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最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)
By 奥田 英朗

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  • Amazon.co.jp ランキング: #6768 / 本
  • 発売日: 2002-09
  • 版型: 文庫
  • 656 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
お先まっ暗、出口なし それでも続く人生か

小さなつまずきが地獄の入り口。転がりおちる男女の行きつく先は?

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢(あつれき)や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった3人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。
比類なき犯罪小説、待望の文庫化!

内容(「BOOK」データベースより)
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。

内容(「MARC」データベースより)
零細工場主と恐喝常習者が「人生の敗け組」という運命に唾をはいた。なぜ人は平凡な日常から墜ちていくのか? 犯罪に追いつめられる人間の心理をあますところなく描く比類なき犯罪小説。


カスタマーレビュー

これを読んで奥田に嵌りました5
読書嫌いの私が仕事でイッパイイッパイの時に、『最悪』という表紙と「三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める」という展開が面白そうだと思って購入。

この本には主人公が3人いて、共通点がまるで無い。その一人ひとりの生活が実に丁寧で分かりやすい表現で描かれいるため、小説初心者でも読んでいて入り込み易かった。

その3人の性格や人生が前半〜中盤までゆっくり描かれていたおかげで、後半3人が一緒になってからの同じ場面でも3人それぞれの緊迫感が味わえた。
人生転がり落ちるのは早いものと思い知らされる作品だった。

これを読むと絶対、大藪晴彦賞受賞の『邪魔』も読みたくなり読む。そして『東京物語』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『真夜中のマーチ』、『ウランバーナの森』、『野球の国』、『サウスバウンド(上)(下)』と8冊一気に購入し読破してしまった。
奥田作品は、作風が毎回違って飽きない。だから嵌った。
その嵌らせた記念すべき一作品目が私の場合『最悪』だったので、思い入れが強い。

加速のついた乗り物から降りるのは難しい5
三本の坂道がある。はじめ勾配は緩やかだ。それが徐々にキツさを増していき、三本道が合流した時、物語はもう止めようがないスピードで展開する。その加速度で読ませる小説だと思う。

読み進めるほどに、ひたひたと迫る不幸の予感。何せタイトルが『最悪』である。些細な出来事、主人公三人の一挙一動にも不穏な影がちらつく。心臓に悪い小説は本来苦手。しかしもう嫌だと思いつつ、読むのをやめられない。加速度のついた乗り物から飛び降りるのは、乗り続けるより難しいのだ。ようやく、坂道の終着点を見届けた時、辛抱に耐えた甲斐があったと思った。

加速度を際立たせるのは、切迫感のある心理描写だ。鉄工所の社長、チンピラ、銀行員の女性の日常を、心のうちを、なぜここまで踏み込んでリアルに文章化できるのだろう。

いまさら『最悪』の感想でもないという気もしたが、伊良部モノや『マドンナ』などを読んだ流れで本書を再読。改めて作風の幅広さに感じ入り、レビューを書きたくなった。

ここまでひどくなくって幸せ?4
ごく普通にまっとうに生きているつもりなのに、なんだかやることなす事、裏目にでちゃうことって、ありますよね。
どうしてそうなるの?ってくらい、うまく行かないときはうまくいかない。

だけど、まあたいていは、どっかでちょっと反転したり、思いがけずに踏みとどまる道がみつかったりするもんだけど、この主人公たちは、そうはいかない。これでもかこれでもかって言うほど、悪いことが重なって、加速度がついて転がり落ちる犯罪への坂。

本人たちだって「なんで、どうして?」って思ってるだろうってほど、スピード感あふれる展開に、思わず、読むのがやめられない、止まらない状態になります。

中盤あたりまでは、主人公三人の日常生活と、なんとなく不穏な空気になっていく様子を、細かく丁寧に描いていて、終盤、思いがけず犯罪を犯してしまうことになってからが、ジェットコースタームービーさながらで、悲惨なのに、思わず笑っちゃうシュールなシチュエーションの連続です。

なんか、普通に暮らしてても、はずみでこんなことになっちゃうかもって、怖くなったり、いゃあ、ここまでひどくなくって幸せって思ったり。
分厚い文庫読みして、久々にがっつり読んだぁって気分味わえました。