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魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)
By 伊坂 幸太郎

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  • 発売日: 2008-09-12
  • 版型: 文庫
  • 369 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊坂 幸太郎
1971年千葉県生まれ。’95年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞短編部門、’08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

いかんせん消化不良のような気が・・・3
伊坂作品は、スト−リ−自体も良いのは当たり前だが、作中の台詞回しが絶品である。
この作品も、理屈っぽいともいえる会話部分に、かなり楽しませてもらった。
特に新聞紙を折ると・・・の部分は私達の一般会話のネタにも十分使えるのでおいしい!!

ファシズムの始まりって、こんなものなんだろうな?という説得力のある展開。
いつもながらの個性的な登場人物。
伊坂カラ−満載で、彼の作品以外の何者でもないのだが、いかんせん消化不良の感は否めないように思う。
盛り上がりにももう一つ欠けているような・・・・。

収録2話分の分量で”魔王”を書いて欲しかった。

人は言葉に縛られている4
 超能力という要素が含まれているが、それはこの作品をノンフィクションからフィクションにするための手法に過ぎない。そんな気がした。
 頭が良いの定義は難しい。人が知らないことを多く知っている人も頭が良いように見えるが、それは知識が豊富なだけだ。本当に頭が良い人は、何もないところから価値あるものを生み出せる人のことを指すのだろう。しかし、この知識がすさまじい量だったらどうだろう。生み出すまでもなく、ただ持って来れば十分に価値あるものに見えるかもしれない。つまり、通常は、情報を入手し、考察し、判断するというプロセスを経なければ行動できないのに、考察するというプロセスをアウトソーシングすることで、考察結果を入手し、判断するということでよしとする世界になりつつあるのではないだろうか。この結果として、人々は誰かの言葉を自分の考えであるかのように錯覚して行動することになる。
 安藤は、考えろ、考えろ、マクガイバー、と言う。彼は、考え、行動することによって、世の中の流れを押しとどめようとするが、結局は濁流に飲み込まれてしまう。潤也は、濁流の外にあって、流れを変えようとする。そして犬養は、流れを作り出していた側だったはずなのに、おそらくは、いつの間にか自分も流されてしまっていることに気づいたのだろう。
 彼らは自分の考えで行動し、発言しているはずだった。しかし、本当にそれは彼らの言葉だったのか。かつて存在した誰かの言葉だったのではないか。本当に彼らは考えて行動しているのか。そして自分は…
 おそらくそこに魔王はいる。

終わり方が…2
何気ない日常の中で進行するファシズム…というのがこの作品の主題なのでしょうが、
張られた伏線は答えを何となく匂わせるだけで回収することもなく、
そもそも登場する政治家、犬養の目指していたものがファシズムで、
起こったいくつかの事件が犬養が企図したものだったのかすら曖昧で、最後の最後にまた謎を生んで、唐突に終わります。
最後の文章の後に続く空白と、あとがきでやっと終わった事がわかるくらいで、
読み終えた後は途方に暮れるぐらいです。

国民の政治への無関心と、伊坂作品の独特かつ面白い台詞回しやセンスはよかったのですが、
あまりにも読者を突き放しすぎている気がしました。