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1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)
By 村上 春樹

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  • 発売日: 2004-11
  • 版型: 文庫
  • 183 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
僕たちの終章はピンボールで始まった
雨の匂い、古いスタン・ゲッツ、そしてピンボール……。青春の彷徨は、いま、終わりの時を迎える
さようなら、3(スリー)フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との<僕>の日々。女の温もりに沈む<鼠>の渇き。やがて来る1つの季節の終り——デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く3部作のうち、大いなる予感に満ちた第2弾。

内容(「BOOK」データベースより)
さようなら、3フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との“僕”の日々。女の温もりに沈む“鼠”の渇き。やがて来る一つの季節の終り―デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く三部作のうち、大いなる予感に満ちた第二弾。


カスタマーレビュー

偏愛している作品5
 デビュー作 風の歌をきけ と 大作 羊をめぐる冒険の合間の作品で わりと地味とという
評価が多い。
 
 話としては双子の登場、ピンボールを巡る 幾分シュールな展開もあり その後の村上春樹の世界を
強く予感させる作品だ。いくつかの挿話は 結局答えが出てこないまま終わっていく。その辺のもどかしさも 既に村上らしい仕立てになっている。

 但し叙情性に満ちている。特に 冒頭の井戸掘りの話からはじまり 最後は11月の雨で終わる本作は いたるところに水のイメージに満ち溢れている。その鮮烈さも捨てがたい魅力だ。

 そうして これが重要だと思うが 前期村上春樹の一大命題である「直子」という女性が 本作には登場している。その悲劇性は既に ノルウェイの森の「直子」を予告するものになっている。


 三部作の真中は 何でも難しいわけだが 個人的には 極めて好きな作品だ。

青春の哀しみはもう理解できない3
二十数年ぶりに読んでみたものの、理解不可能なまま終わってしまった。
大人になればもう少し理解できるのかな?と思ったけど、若くなくてはわからないこともあるのだということを知った。
大学生でこの本に初めて出会った時に、あまりに気障な文章に生理的嫌悪感を感じたものだけど、やはり今読んでも鼻につく感じがある。
逆に、最近の作品ではあまり感じることがなかったのだけど…。世の中が村上春樹的に洗練されてきたということだろうか?
基本的に、この人の作品に出てくる男の欲望に都合良く作られてるような人形っぽい女の子が好きになれない。
そして、主人公の一見紳士的でソフトでありながら、冷笑的で内向的な卑屈っぽさがどうも共感できない。
要するに、どこか納得できないものを感じてしまうのだ。
でもまぁ、この人の独自の世界ってすごいなと思うし、ストーリーも面白いし、アフォリズムにも感心させられる。
嫌いじゃないんだけど、やっぱりちょっと鼻につく、村上春樹。
何が言いたいんだ?っていうのが素朴な疑問です。
読んでいて少し不愉快になるのは、若い日々の自分の愚かしさを思い出してとても哀しくなるからだろうか。
そういう意味では、タイムリーに青春の哀しみを描いて、若者の支持を得た優れた作品といえるのだろう。

「きばり」がかなりほぐれたデビュー二作目4
今から15年ほど前のこと。
「ノルウェイの森」に魅せられた私は、
この作家の長編小説をデビュー作から順に読み始めた。
デビュー作にして文学賞を受賞した「風の歌を聴け」の翌年に発表された
2作目の長編小説がこの「1973年のピンボール」だ。

「ノルウェイの森」の後で読んだデビュー作ではその「軽さ」に面食らったが、
「1973年の・・」では、その「ブッ飛び具合」に面食らったものだ。
登場人物はデビュー作を踏襲するものの、作品の質は全く違う。
ピンボールへの偏執、双子の姉妹との共同生活、配電盤の葬儀など、
一見何の脈略もない複数の話題が続いていく。
文体は相変わらず読みやすいものの、内容はシュールで難解だ。
それらは単に意味のない話の寄せ集めなのか?それとも深い意味があるのか?
答えは未だに見つかっていないが、
当時20代半ばの私の感性には、なぜか訴えるものがあった。
ただし、誰の感性にも訴えるかと言うと、それはありえない。
多くの人にはこのわけの判らない小説は、ゴミ同然かもしれないが、
残念ながらそれは読んでみないと判らない。

今現在冷静に振り返ってみると、
デビュー作に感じられた作者の「意地」や「きばり」が、
良い意味でほぐれてきているようにも思える。
デビュー作は、そこかしこに独特の表現を散りばめながら、
全体として「普通の青春小説」として成り立つようにも努めていた。
そのデビュー作が評価されて安心したのか、
二作目は「作家本来のやりたいこと」が、より強烈に表現されている。