妖説太閤記〈上〉 (講談社文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #241095 / 本
- 発売日: 2003-11
- 版型: 文庫
- 467 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
色を好んだ英雄の恐るべき大陰謀!!
信長の妹・お市の方に魅入られた藤吉郎は、「天下もとるが、女もとる」とばかり、出世の野望に燃えた。半兵衛と官兵衛という参謀を得て、巧みな弁舌と憎めない面相で正体を隠しながら、冷徹な権謀術数でライバルを蹴落とす。「本能寺の変」すら、天下をとるために仕組んだ筋書きだった。風太郎版・異色歴史小説!
内容(「BOOK」データベースより)
信長の妹・お市の方に魅入られた藤吉郎は、「天下もとるが、女もとる」とばかり、出世の野望に燃えた。半兵衛と官兵衛という参謀を得て、巧みな弁舌と憎めない面相で正体を隠しながら、冷徹な権謀術数でライバルを蹴落とす。「本能寺の変」すら、天下をとるために仕組んだ筋書きだった。風太郎版・異色歴史小説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山田 風太郎
1922年、兵庫県生まれ。東京医科大在学中の’47年、探偵小説誌「宝石」の第1回懸賞募集に「達磨峠の事件」が入選。’49年に「眼中の悪魔」「虚像淫楽」の2篇で日本探偵作家クラブ賞を受賞。’58年から始めた「忍法帖」シリーズでは『甲賀忍法帖』『魔界転生』等の作品があり、奔放な空想力と緻密な構成力が見事に融合し、爆発的なブームを呼んだ。2001年7月28日、逝去。享年79(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
新たな秀吉像
この本を読むまでは秀吉といえば下克上であり、立身出世の鑑として貧しい出
自から己の才覚だけで天下をとった男というイメージがあった。
しかし、しかしである。この風太郎太閤記の醜怪で異様な秀吉の姿をみよ。
秀吉の原動力は『女』なのだ。ただ『女』を求めるためだけに秀吉は天下をとった。
真実がどうだったのかというのは、この際関係ない。風太郎の描く秀吉は実に真にせまって読み手に伝わってくる。実際こうだったのだと信じてしまうくらいに、その人物像は生きている。
史実の裏をとらえる風太郎歴史眼はまさに独壇場で、今なお謎とされている秀吉や信長の言動が鮮やかに解明される過程はまるでミステリそのものである。
本能寺の変の真相が本書に描かれるとおりだったかどうかは誰にもわからない。しかし、風太郎の手にかかれば、それは異様な光芒をはなってくる。
まさに、それが真実なのだ。その圧倒的な世界観は、読む者を狂わせる。いかにそれが異形であっても、デフォルメされてても、そこにいる秀吉が真実なのだ。秀吉は冷徹で女に妄執を抱く醜怪な謀略家である。事実ここまでしなければ、秀吉にはなれないのだと思う。上下二巻圧倒的なリーダビリティを備えた本書は、風太郎ならではの持ち味を活かした傑作。
その小説作法のうまさに酔い痴れていただきたい。
美化された嘘っぱちの英雄伝を破壊する!
「太閤記」が何度もテレビや映画で題材として取り上げられることからも
日本人は秀吉が大好きだということがわかる。
しかし、それは「美化された、嘘っぱちの英雄伝」(下巻より)である。
血を流しながら戦っている男たちを、一歩高いところから眺め、
謀略を用いて駒のように扱いながらシナリオを描いて行く秀吉。
「ずるい」「いやなやつ」という評価があってもいいようなものだが
日本では秀吉は人気の高い「英雄」なのだ。
皆が大好きな秀吉は、実はこんな奴だった、という話にとどまらず
こんな秀吉を、「英雄」と思い、大好きになってしまう日本人が
持っている民族的なDNAに対する絶望感が伝わってきます。
下巻 橋本治の巻末エッセイもスゴイです!
真実は闇の彼方
時の流れというものは、人々の記憶とともに、その時代の真実でさえ闇の彼方に押しやっていくものらしい。考えてみればたかだか60年前の太平洋戦争についてでさえ、未だその真偽をめぐって喧々諤々の大論争をいたるところで巻き起こしている(南京大虐殺しかり、従軍慰安婦問題しかり)。いわんや今を去ること400年以上昔の出来事である。その時代の支配者達の都合の良いように歴史は書き換えられ、真実は闇の彼方へと押しやられて行ったに違いない。ならば既存の概念にとらわれることなく、ある大胆な仮説をたて、鋭い推理力、想像力で闇にうずもれた真実に肉薄していく。これこそ歴史小説の醍醐味ではないだろうか。
確かにこの小説の主人公秀吉の出世譚はあまりにもうまく行き過ぎている感は否めない。しかしながら、時は乱世、血を分けた親兄弟でさえ相争う、己の実力だけがものを言う、下克上の世の中である。彼の出自である貧しい百姓のまま生涯を終えるか、乞食同然で全国を行商しながら這い回り野垂れ死ぬか、あるいは天下人となるか・・・・。
私なら例え万に一つしか可能性が無くても、己の脳漿と持てる力の全てを振り絞り、天下人への道に賭けてみたい。そんな気宇壮大な浪漫を読むものに抱かせる、物凄いパワーと、致死量をはるかに超える毒気を含んだ、恐るべき作品です。





