新装版 避暑地の猫 (講談社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #168721 / 本
- 発売日: 2007-07-14
- 版型: 文庫
- 282 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは?人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮本 輝
1947年兵庫県神戸市生まれ。追手門学院大学文学部卒業。’77年『泥の河』で太宰治賞、’78年『螢川』で芥川賞、’87年『優駿』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。’95年の阪神淡路大震災で自宅が倒壊。2004年『約束の冬』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
恐ろしくも妖しい、宮本ノワール
『避暑地の猫』(昭和60年3月単行本刊行)の新装版。著者の作品の新装版が続けて出ていることをまずは喜びたい。
タイトルに「ノワール」と使ったが、当時このことばは一般的ではなかった。今ならそう呼んでもいいのではないか。軽井沢に広大な別荘をもつ社長一家(布施家)と別荘番一家(久保家)。二つの家族の長年にわたるおぞましい関係と惨劇。それが当時17歳だった修平の回想の形で描かれる。
久保家・・・足が不自由で寡黙な父、聖女のようであったはずの母、「異様な美しさ」をたたえた姉。そして修平。布施家・・・財閥の娘と政略結婚し圧力下から抜け出そうと画策する社長、プライドが高く毒のある夫人、二人の娘。二つの家族にかわされた約束と秘密に修平が気づき、ある偶発的な事件を契機に、破滅へと向かう物語である。彼らの秘密とは、我欲と悪意、歪んだ愛情、狂気・・・それらが複雑に絡み合うものであり、各人の口から断片的な告白がなされるものの、真実という像が結ばれる前に炎に焼き尽くされてしまう。いや、真実と呼べる確たるものなど果たしてあったのか。
秘密を知った修平も、地獄へと向かうことになる。人間のダークサイドがどんな巡り合わせによって拡大、変質するか。内なる「魔」が何によって熟し、何を為すに至るか。悪魔となった人間が何に裁かれるのか。ミステリアスに、淫靡に悲劇的に描かれ、強烈な印象を残す作品だ。
ねっとりと絡みつくような文体、謎を煽る文章、修平の入り組んだ内面描写、象徴的な挿話・・・若い読者のかたは少々読みにくいと思われるかもしれない。だが、事実が、人の心が錯綜する、恐ろしくも妖しい謎めいた物語には、いかにもそんな書き方がふさわしいと思う。歯ごたえのある作品を求めているかた、おすすめです。
軽井沢の豪華な別荘で・・・
本書は軽井沢の豪華な別荘が舞台になっており、夏の間だけ別荘を利用する上流階級の家族と、その別荘の管理人として雇われている貧しい家族によってドラマが繰り広げられる。
この小説を読んで感じたのは、天と地ほどもギャップがあるように見える二つの家族が、愛情や憎悪や欲望がからみ、それが表面化すると、上流も下流もない裸の人間同士の姿になるという不思議さである。
物語の真相と結末が知りたくて、ほとんど一気に読んでしまったが、
この物語の登場人物中、最も魔性を秘めた人物は○○だと思うのだが、○○についての掘り下げた記述が乏しく、結果的に現実味に欠けた話になってしまったのは残念だと思う。
耽美な軽井沢もの
軽井沢ものである。
日本で唯一、爽やかにも耽美にもなれる街、
軽井沢を舞台にした小説は、相当数ある。
宮本輝の醸し出す舞台の雰囲気は限りなく耽美である。
雨も木々も豪邸もワインセラーもすべて 耽美の小道具。
登場人物達は深い闇を背負いながら、
破滅あるのみの地点に向かって生きている。
姉弟のその後に至るまで
どの時点でもストーリーは惹き付けて離さない。
一度ページを開いたら、
主人公と一緒に最後まで疾走するしかないですよ。





