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野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)
By 魚住 昭

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  • 発売日: 2006-05-16
  • 版型: 文庫
  • 435 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
権謀術数を駆使する老獪な政治家として畏怖された男、野中広務。だが、政敵を容赦なく叩き潰す冷酷さの反面、彼には弱者への限りなく優しいまなざしがあった。出自による不当な差別と闘いつづけ、頂点を目前に挫折した軌跡をたどる講談社ノンフィクション賞受賞作。文庫化に際し佐藤優氏との対談を付す。

内容(「BOOK」データベースより)
権謀術数を駆使する老獪な政治家として畏怖された男、野中広務。だが、政敵を容赦なく叩き潰す冷酷さの反面、彼には弱者への限りなく優しいまなざしがあった。出自による不当な差別と闘いつづけ、頂点を目前に挫折した軌跡をたどる講談社ノンフィクション賞受賞作。文庫化に際し佐藤優氏との対談を付す。

著者について
1951年熊本県生まれ。75年一橋大学法学部卒業後、共同通信社に入社。87年から司法記者クラブに在籍し、リクルート事件などの取材にあたる。96年退社。著書に『渡邉恒雄 メディアと権力』(講談社文庫)、『特捜検察』(岩波新書)、『特捜検察の闇』(文春文庫)、また共同通信社社会部編として『東京地検特捜部』(講談社+α文庫)、瀬島龍三を徹底取材した『沈黙のファイル』(新潮文庫)などがある。本書で第26回講談社ノンフィクション賞受賞。
対談者・佐藤優(さとう・まさる)
1960年埼玉県生まれ。83年同志社大学神学部卒業。85年同大学院神学研究科修了。86年、ノンキャリアの専門職員として外務省に入省。ロシアでの情報活動で活躍し、「異能の外交官」「外務省のラスプーチン」などの異名をとる。2002年に背任容疑、偽計業務妨害容疑で逮捕。04年10月、保釈。05年2月に執行猶予付き有罪判決を受ける(現在控訴中)。一審判決を機に、捜査の内幕や背景などをつづった『国家の罠』(新潮社)を出版し大反響を呼ぶ。


カスタマーレビュー

謀略を尽くす一方で弱者に優しい鵺のような政治家の評伝5
野中広務;不思議な政治家だと思っていました。田舎の町長から府議会議員へ、そして50歳半ばで中央政界に来たら、わずか10年余で権力の中枢へ上り詰め、小泉政権からは抵抗勢力の代表として引退を余儀なくされた男。 ある時は保守、ある時は親共産党知事の懐刀。 そして誰よりも役人と同僚政治家に恐れられた男。反面、弱者には優しい男。このような男の真相に、気鋭のジャーナリストが挑んだ力作です。
野中は言う、「君が書いたことで私の家族がどれだけ辛い思いをしているか」。 それに答えて著者が言う。「誠心誠意書きました。これが私の業なのです」。 野中の育った環境、時代背景、政治的闘争歴が彼の政治家としてのありようを規定したことが克明に語られています。 現在進行形の政治の姿を知るまたとない本といえるでしょう。 また、文庫版は、著者と異彩の元外務官僚佐藤優の対談と佐高信の解説がついており、単体でも読ませる濃い内容となっていました。現代政治とどろどろした地方風土を理解する上でまたとない本としてお奨めです。

著者もまた、野中に魅惑された一人でしょう、明らかに4
文庫版で新たに収められた著者と佐藤優との対談で、佐藤は先行する魚住の2つの評伝(瀬島龍三・渡邉恒雄)について「役割を終えていると、そういう前提で全体を整理したわけですよね」(p411)と指摘した上で、今回の野中伝については「どういう違いがありました?」と問いかけている。著者も佐藤も明確に回答を与えていないけれど、やはり、前2作と同様だと私は思う。
 確かに著者は野中の「弱者へのやさしさ」を強調しているが、他方で「独自の国家戦略を持たず、与えられた役割に忠実すぎる野中の弱点」(p357)を指摘し、「やさしさ」についても沖縄の基地問題にからめて「野中が目指したのはあくまでも沖縄の痛みをやわらげることであって、痛みそのものを除去することではない」(p357)と分析。野中が暗躍してまとめた自自連立・自自公連立については、ジェラルド・カーティスの言葉を借りて「それ以来、日本の政治は後退してしまった」(p377)と評価。
 1999年、野中は加藤紘一の乱をアメとムチで鎮圧したものの、自民党の旧体質に対する国民の失望と怒りを招き小泉フィーバーを招来してしまう。「野中は自らの墓穴を掘ったと言うべきだろう」(p383)という著者の言葉は、厳しい。
 本書は野中の出自をめぐる記述に始まり、2003年9月の野中最後の自民党総務会における、麻生太郎の差別発言に対する痛烈な抗議の場面で閉じられる。日本の最高権力一歩手前まで達しながら、自ら身を引かざるを得なかった男の、まさに「差別と権力」の物語。野中の冷酷とやさしさ、辣腕と限界を出自に収斂させすぎる疑問も感じるが、とにかく読ませることは間違いない。

悪夢のように面白い5
後書きで講談社は訴えられたら負けるでしょうと佐藤優氏が言っているが、
多分負けるんだろうなあという切り込みっぷり。
どこまで真実なのか。これは事実なのか。と思わざるを得ない赤裸々な描写が、
しかし感情を抑えた切れのよい筆致でテンポ良く綴られる。
すこしアクが強すぎて一気に通読はできなかった。
これを読むと、今回の政変についても、いろいろ思うところがある。
野中氏の、というか政治家一般の評価とはえてして難しいのだろう。
私設秘書の給料流用すれば、事務所運営にしか使ってなくてもガンガン叩くマスコミ&世論と実態の乖離を非常に感じる。
どちらがより歪んでいるのか。まだ考えがまとまらない。
とにかく、悪夢のように面白かった。

佐藤氏との対談も良かった。

後は、あてられ過ぎないようにしなきゃいかん。そう思う。