輝く日の宮 (講談社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #140332 / 本
- 発売日: 2006-06-15
- 版型: 文庫
- 479 ページ
エディターレビュー
出版社 / 著者からの内容紹介
女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。
内容(「BOOK」データベースより)
女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。朝日賞・泉鏡花賞受賞作。
著者について
1925年山形県鶴岡市生まれ。東京大学英文科卒。作家。'68年『年の残り』で芥川賞受賞。『たった一人の反乱』で谷崎賞、『忠臣蔵とは何か』で野間文芸賞、『樹影譚』で川端賞、『横しぐれ』英訳で英紙インデペンデント外国小説賞特別賞、『新々百人一首』で大佛次郎賞、本作品で朝日賞、泉鏡花賞など受賞多数。
カスタマーレビュー
源氏物語を軸にした知的冒険
メインテーマは源氏物語の幻の一章ですが、ほかに奥の細道もあり、宮本武蔵もあり、日本文学(史)に興味のある人にとっては楽しみの多い一冊です(逆に、文学の成立裏話やトリビアに興味のない人だと読み飛ばしてばかりであまり楽しめないかも)。
私自身は前に中央公論社からでた、大野晋との対談「光る源氏の物語」を読んでおなじみの説が素材だったこともあり、わりとぐいぐい読み進められました。氏の軽妙な語り口にして博覧強記なエッセイがそのまま長編小説に引き延ばされた感じで、ファンなら夜更かし覚悟です。小説の構成上、いろいろな仕掛けがあって、途中から読み返したくて落ち着かなくなります。
ここで源氏物語に興味が出たら、上記「光る源氏の物語」(文庫もあり)がおすすめです。
源氏物語の真実
2003年泉鏡花賞受賞作。
『源氏物語』には「桐壺」と「帚木」の間に、「輝く日の宮」という巻
が失われているという学説があります。『源氏物語』は長編小説とし
て、そのあとの巻との整合性が欠けているのです。この巻には光源氏と
紫の上のとの一度目の情事、朝顔の姫の登場、六条御息所との関係のは
じまりが書かれているとされています。
そのようなことがどうして起きたのか、ということを女性研究者が解い
ていく小説。文学的な謎を、史学的にも考察し、さらには平安時代への
想像力を働かせます。
この女性研究者は19世紀日本文学が専門なのですが、『古今集』巻
19の伊勢の歌の「つくるなり」の文法上の正しさから本意を指摘した
り、芭蕉の東北への旅の目的を明らかにしたり、「日本の幽霊」のシン
ポジウムに出席したり。専門外での活躍とその学術研究結果が優秀とい
う、ユニークさ。
ところが自分の領域を冒された研究者にしてみれば、おもしろくない。
公開シンポジウムでほかの研究者とやりあう様は読ませます。人のゴタ
ゴタがおもしろいのと一緒ですね。
また彼女の父親が日本生活史研究者であり、彼からの学会での姿勢や、
研究の方法論などの指南があり、研究者としての丸谷才一を感じます。
さらに彼女が中学生の頃に書いた新左翼との恋愛小説や、実際の恋愛を
絡めながら、源氏の謎を解いていきます。小説としての楽しさは円熟の
筆で読ませるのはあたりまえ。研究の楽しさ、奥深さも堪能できます。
すっかり「輝く日の宮」存在説支持派になりました。
心躍る物語
わくわくしながら、読み進めました。
国文学の研究家である主人公が、「源氏物語」についての考察を進めていく思考過程をとても面白く思いました。文献だけに頼らず、紫式部の性格、物語が書かれた時代の息吹にまで思いを馳せながら、源氏物語の謎を解いていく主人公の思考過程を読み進めていくのは、まさに心躍る瞬間でした。一章ごとに考察が進み、最終章の「源氏物語」の謎解きともいえる会話は、まさに「裏版源氏物語」。「思考のレッスン」「恋と女の日本文学」をお書きになった著者の、知と思考、人間観の集大成だと思いました。再読の価値ある本です。





