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コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A)

コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A)
By 廣瀬 陽子

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  • 発売日: 2008-07-17
  • 版型: 新書
  • 220 ページ

エディターレビュー

内容紹介
日本人がいちばん知らない地域で、今なにが起きているのか? コーカサスは、ヨーロッパとアジアの分岐点であり、古代から宗教や文明の十字路に位置し、地政学的な位置や、カスピ海の石油、天然ガスなどの天然資源の存在により、利権やパイプライン建設などをめぐって大国の侵略にさらされてきた。またソ連解体や、9.11という出来事により、この地域の重要性はますます高まりつつある。だが、日本では、チェチェン紛争などを除いて認知度が低いのが現実である。本書では、今注目を集めるこの地域を、主に国際問題に注目しつつ概観する。

内容(「BOOK」データベースより)
コーカサスは、ヨーロッパとアジアの分岐点であり、古代から宗教や文明の十字路に位置し、地政学的な位置や、カスピ海の石油、天然ガスなどの天然資源の存在により、利権やパイプライン建設などをめぐって大国の侵略にさらされてきた。またソ連解体や、9・11という出来事により、この地域の重要性はますます高まりつつある。だが、日本では、チェチェン紛争などを除いて認知度が低いのが現実である。本書では、今注目を集めるこの地域を、主に国際問題に注目しつつ概観する。

著者について
廣瀬 陽子(ひろせ ようこ)
一九七二年、東京生まれ。静岡県立大学国際関係学部准教授。専門は国際政治・コーカサス地域研究。慶應義塾大学総合政策学部卒。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。政策・メディア博士(慶應義塾大学)。国連大学・秋野フェローとしてアゼルバイジャン在外研究。慶應義塾大学総合政策学部専任講師、東京外国語大学大学院准教授等を経て現職。著書『旧ソ連地域と紛争─石油・民族・テロをめぐる地政学』他多数。


カスタマーレビュー

やや表面的ではあるが、読む価値は高い1冊4
コーカサス地方――と言われて、ここだと言える人は少ないかもしれないが、
チェチェンの名前は知っている人は多いと思う。
8月12日にグルジア共和国から独立を宣言した南オセチアもコーカサスだ。
この地方はアジアとヨーロッパの分岐点でもあり古くから宗教や文明が複雑に入り組んできた。
カスピ海の石油、天然ガスなどを巡る利権などもあり、バルカン半島とは別の意味で「火薬庫」でもあった。

私はチェチェン紛争に関する本を何冊か読むまで、コーカサスのことはあまり知らなかったのだが、
本書はコンパクトに、コーカサスにおける民族紛争の歴史と実情がまとめられている。
民族紛争という重くて深いものを新書1冊にすることには無理はあるのは、著者も承知なのだろう。
そのためか、本書は「概観」といったほうがいいが、それでも非常に優れたものになっていると思う。

チェチェン紛争、ロシアの闇の部分などを「深く」知るには物足りないともいえるが、
ざっくりとしかし的確に全体が把握できるという点では、良書である。
揚げ足を取ると「表面的」とも言えなくはない。しかし、決して薄っぺらい内容ではない。
新書220ページ。十分に読む価値はあるだろう。

ニュースの意味がわかりました。4
世界地図はだいたい頭に入っていると勘違いしていましたが、グルジアとかアゼルバイジャンと言われると、地図の絵柄と国名と都市名が全然一致していなくて愕然としました。しかも、最近の報道を聞いていると、そのあたりの地域(コーカサス)が今、ロシアVSアメリカの新たな冷戦の最前線になっているようです。日本語での情報が少ない中、貴重なガイドブックだと思います。

この小さな地域を通して見える大国の戦略5
4月、旧ユーゴ諸国の紛争地域を回った。7月には、来年は世界最初のキリスト教国アルメニア、第2のグルジア、そしてゾロアスター教国アゼルバイジャンに行くと決めた。この三国のすぐ北にはあのチェチェンがある。開けて8月、北京五輪開幕の日にグルジアが南オセチアで動き出す。おかげでグルジアは退避勧告になってしまった。そして、ネットで情報を集めれば、今回の南オセチア紛争には多くの政治戦略の動きが窺われる。
前は平和の反面教師としての地域間の民族的、経済的背景を持った紛争について局所的な視点を中心として眺めていたが、現代においてはそれでは十分説明がつかないことがわかる。どうしても大局的な視点が必要だ。しかし、専門的な書はあっても、大局的な視点の良書というのはそうはお目にかかれない。専門化が進んだ現代での一つの弊害だ。そこで本書だが、西欧、ロシア、旧共産圏、中東、米国の5つの政治ブロックの戦略の視点からこの地域の持つ役割が語られている。政治的側面が中心でその次が経済。民族的な分析は政策理解に必要な最小限にとどめられている。本人の取材内容も盛り込みながらバランスよくまとめられている。著者はこの複雑な地域をうまく説明しきれていないと書いているが、こんな小冊子にここまで無駄なくバランスよく書かれた書はそうはないだろうし、簡単にできることとも思えない。渾身の一冊と思う。

著者は若いが内容はしっかりしている。読者はあとはネット上の情報を吟味しながら個々の事象を把握していくことになろう。本書は現時点ではその最高のパートナーといえる。おかげで、いろいろな英語の情報の理解も容易になったし、その裏の複雑な背景が見えるようになった。グルジアやチェチェンだけに興味がある人には扱いが不十分に思えるかもしれないが、これはこの書の視点からして仕方がない。むしろ全体像を理解してとらえられる点で活用してほしい。
それにしてもまるで紛争を予期したかのような刊行。それほど現代は紛争の火種をあちこちに抱えたまま流れていくということなのだろう。
なお、本書ではロシアの政策上、アブハジアと南オセチアの独立までは認めないとなっているが、8/26にメドヴェージェフは承認に署名したと発表。ロシアの方針に変化が起きているのかもしれない。