築物もほとんど現存していませんが、本書に掲載されているそれらの姿を見ると確かに感銘を受けるような美しさを持った建物が多かったですし、現在でもそう感じます。

天切り松ファン必携のサブテキスト5
通常、小説にとっては描き出される「物語」こそが主であり、言葉はあくまで「物語」を創作するための手段だ。しかし「天切り松闇がたり」という小説においては、江戸前のダンディズムを体現する「言葉」こそが主である。その美しい「言葉」を語るに相応しい精神を持つ人物が、相応しい所作と振る舞いを重ねていく中で、物語の世界観が構築されていったのがこのシリーズであると言えよう。
だからこそこの小説の登場人物達は皆、一本ピンと筋が通っていて格好いい。彼らが発する言葉は常に生き様と表裏一体であり、自らの言葉を裏切る行動を取ることは、即座に自らの精神の死を意味するという覚悟が伴っているからだ。
と、まあ堅苦しく書き連ねたが、本書によるとどうやら著者はこの先も大正と昭和を行きつ戻りつしながら、新作を書き継いでいってくれるらしい。まずはひと安心といったところ。