闇の歯車 (講談社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #22258 / 本
- 発売日: 2005-01
- 版型: 文庫
- 282 ページ
エディターレビュー
出版社 / 著者からの内容紹介
川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を<押し込み強盗>に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。
内容(「BOOK」データベースより)
川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を“押し込み強盗”に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
藤沢 周平
昭和2年12月26日、山形県生まれ。昭和24年3月、山形師範学校卒業。昭和32年、東京で業界紙に就職する。以下二、三の小業界紙を転々。昭和35年日本食品経済社に入社、以後十四年数ヵ月同社に勤め、日本加工食品新聞の編集にたずさわる。昭和46年4月、オール読物新人賞の「溟い海」を「オール読物」(6月号)に発表。昭和48年1月、「暗殺の年輪」を「オール読物」(3月号)に、同作品で第六十九回直木賞を受賞。昭和60年11月、『白き瓶』を文芸春秋より刊行、翌年同作品で第二十回吉川英治文学賞を受賞。平成元年11月、第三十七回菊池寛賞を受賞。平成2年1月、『市塵』により芸術選奨文部大臣賞を受賞。平成6年1月26日、93年度朝日賞を受賞。2月25日、第十回東京都文化賞を受賞。平成7年11月3日、紫綬褒章受章。平成9年1月26日死去。3月8日、山形県県民栄誉賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
市井ものと武家もの両方が楽しめる
藤沢作品は市井もの、武家もの、歴史ものの3つのジャンルに分けられ、それぞれおもしろいのですが、普通、これらのジャンルは1つの作品の中で交わることがありません。
この作品では、犯罪をめぐって、町人も武家も出てきて、おまけにそんなに長くない、ということで1冊に藤沢作品のエッセンスがつまっています。
それと、この手の犯罪小説では、登場人物のその後が取って付けたようなものになりがちですが、この作品は、納得できる終わり方でした。
昭和51年に書かれた作品なのに決して古くなっていない。すでに古典となっているといってもいいと思います。
藤沢周平の持つ二面がわかる秀作
読ませる作品である。
といっても、藤沢作品はどれも読ませるんだけれど。
この作品には、5人の主人公がいて、
それぞれの終わり方を迎えるのであるが、
その終わり方に、藤沢周平の揺れ動く心が現れている気がしてならない。
40代も半ばを過ぎれば、ほぼ人生の先が読めてくるが、
いったい自分はこのうちの誰のパターンを望むだろうと考えると深い小説である。
「歔欷」とはむせび泣きのこと
藤沢周平氏は28歳の愛妻をガンで看取ったとき、自分の人生もいっしょに終わったと思ったのだという。しかし乳児がいたので死ぬことも出来ず、屈折した想いを小説にぶつけていった。氏は優しいので、自分の思いをストレートに出すことはせず、エンターテイメント小説として読ませる工夫を怠らなかった。氏の初期の作品群には、闇の中に自ら落ちていきたい想いと、市井の人々が希望や小さな幸せを抱えながら必死に生きていく様と、読ませる工夫に満ちたサスペンスや仕掛けが、いつも緊張感をもって同居していた。その時々でどちらかに比重は傾くのだけど。
この作品は、自らの想いを闇の歯車として動く四人に投影している。藤沢作品の中でも『重たさ』は際立っているだろう。特に武士の伊黒がいっしょにかけ落ちをした妻を見取る場面に私は胸が潰れた。「四半刻ほど、伊黒は凝然と死者の顔を見まもった。心の中に、私は悔やんではおりません、という静江の声が鳴りひびいた。そして伊黒は、その声とひびきあう自分の歔欷の声を聞いていた。」声無き声で啜り泣く伊黒の姿が氏の姿に重なる。




