猿丸幻視行 (講談社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #197545 / 本
- 発売日: 2007-12
- 版型: 文庫
- 444 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき―百人一首にも登場する伝説の歌人、猿丸太夫が詠んだ歌に秘められた謎。そして“いろは歌”に隠された千年の暗号とは?友人の不可解な死に遭遇した、後の民俗学の巨人・折口信夫の若き日の推理が、歴史の深い闇をあぶりだす。江戸川乱歩賞受賞の永遠の傑作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
井沢 元彦
1954年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。TBS報道局に在職中の1980年『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。以後、執筆活動に専念し、歴史ミステリ作家として活躍する一方、独自の史観で日本史と日本人の謎に迫る著作を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
井沢元彦って推理作家だったんだ
私が始めてこの本を読んだのは、もう20年以上前のことだと思います。
友人が突然
「この本あげるから読め!」
と私に、読み終わったばかりの文庫本を押し付けてきて、
「私はもう1冊新しいの買い直すからいいの。これはあげるから。絶対面白いから読んで。もしつまらなかったら捨てて」
とまで言うのです。それが「猿丸幻視行」でした。
そこまで言うなら…と思ってもらったのですが、で、ほんとに面白かったのです。その日のうちにイッキ読み。
私は友人から譲り受けたのと同じ方法で、別の友人に本をあげて、新しいのを買い直した記憶が3回くらいあります。
何が面白かったかというと(中略)特に日本史とか古文とか歴史ものに興味がある人にはぜひおすすめ。もちろん推理小説です。
30年近く前の作品。未だにその面白さは色褪せず。
ハードカバーが大嫌いの自分が迷わずに買ってしまった作品。島田荘司氏の「占星術のマジック」を抑えて乱歩賞を受賞したことで、ある意味有名とも言える。
だが、島田荘司氏を抑えたのも充分納得できる出来だ。
……家の者に千数百年前の怨念が甦って祟りをなしていく……とかいうの好きなんですよ(でも大概しょぼいのが多いけど……)。
で読み始めたら面白くって一気に読破(徹夜で)。基本的には暗号物ですが、その暗号の難解さと、その暗号に隠された背景の重さがメインになっていきます。
考えてみれば日本版ダビンチコードと言った感じ(暗号や背景の複雑さ面白さは断然本編が上)。
この作品の凄さは、なんといっても殺人等に一切手抜きがないこと。
大抵の暗号物なんかだと、殺人等はおざなりだったりするものだが、本作にはかなり出来の良い密室トリックが使われている。なのに作者は、その謎を余り引っ張らない。ぱっと出してぱっと解決だ……。ある意味推理するヒマも無いくらい……、凄い。
最近は古代史研究などで面白いものを出してくれる作者だが、既にこの頃からその方向は垣間見えている。この作者のファンも、そうでない人も、充分楽しめる力作である。
重厚かつ壮大な歴史ミステリ
週間文春1980年 総合1位
本書は、過去の人物と同化できる幻視効果薬なるものが登場し、精神的な時間旅行のくだりから始まる。ここは全く根拠薄弱。薬の同化作用により、主役が折口信夫にかわってから、理詰めの論理展開がなされることとなる。が、序盤とのギャップには、戸惑ってしまった。
メインは、暗号解読をとおして、柿本人麻呂と猿丸大夫の同一説、さらには、歴史に埋もれた闇を解明していく、重厚かつ壮大な歴史ミステリである。膨大な情報量は圧倒的。同じ引用が繰り返される点が、冗長だとの評があるけれども、緊張感を損なうほどではなく、もの覚えの悪い私は、非常に助かった。残念ながら、私は折口信夫の事跡も、飛鳥時代の政情にも暗いので、楽しみも今ひとつかもしれないが、有識者には十分満足いくのではないだろうか。不可能犯罪を織り込んだり、(ニアミスではあるが)東条英機や、南方熊楠を登場させたりと、作者のサービス精神も見ることができる。
この時代を知りたいという意欲が、多少なりともうまれたのは、本書を読了した最大の収穫であった。難があるとすれば、作者が、過去の幻視にこだわった理由が今ひとつ分からなかったことだろうか。





