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「わからない」という方法 (集英社新書)

「わからない」という方法 (集英社新書)
By 橋本 治

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  • 発売日: 2001-04
  • 版型: 新書
  • 252 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
「わからない」イコール「恥」だった世紀は過ぎ去った。21世紀「わからない」は如何にして「方法」となるか。編み物の本、桃尻語訳本などを例に引きながら説き尽くす、橋本治的「方法論序説」。

内容(「BOOK」データベースより)
「わからない」ことが「恥」だった二十世紀は過ぎ去った!小説から編み物の本、古典の現代語訳から劇作・演出まで、ありとあらゆるジャンルで活躍する著者が、「なぜあなたはそんなにもいろんなことに手をだすのか?」という問いに対し、ついに答えた、「だってわからないから」。―かくして思考のダイナモは超高速で回転を始める。「自分は、どう、わからないか」「わかる、とは、どういうことなのか」…。そしてここに、「わからない」をあえて方法にする、目のくらむような知的冒険クルーズの本が成立したのである。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
橋本 治
1948年、東京生まれ。作家。東京大学文学部国文科卒。在学中の68年に描いた駒場祭ポスターでイラストレーターとして注目される。77年『桃尻娘』で講談社小説現代新人賞佳作受賞。以降、小説・評論・戯曲・古典の現代語訳・エッセイ・芝居の演出等で精力的に活躍。主な著作に『桃尻語訳枕草子』『江戸にフランス革命を!』『’89』『窯変源氏物語』『ひらがな日本美術史』『二十世紀』等。『宗教なんかこわくない!』で第9回新潮学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

くどい。しかし・・・5
数学者の新井紀子さんが数学者を目指す読者向けに紹介しておられたので、久しぶりに新書を買って読んでみた。新井さんの書評は忘れた。

文章はとてもくどく、新書とは思えないほど読みにくかった。あー、同じこと何度も言いやがってメンドクサイぜ!しかし、著者のメッセージは目が覚めるようなものだった。(が、文がしつこいので何度も眠くなった。)

著者は「わからないこと」を恥とせず、持ち前の直感と、地道で根性のいる「地を這う方法」で知識を体得してきている。確かにもう正解なんてものはもう存在しないかもしれない。それでも私たちは正解を追い求めるし、そのための新書やらなんやろを買って、なんとか正解を手に入れようとする。橋本さんの主張をアプリオリに認めれば、21世紀はもはや正解なんて存在しないし、そのため分かるということをスタート地点とすることは不可能なので、「わからない」ということは出発地点とし、自分の「身体」を使って体得していくしかない、らしい。この熱く、根性のいる方法こそが21世紀型だとのこと。どんな情報でもすぐにアクセスできる現代においては特殊な主張だ。

「身体」がなんなのかということは明確にされていなかったが、自分自身で考え、試行錯誤することが、「身体」を使うとういことではないかと僕は思った。本に書いてある情報そのままでは、たとえそれを読んで覚えたとしても、それは自分の「身体」というフィルターを通してないので、たんなる知識として終わり、わからずやの「脳」が出来上がってしまうのではなかろうか。

これまで知識を追い求めてきた人のほど衝撃が大きいのではないか。そのアプローチの仕方に変化が生じるとともに、そのorigineを見つめなおす機会に遭遇するかもしれない。しかしテストの答えと単位しか追い求めてない大学生には何も関係ない話だろう。

一人で地を這う4
少々クドイけど、共感しながら読みました。

「わからない」から出発して、どのようにわかっていくかを、自分の体験を例に挙げて説明しています。その例が、セーターの編み方だったり、枕草子の現代語訳だったりして、かなりユニークなので、直接には役立たないかもしれないけど、示唆に富んでいます。特に、「一人で地を這う」という言葉に勇気付けられます。

世の中はわからないことだらけで、あることについて勉強すればするほど、さらに知りたいことが増える始末。一生勉強しなきゃならないのかと思えばウンザリするけど、一生退屈しないだけのネタがあると思えば少しは楽になります。

ひとつのことがわかると、すべてがわかった気になる人や、昔はわからなかったことを忘れて、「なんでそんなこと㡊??わからないの」と言える人がうらやましかったけど、そんな人の天下だった20世紀は終わって、21世紀は「わからない」の時代だと言うのだから心強い。

「一人で地を這う」というのは、「地図をなくしたから、磁石だけを頼りにひたすらトンネルを掘り続ける」ことです。どうせ自分はバカだからと居直って、「ひたすらの持久力だけで問題を解決する方法」です。この方法を「桃尻語訳枕草子」を例に説明した部分が面白かったので、その本を読んでみたくなりました。

21世紀の思想の原点5
「上司は...」を買ったのがきっかけの読者にはきっとこの本はわからないだろう。橋本さんのレトリックは曲芸のように自分の直感をベースに自分の言葉で考えた論理のプロセスを提示するので、慣れていない読者は置いていかれる。特に性急に結論を知りたがる読者はなおさらだ。橋本さんの結論を要約すると、20世紀は科学?で何でも答えのでる時代だった。21世紀は答えがでない時代だ。では、どうしたらよいか、それは2つの組み合わせのほかに方法はない、自分の直感を自分で考え抜いて自分の思想としてしまう事、さらには地を這うように愚直に失敗を繰り返し、時間をかけて愚鈍に試行錯誤すること。この2つは組み合わせというより同じ事の表裏一体と思う。レビュアーはこの結論を正しいと思う。20世紀の現代思想が難解な言葉と他人の思想を積み上げた結論が世界はわからない事、言葉で定義できない穴だらけの薄氷の上を歩いているようなものであることを示しているし、池田清彦氏の最良の科学論でも、科学の限界を説いている。最近ベストセラー論客となった養老先生の結論も近いものを感じる。橋本さんの論評の曲芸技と辛辣な真摯さ、そして単純に結論をださずに読者に考えさせる作家活動は一貫している。著作の展開も先が読めなかった。その意で、レビュアーにとって橋本さんはまぎれもない天才である。橋本さんは特定の読者にしか読まれてこなかった事に正当な評価を感じない。昨今の著作で興味を持たれた読者にわかりやすい著作としては「宗教なんかこわくない」をお奨めする。