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越境の時―一九六〇年代と在日 (集英社新書)

越境の時―一九六〇年代と在日 (集英社新書)
By 鈴木 道彦

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  • 発売日: 2007-04
  • 版型: 新書
  • 253 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
プルースト学者と在日朝鮮人の魂の交錯!
『失われた時を求めて』の個人全訳で名高い仏文学者と、李珍宇や金嬉老との意外な関わりとは? 日本人と在日朝鮮人との境界線を、他者への共感を手掛かりに踏み越えようとした稀有なる記録。

内容(「BOOK」データベースより)
『失われた時を求めて』の個人全訳で名高いフランス文学者は、一九六〇年代から七〇年代にかけて、在日の人権運動に深くコミットしていた。二人の日本人女性を殺害した李珍宇が記した往復書簡集『罪と死と愛と』に衝撃を受け、在日論を試みた日々、ベトナム戦争の脱走兵・金東希の救援活動、そして、ライフル銃を持って旅館に立てこもり日本人による在日差別を告発した金嬉老との出会いと、八年半におよぶ裁判支援―。本書は、日本人と在日朝鮮人の境界線を、他者への共感を手掛かりに踏み越えようとした記録であり、知られざる六〇年代像を浮き彫りにした歴史的証言でもある。

内容(「MARC」データベースより)
1960年代から70年代にかけて在日の人権運動に深くコミットしていた著者が、日本人と在日朝鮮人の境界線を、他者への共感を手掛かりに踏み越えようとした記録をまとめる。『青春と読書』連載に全面的に加筆して単行本化。


カスタマーレビュー

考えることを拒絶した現代人はこのような本を手にするだろうか5
 新書という、現在では一見手軽なものととらえられる媒体ですが、その本来的な、充実した内容を持つ好著と思います。
 1960年代のことが語られていますが、もちろん、ただ過去の(完結した)ことを語っているという意味での回顧録ではありません。その鋭くも落ち着いた眼差しは、現代社会に向けられているといえます。
 たいへん重要なものを、平易に読みやすく綴っており、21世紀のいまを生きる我々が、現代を見つめ、考える一助となるはずです。

サルトルを〈活用〉する5
想像力や他者との関係、責任−主体の問題をめぐるサルトルの思考が、鈴木氏の精神と身体に文字通り血肉化されており、こんなサルトルの読み方そして使い方があるのかと、改めてサルトルを読む必要を痛感した。本書で言及されるサルトルの「独自的普遍」は、おそらくフランス語だとuniversalite singuliereだが、アラン・バディウが聖パウロ論でまさにこの言葉を使っていたのを想起し(日本語訳「特異的普遍」)、サルトルの概念であったとは知らず、恥ずかしい。また本書でブランショらの「政治委員会」が簡潔に、しかし本質的に批判されているのは、圧倒的に首肯しうる(詳細は本書よりはむしろ鈴木氏の『異郷の季節』参照)。また秀実が『1968年』で大々的に取り扱っている「華青闘」が本書後半にもちらっと出てきて、やはり無縁ではないと思った。ジャン・ジュネやブラックパンサーも出てくる。もう一つ。本書を読んで津村喬の『われらの内なる差別』(三一書房)を想起し、ただちに読み直したい衝動に駆られた。津村は全共闘に「差別」の問題を導入したから。なぜ津村を想起したのか。本書51ページの「在日」とは「日本の内なる『第三世界』」である、という語を目にしたから。三一書房は本書が扱う李珍宇事件に関する本を出してもおり、おそらく、「在日」の問題が、全共闘にも(些少であれ)意識されていた可能性はある。鈴木氏は本書で「この問題は全く触れられていない」、と書いているが……いずれにせよ、本書を読んで、やはり(昨今一部で大いにもてはやされている)社会学には捉えられない問題、立てられない問いを立てる力が、文学というジャンルにはあることを、深く深く感得した。

失われた時を刻む最重要現代史の力作5
近年これほど衝撃を受けた本はない。井上究一郎以降、唯一の『失われた時を求めて』の完訳者鈴木道彦にこんな来歴があったとは。高踏的なプルーストの研究者が同時にサルトルの権威でもあり、現代フランス思想にも通暁した思想家であったことは承知していたが、彼のアンガジュマンが机上のそれではなく、戦後日本の相変わらず未解決な重要問題のひとつ在日朝鮮、韓国人の問題と取り組み格闘した真性のそれであったとは!!
これを知らなかったのは当方の不明なのであろうか。多分そうなのだろう。鈴木の著作は大概読んでいたつもりだったが。
四の五の言う必要はない。本書は現代日本のこれまで語られざる証言である。現代史の大いなる成果と言える。読むべし!!!