見えないアメリカ (講談社現代新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #125022 / 本
- 発売日: 2008-06-17
- 版型: 新書
- 245 ページ
エディターレビュー
内容紹介
スタバ好きはリベラル!? アメリカ人はみんなワシントンが大嫌い!? 暮らしの中に息づいた意外な政治性──日本ではわからないその起源を、気鋭の学者が 選挙現場での経験から探る。
内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ人はみんなワシントンが嫌いだ!日本からはわからないその意外な素顔。スタバ好きはリベラル!?知らないアメリカ発見の旅へ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
渡辺 将人
1975年東京生まれ。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。ジャニス・シャコウスキー米下院議員事務所、ヒラリー・クリントン上院選本部=アル・ゴア大統領選ニューヨーク支部アウトリーチ局(アジア系集票担当)を経て、テレビ東京入社。報道局経済部にて「ワールドビジネスサテライト」ディレクター、取材センター政治部記者として総理官邸、外務省、防衛庁、国会を担当。テレビ東京退社後、コロンビア大学ウェザーヘッド研究所を経て、ジョージワシントン大学ガストン・シグール研究センター客員研究員。専門は米政治外交(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
アメリカ二元主義の内情が良く分かる
多くのキリスト教国がそうであるように、アメリカも何事によらず、白黒をはっきりとつけたがる国であるらしい。だが、社会の成り立ちが多様であることに加えて、全てのことはそんなに極端に分けられるはずもなく、やはり内情は複雑だ。著者は民主党の選挙活動にかかわっていたことがあり、その立場から多様な国民性を様々なカテゴリーにマッピングし、その歴史についても詳しく述べている。
個人的には、近年のアメリカの大統領選挙で常套的になっている「ポピュリズム」についてのくだりを、とても面白く読んだ。政治の表舞台に立つ人間は、社会に属する何パーセントかのエリートであるが、直接選挙の選挙権を持つ非エリートである大多数の人達に、どのように共感をおぼえさせるか、その為の物語としてのポピュリズムがある。それがたとえ見せかけだけのものだとしても、現在のアメリカにはそれが必要とされている。
また原理主義的な○○運動(例えば、フェミニズムや反共や労働組合や動物愛護などなどなど・・・)がアメリカでは盛んで、自分の持つ1つの信念を貫くためには、他の何をも否定して自分の属するところの教義を声高に述べるのもとても「アメリカ的」だが、著者は40年にわたる女性運動の例を挙げ、「特定のグループの利益だけを求める運動が、曲がり角にきている」(p.180)と述べているのも興味深い。
町山智浩氏の「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」を読んで面白いと思った人には、本書も楽しく読めると思います。
今まで見えていなかったアメリカが少し見えたという知的興奮を味わえた
著者はヒラリー・クリントンの上院選本部でも働いた経験があり、アメリカにおける「保守」と「リベラル」がそれぞれ多面的な要素を持っていて、それぞれの定義づけをしようとするとなかなか一筋縄ではいかない様子を実体験に基づいて綴った書です。
アメリカで長期間暮らしたわけでもない私のような読者にとってアメリカとは、メディアを通じたアメリカ像とイコールです。本書は映画やテレビドラマといった、まさに私が常日頃接している唯一のアメリカ像ですら、その背後に気づかずにいた意味をもっていることに、卑近な例をひいて気づかせてくれる面白さを与えてくれました。
例えば90年代に人気があったテレビドラマ「フルハウス」は、「いい年をした男三人が一つ屋根の下、幼い女の子三人を一緒に育てる」物語ですが、舞台を「同性愛者の街」であり「性革命」の象徴ともいえるサンフランシスコに置くことで、保守的な伝統的家庭形態への挑戦を意味したドラマだったと著者は記します。
しかしサンフランシスコの持つリベラルな政治性については日本では意識されることはないでしょう。「フルハウス」は家族の大切さについて訴えるドラマとして、むしろ保守的で伝統的な物語と日本人視聴者には認識されているのではないでしょうか。
そのほかにも「ザ・ホワイトハウス」や「フレンズ」といったテレビドラマ、「ゴーストバスターズ」といったハリウッド映画を引き合いに出して、私の知らないアメリカ、見えていなかったアメリカについて興味深い話を教えてくれます。
さほど政治に知識のない私ですが、映画やテレビといった大衆文化に触れる際に知っておいて損はない事柄について随分勉強になったというのが率直な感想です。
なんで共和党が南部で強くなっていったのか、その歴史が分かりました
個人的に面白かったといいますか、腑に落ちたのは、なんで南部で強い党が民主党から共和党に変わったのか、というあたり。リンカーンは共和党で当時の民主党は黒人解放には基本的に反対の立場をとっていたんですが、いつの間にか、いまの南部は「レッドステーツ」になっているという経緯が歴史的に説明されているのが第三章。南部は常にワシントンを敵とみなし、半ば独立国的な意識を持ち、こうした意識を背景に第三の党が生まれやすいといった図式はわかりやすい。
F・ルーズヴェルトのニューディール政策をもっと徹底して、北部の富裕層から南部の農民への所得移転を行えと主張した民主党のロング上院議員という人がいたそうですが、こうした分離主義者の例にもれず、彼は1935年に射殺されます。しかし、アンチ・ワシントンの雰囲気は脈々と息づき、それが吹き出したのが1964年の選挙に打って出たウォーレス・アラバマ州知事。彼は人種隔離を主張するとともに、反中央政府のポピュリズムを煽り、民主党の指名争いに破れると、次の68年には「アメリカ独立党」を立ち上げて13.5%の得票を得ます。これがそのままハンフリーに流れればニクソン政権は生まれなかったのですが、南北戦争などを考えると、公民権運動などを東部の民主党が主導するのに反発する雰囲気が高まっていったここら辺から南部のレッドステーツ化は固まっていったような気がします。





