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被差別部落の青春 (講談社文庫)

被差別部落の青春 (講談社文庫)
By 角岡 伸彦

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  • 発売日: 2003-07
  • 版型: 文庫
  • 291 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
「おもろい奴も、笑える話もあるで」

部落差別はまだまだ厳しいという悲観論があり、一方で楽観論もある。その「間」はどうなっているのだろう。普段は気にしないが、ある場面で差別にぶつかる。そんな人々の日常を書きたいと思った――。丹念な取材を通して語る結婚、ムラの暮らし、教育。しなやかな視線で「差別と被差別の現在」に迫るルポ。

内容(「BOOK」データベースより)
部落差別はまだまだ厳しいという悲観論があり、一方で楽観論もある。その「間」はどうなっているのだろう。普段は気にしないが、ある場面で差別にぶつかる。そんな人々の日常を書きたいと思った―。丹念な取材を通して語る結婚、ムラの暮らし、教育。しなやかな視線で「差別と被差別の現在」に迫るルポ。

内容(「MARC」データベースより)
「おもしろい奴も、笑える話もあるで」。部落育ちの視点で取材し、考えた。教育・家族・結婚・仕事などの切り口から、差別・被差別の現在を描く新しいルポルタージュ。タブーを超え、部落の現在をしたたかに綴る。


カスタマーレビュー

とまどいながらも4
在日韓朝鮮人の3世、4世、それも20代以下の人に「差別されたことある?」とたずねたら、「いやー、ほとんどないでしょ」という答えが返ってくることが多いと思う。被差別部落問題にも、同じ現象がおこっているようだ。というより、この現象は、部落問題に関して、より顕著だろう。

 わたしたち在日には、本名を名乗ることによって自分の出自を明らかにする、という手段もあるし、外国人登録証という「徴(しるし)」も持っている。本国の言語、文化を学んで、アイデンティティ確立の一助とする、ということもできる。

 彼らには、まったくそれがない。被差別部落特有の生活習慣や、「ムラ」の中での一体感も、生活の向上に伴って、徐々に消えつつある(このあたりの事情は、在日にも共通する)。まさに、「差別されていること」自体が、彼らの「徴」となっている。このような構造を前に、「寝た子を起こすな」論が幅を利かすのも、無理からぬ部分があるかもしれない。

 目に見える差別の実態はどんどん薄くなっていっているし、それ自体はよいことなのだが、差別自体はなくなっていない。差別と闘う人たちにとっては、かえってやりにくいとも言える状況である。実際、「こんなに悲惨な生活をしているんですよ」というところから始まる同和教育は、実態とは完全にずれている。

 著者にも、そのあたりの事情に対するとまどいが見え隠れする。だが、それをそのまま出してしまったからこそ、本書の存在意義があるのだと思う。

 インタビューとルポルタージュで構成されていて、肩肘張らずに読める本です。ますます見えない存在になりつつある彼ら。そして、見えないからこそ、恋愛・結婚などを通じてだれもが「関係ない」とは言い切れない彼らの実態を知ることができる。問題の重さを感じつつも、読後感はさわやかである。

同和利権の真相 と併せて読みたい。3
筆者は宝島社の解放同盟批判本「同和利権の真相」を批判している、とのことでしたので、解放同盟寄りの利権擁護派かと思っておりましたがさにあらず、本書は、冷静・公平に部落の人々を描いた名作だと思います。
「部落にいると(経済的に)得だが、ぬるくて何か違う」という、部落の若者自身の言葉を借りて違和感を表現しているところが出色です。部落の若者のほとんどはただ普通に生き、普通に頑張っているだけなのでしょうが、時代の変化に適応しない一部会派の利権漁りの余得を受ける結果、外部の見る目は冷たい、という現代同和問題の構図をうまく表現していると感じました。

繰り返しますが、同和利権に肩入れするような趣旨の本ではなく、むしろ利権廃止と「早期正常化」を祈るもののようで、好感できます。

当たり前ですけど、いろんな人がいろんな風に考えています。5
 「青春」という文字に惹かれて買いました。著者もあとがきで述べていますが、「活字にしろ映像にしろ、そこに描かれている部落は、差別の厳しさ、被差別の実態ばかりが強調されていて、(中略)ひとことで言うと「暗い」のだ。」という部落問題を巡る報道のイメージとは異なる世界を教えてくれるかもという期待を感じたからです。
 予感は的中しました。本書には差別を受けた経験のない部落民も経験のある非部落民も、同和教育に疑問を感じている部落出身の教師も、同和教育が重要だと力説する調査会社の社長も、さまざまな人たちの部落差別に対する考えが書き留められています。一方的に差別を糾弾するわけではなく、1990年代後半の部落差別の状況を可能な限り正確に記録することを目的としているように思えて感心しました。
 著者自身も部落出身であり、実名を公表することで何らかのリスクがあるかもしれないと考えていましたが、迫害や差別を受けることは皆無だったそうです。少しは日本がよい社会になっているのかもしれませんが、何よりもこの本の魅力がそうさせたという気がしてなりません。