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一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)
By 佐藤 多佳子

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  • 発売日: 2009-07-15
  • 版型: 文庫
  • 254 ページ

エディターレビュー

内容紹介
春野台高校陸上部、1年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感……ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第一部、スタート!

内容(「BOOK」データベースより)
春野台高校陸上部、一年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感…。ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第一部、スタート。

著者について
1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で'98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、'99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/


カスタマーレビュー

納得の本屋大賞。5
青春スポーツモノということで、どうしても「バッテリー」との比較になってしまう。
最初は、あさのあつこの「バッテリー」に比べ、
なんだか軽い、もうちょっと自分を深く見つめてほしいと思っていたのだが、
ページが進むにつれて、
すごくよくなってきた。
「バッテリー」からは、そのストイックさゆえ、冬の白い吐息のイメージが強かったのだが、
この本は完璧に夏の汗のイメージ。
夏の爽快感がぴったり。
軽いと思っていたところも、そこそこ重くなってきて、
この本は、中高生のバイブルになるかもしれないと思うところまで来た。
「バッテリー」とは違う青春がここにある。


今は夏休みで、学生といえば、通勤電車にはクラブに行くと思しき高校生ぐらいしか見当たらない。
そんな彼らの首ねっこを押さえ、
練習終わったらこれを読めと押し付けてでも読ませたい小説である。

少年たちはみずみずしく、うつくしいのだ5
 何度手にとってもみずみずしく、
主人公・新二の気持ちにリンクして、
胸が痛くなったりあつくなったりする物語だ。
 新二の幼なじみの天才スプリンター・連の走りをこの目で観てみたい。
 細身の彼のスタートからの爆発的な加速が巻き起こす風に魅了されて新二も陸上を
始めたように、連の走りのうつくしさをめいっぱい想像してまた胸が高鳴った。

 新二の明るく素直な性格がいい。
サッカー選手として将来有望な兄と比較しながらも、
着実に「速くなる」ために全力で仲間とともに練習に取り組む日々が描かれる。

 顧問のみっちゃんに、2年生の400Mが専門の守屋さん、
陸上強豪校の鷲谷の仙波、と新二に影響を与える登場人物もいい。

 だけど何よりすばらしいのは、
チームメイトの根岸くんなのだ!
 新二と連をいつも見守っている愚直な400Mを専門にするロングスプリンター。
 連が夏合宿を抜け出し深夜必死に探し出したときに連に云った言葉は、
彼だからこそ、胸に響くのだ。

 「おまえの走りを見ていたいんだ。短距離やってるモンの夢だ。おまえの走りは。
  一度でいいから、おまえみたいに走ってみたいよ。夢を見るよ」

 何度読み返しても、ここでいつも泣いてしまう。
 根岸くんは、連や新二がとまどっているときに、前を向かせくれる親友なのだ。
 読者をさらにわくわくさせるボタンを押してくれるのだ。
 1巻ではP208の根岸くんのセリフも新二を勇気づけている。
 彼に関しては3巻でめいっぱい感動できる。
 どうぞどうぞお楽しみに!
 

 

真実に出会う瞬間5
全部読むと数百ページになる長いお話である。しかし書いてあることを要約すれば
「高校生の男が走る」という、ただそれだけだ。
セックス・シーンは皆無。暴力もふるわれない。人が死ぬ場面もない。主人公や恋人が
突然白血病になったりしない。通俗的なドラマで話を盛り上げるために導入される要素が
ほとんどない。
それでいて読後には読む前とは異なる世界が眼前に拡がる。もしかしたらこの世の中は
すごく魅惑的なものにもなりうる。そう感じて生き返った気がする。
ただ走る話である。走るというシンプルなことからも、希望や真実は伝わる。