「空気」と「世間」 (講談社現代新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #7272 / 本
- 発売日: 2009-07-17
- 版型: 新書
- 254 ページ
エディターレビュー
内容紹介
「空気」の存在に怯えている人は多い。なぜ「空気」は怖いのか? その正体を探っていくと見えてきたのが、崩れかけた「世間」の姿だった……。人気の脚本・演出家が、阿部謹也、山本七平といった先人の仕事を現代に投影させながら、自分の体験や発見を踏まえた会心作!
「空気」と「世間」を知り、息苦しい現代日本を生きていくための方法を示します。
内容(「BOOK」データベースより)
会社、学校、家族、ネット、電車内―どこでも「うんざり」してしまう人へ。「空気」を読まずに息苦しい日本を生き抜く方法。人気の脚本・演出家がこの10年間、ずっと考えてきたことの集大成。
著者について
作家・演出家。1958年愛媛県出身。81年に劇団「第三舞台」を結成し、演劇活動をスタート。87年「朝日のような夕日をつれて‘87」で紀伊國屋演劇賞団体賞、95年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞を受賞。現在は、プロデュースユニットKOKAMI@networkと新たに若手の俳優を集めて旗揚げした「虚構の劇団」での作・演出が活動の中心。舞台公演のかたわら、エッセイや演劇関連の著書も多く、ラジオ・パーソナリティ、テレビの司会、映画監督など幅広く活動。
『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』『表現力のレッスン』『人生に希望をくれる12の物語』(以上、講談社)、『発声と身体のレッスン』(白水社)『僕たちの好きだった革命』(角川学芸出版)、『ヘルメットをかぶった君に会いたい』(集英社)、『俳優になりたいあなたへ』(ちくまプリマー新書)、『孤独と不安のレッスン』(大和書房)「ドン・キホーテ」シリーズ(扶桑社)他著書多数。
カスタマーレビュー
鴻上さんが、テーマを見つけた。
鴻上さん、久しぶりの本を発見。「空気」と「世間」。
鴻上さんのお芝居、結論が無いという批判を耳にすることがある。
文芸は、論文ではないので、結論の有無が作品の価値とは関係ないと、考えている私は、それ自体頓着するものではない。ただ、この本については、比較的論旨がはっきりしている。山本七平、阿部也ほかの引用も豊富。その先の議論として、生活に近いところに飛び込んでくるところが、鴻上さんの魅力。舞台から遠くなってきている私が久しぶりに接した鴻上さん。元気そうで、それだけでうれしい。
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孤独と不安に苛まれる人に向けられた、暖かいメッセージ
集団の中にいると目に見えないながら私たちを強く束縛する「空気」を感じます。
「空気」に従わないと自分が浮いた存在になってしまいます。
学校や会社の中で仲間はずれになることをどれだけ恐れていたことか。
しかし、著者はかつて『孤独と不安のレッスン』の中で、「それは後ろ向きの不安」とし、「人をだめにするもの」としています。そして不安の根本となる原因は「中途半端に壊れた世間」にあると見ていました。
本書ではより一歩進んで、過去の文献を引用した上で独自の視点で「空気」と「世間」を分析します。そして現代の空気と世間の特徴を解説し、最後に空気と世間に囚われずに生きるためのヒントを提示しています。
過去に著者は『孤独と不安のレッスン』で、「どうか君の人生で、『孤独と不安』をごまかすために、”怪しげな宗教”や”体だけを求める男”や…”社畜が好きな会社”にすがりつくことだけはないように」と伝えました。本書もまた、何らかのコミュニティに属しながら孤独感と閉塞感にさいなまれる人へ向けられたものです。
学校裏サイトで自殺する子供たち、ブログ炎上、秋葉原通り魔事件を通じて、著者はこれら事件の本質が人々の孤独にあると見たのでしょう。孤独に苦しんだ果てに不幸になった人々に理解を示しつつ、どうすれば救われていたか。一つの結論を出します。それはあくまでヒントでしかなく、答えは自分で出さなければいけませんが、その対価として自由に生きられるようになるのかもしれません。
孤独と不安に苦しむ方にとって、著者のメッセージは厳しくも暖かい言葉に思われることでしょう。
日本人を無意識のうちに支配する「見えざる2つのチカラ」・・・日本人は 「空気」 と 「世間」 にどう対応して生きるべきか?
日本人を無意識のうちに支配する「見えざる2つのチカラ」、すなわち 「世間」 と 「空気」 について、自らのアタマで考え抜いて、しかもわかりやすくていねいな説明を試みた本。しかも処方箋つきだ。
著者は脚本家、演出家として、長い期間にわたって、さまざまな年齢層の日本人と接してきた。
若い人たちが「空気」を読めないために感じている苦しみにも多く接してきた。そしてまた、息が詰まる、うっとおしい 「空気」 の中でどう生きていくかという、自分自身の悩みもあった。
「空気」について考える中で出会ったのが、同じく日本人を無意識に支配している「世間」についてであった。
本書において初めて、いままでまったく接点がないと思われていた阿部謹也と山本七平が合体したのである。
すなわち、ドイツ中世史を専門とする歴史学者であった阿部謹也の「世間」論と、評論家でかつ聖書学関連の出版社を経営していた山本七平の「空気」論である。
これによって、しっかりとした現状分析が可能となり、また解決策と処方箋も視野に入ってきた。
日本語を使い日本人社会に暮らす日本人は、誰もが避けて通ることのできない 「世間」 と 「空気」。これは海外にいても同じことだ。
「世間」はその中にいるとうっとおしく思う反面、その暗黙のルールに従ってさえいれば自分を守ってくれる、という2つの側面をもっている。
とくに経済的な安心感が精神面の安心感を約束していた時代には、「世間」は強固な存在であった。
「しかしながら世間は壊れている、しかも中途半端な壊れ方だ」、これは著者の基本姿勢である。
社会学者の宮台真司もフィールドワークをつうじて、すでに同様の指摘を行ってきたが、大都市だけでなく、地方都市でも「世間」はすでに壊れている。
とくに2000年以降、「年功序列」と「終身雇用」という日本的経営の重要な要素が崩壊を始め、その結果、「世間」としての会社がもはや従業員とその家族を経済的に守ってくれる存在ではなくなっている。
また2008年のリーマンショック以降の大不況は、さらに「世間」の崩壊スピードを加速させている。
壊れた「世間」にかわって現在の日本人、とくに若い人たちを支配して猛威をふるっているのが「空気」だという指摘は、実に納得いくものである。
安定した状態ではその組織なり人間関係の中で「世間」が機能するが、不安定な状態では「空気」が支配しやすい。 「世間」が長期的、固定的なものであるのに対し、「空気」は瞬間的、その場限りの性格が強い。
著者は、「空気」とは「世間」が流動化したものだ、という仮説を示しているが、これは卓見であろう。
では日本人は 「見えざる2つのチカラ」・・・日本人は 「世間」 と 「空気」 にどう対応して生きるべきか?
ここから先の処方箋は、実際に本を手にとって直接目をとおしてほしい。
安易な結論を求めがちな世の中だからこそ、著者の議論に最初のページからつきあってほしいのだ。
平易な表現で語りかけている本だからこそ、自分自身の問題として自分で考えるための「手引き」になるはずだ。
そして自分自身の処方箋を書いてほしい、と思う。





