武田勝頼〈1〉陽の巻 (講談社文庫)
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商品の詳細
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- 発売日: 2009-09-15
- 版型: 文庫
- 509 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
青年武将勝頼は偉大な父武田信玄の後を継いだ。ところが武田の御親類衆や信玄が育てた家臣団は信玄の遺言をたてに、なかなか勝頼に実権を与えなかった。しかし世継ぎの式を経て若統領と認められた勝頼は、ついに織田軍と一戦を交えるべく号令をかけた。ときに凡将愚将とも評価される勝頼の実相に迫る歴史大作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
新田 次郎
1912年長野県生まれ。無線電信講習所(現・電気通信大学)卒業後、中央気象台(現・気象庁)に勤務。’56年『強力伝』で直木賞、’74年『武田信玄』ならびに一連の山岳小説により吉川英治文学賞受賞。’80年67歳で他界した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
歴史に忠実で中立
武田信玄の跡継ぎとして、武田の棟梁となった勝頼の一生を描く歴史大作。
全三巻を通して、
(1)武田勝頼は通説で言われるような凡将愚将だったのか?
(2)長篠の合戦は馬が鉄砲に負けた、それが真実なのか?
という大きな二つのテーマを掲げています。
勝頼を中心として、信長、家康等の敵将、さらに使者や忍などの、
一人一人の人物像にも注目して、それぞれの思惑、攻防、駆け引き、
生き様が描かれているのが見どころ。
作者は非常に歴史に忠実かつ中立な立場をとっていて、
史実を基調としながら、何が本当で、何が後世の脚色で、
何が作者の推察、見解なのかを本書の中で明確に表しています。
(一)陽の巻では、
勝頼の生い立ちから、長篠の合戦前辺りまでの話が展開されています。
勝頼青年期、父信玄時代のしがらみに悩まされながらも、
武田の棟梁として成長すべく、生き生きとした勝頼の姿が描かれています。
古い地名や、城の名前がたくさん出てくるのですが・・・
巻末に領土図や細かい城の位置を示した地図が載っているので
諸将の勢力や軍の進路を知るのに役立ちました。
武田勝頼の実像を描こうとした最初の小説
新田次郎さんが小説「武田信玄」を書いた後、
「続、武田信玄」として雑誌に連載したのがこの小説です。
新田さんは諏訪の人で武田信玄と故郷の姫君が儲けた息子の勝頼には
郷土の人間として、また歴史研究家として愛着があったそうです。
勝頼の威徳をしのんだ甲府の有志が立てた石碑すら破壊される有様をみて
小説に書こうと一念発起したとか。
当時(70年代後半)の通説では勝頼は愚将として評価され
小説を書かれていた新田さんにも抗議の手紙が来るほどでした。
勝頼を主人公に真面目に書こうとした長編小説はこの作品がおそらく初めてだと思いますし
内容も当時得られる限りの資料と取材を元に
武田、織田、徳川、上杉、北条の力関係、そして武田家臣団の深刻な対立を背景に
なぜ武田勝頼は滅ばなければならなかったのかを追求しています。
「武田信玄」でのひたすら理想の武将である信玄の描写とはうって違い
この小説では内部崩壊しかけている武田家を必死に支えようとしている
等身大の男、勝頼の苦悩が描かれています。
武田家だけではなく、織田と徳川の圧迫感のある同盟関係の描写もあります。
特に長篠の戦の前、諜報と世論操作、戦争を勝利に導く陰謀の数々。
織田との一方的な力関係のもと、苦悩する家康の姿も。
高天神城をわざわざ武田に明け渡した信長の策略など、非常に緊張感があります。
事なかれ主義の譜代家臣団と対立し、むざむざと好機を失っていく勝頼とその側近武将たち。
武田家の悲劇が始まろうとしていく・・・。
実は信長が嫌いだったのかな?新田さんは。それを差し引いても名作だと思います。
「武田信玄」よりもはるかに完成度の高い小説だと思います。





