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政党が操る選挙報道 (集英社新書)

政党が操る選挙報道 (集英社新書)
By 鈴木 哲夫

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  • 発売日: 2007-06
  • 版型: 新書
  • 254 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
二〇〇五年の衆院選は、「コミュニケーション戦略(コミ戦)」が試みられた、史上初の選挙となった。キーパーソンは、NTT出身の自民党議員・世耕弘成。民間企業の広報PRを政治の場に応用すべく結成された「チーム世耕」は、徹底した危機管理と情報操作で、ついには自民党を大勝利に導く。二大政党の一翼とされる民主党もコミ戦に着手している今、私たちはどのように政治報道に向き合えば良いのか?本書は、四半世紀もの間テレビメディアの世界で生きてきた著者が、政党によるメディア・コントロールの手法を具体的かつ詳細に暴いた、選挙前の必読書である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
鈴木 哲夫
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒。放送記者、ディレクター、プロデューサー、ビデオジャーナリスト。テレビ西日本報道部、フジテレビ報道センター政治部、東京MXテレビ、朝日ニュースター報道制作部を経て、2007年より日本BS放送勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

本当に“劇場型”政治になった5
ちょっと前まで“小泉劇場”などと言い表されてきた日本の政治。
しかし本当にシナリオが描かれていて、候補者の発言まで作られていたとは。
道理で「面白い」はずである。
残念なのはマスコミ関係者も含めて「後で気がついた」ことであり、
本書を読むと「操作されている」という意識が大手マスコミの中で薄いことも分かる。
これらはますます政策論争から政治が遠ざかっている姿を浮き彫りにしている。

さらに気になるのは末尾の方で、最近は政権側の戦略が“うまくいっていない”と評している。
参院選が近いこともあり、著者の読みが当たるかどうか、楽しみではある。

郵政解散のイメージ戦略論4
2年前の郵政解散で都市部の選挙区の取材を担当していた。民主地盤に立った自民党新人。以前の田舎くさい選挙と異なり、清新で好感を持ったのを覚えている。そんな印象を送ったニュースは連日地域ニュースでトップ扱い。うまくいったわい…と思ったのもつかの間、選挙後、自民がコミ戦の元、統一的な選挙PRをしていたことを知った。たぶん多くの「良心的な」記者は凹んだに違いない。

本書は、その郵政解散で世耕議員らを中心とする選挙広報戦略の内幕を語った。驚いたのは、世耕が「コミュニケーション戦略チーム(コミ戦)」を仕切るようになるまで、自民では、党独自のアンケートなどを一切とっていなかったらしい。片山さつきには、「骨を埋める気で」。佐藤ゆかりには「嫁にきたつもりで」と繰り返し言うよう指示したり、開票後「笑うな」と釘を刺したり。結局、テレビには連日「刺客」「マドンナ」「造反」の言葉があふれた。テレビ、新聞でも自民に批判的なコメントが出ると、コミ戦が飛んでいって「事情説明」をする。ちなみに世耕が補佐官として加わった現官邸の広報政策は不調のようである。著者はコミ戦が効果的になると、日本のマスメディアは為政者の都合のように誘導されてしまうことを指摘し、メディアに政治を常に批判的に監視するよう求めている。

「郵政解散」はいまさら感のあるテーマだったが、コミ戦化は今後進んでいくだろう。冒頭には選挙中の内幕も描かれ、どのようにイメージアップが図られたのか、生々しく伝えるほか、90年以降のコミ戦の概略も説明されていて、選挙報道に関心がある人には薦めたい。

メディアが独自取材をすれば良い話では?4
 本書は小泉総理時代に、自民党の「コミュニケーション戦略チーム」略して「コミ戦」が、
いかなるメディア対策を行い、その結果がどうであったのかを検証した書籍である。

 個人的には特定政党がメディア対策を組織的に行うこと自体はアメリカなどでは当たり前のことで、
それ自体を私は問題とは思わないし、本書で提示されている「コミ戦」の行う活動自体も、
「世論を捻じ曲げる」というような類のものではなく、どちらかというと「自民党の主張をストレートに国民に伝えたい」
というような印象で、予想よりも遥かに正当でソフトな手法であるように感じた。

 本書のタイトルが示すとおり、著者は「報道内容が政党によってコントロールされてしまう」ことを理由に危機感を募らせ、
その影響力の甚大さを提示し、国民に警告するというような主旨であるのだが、何か読んでいて妙な感覚に陥った。

 と、いうのもそもそも「コミ戦」がマスコミをある程度操作できるのは、マスコミ側が「コミ戦」の発表する内容を
ロクに考えもせずに、丸のみしているからであって、本来自民党が組織的に何を行おうとメディアが常に中立性を保ち、
各自が独自に取材や検証、事実確認を行っていれば、その影響力など知れたものだと考えるからである。

 つまり「選挙報道が操られる」のは、単にマスコミが本来するべき仕事をしていないから、というだけのハナシであって、
問題視されるべきなのは「コミ戦」よりもマスコミの自堕落さだろう。