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霞町物語 (講談社文庫)

霞町物語 (講談社文庫)
By 浅田 次郎

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  • 発売日: 2000-11
  • 版型: 文庫
  • 275 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
僕はこの町で学び、恋を覚えた
かつて霞町と呼ばれた麻布界隈を舞台に、著者自身の青春を綴る傑作。

青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。浅田次郎が初めて書いた、著者自身の甘くせつなくほろ苦い生活。感動の連作短編集。

内容(「BOOK」データベースより)
青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。浅田次郎が始めて書いた、著者自身の甘くせつなくほろ苦い生活。感動の連作短編集。

内容(「MARC」データベースより)
会いにいきたい、あの日の君に。輝かしい青春を、僕らはこの町で生きた…。浅田次郎が初めて書いた、著者自身の感動の物語。


カスタマーレビュー

「僕の」目に映った美しい祖母の姿5
初めて読む作家の短編集だ。著者の名前は知っていたが、ついぞ作品を読む機会がなかった。

 いま、小生は闘病生活中で、楽しみのひとつはラジオを聴くことだ。そのなかでも毎週日曜日の深夜にNHKラジオ第1放送で10時15分から始まる短編の朗読番組である「文芸館」が何よりも好きだ。
                                  
 アナウンサーの朗読の声が耳に心地よく響く。風景描写や登場人物の感情の起伏のそこかしこに入る音響効果が臨場感をかもし出す。

 この番組を聴いた途端に現物を読みたくなる衝動に駆られ、翌日には放送された作品を入手すべく手配する。そうして活字を読み再び感動に浸る。またアナウンサーの朗読の声が耳に蘇る。                           
 同作品は短編8話で、4話が青春時代の恋愛と4話が幼年から少年にかけての家族の思い出とからなっている。その後半の4話のひとつに祖母の思い出を扱った「ひな;雛のはな;花」がある。

 明治生まれの「僕」の祖母は生粋の江戸っ子で、あでやかで美しく、白黒をはっきりさせぬと気がすまぬ人であった。帰宅途中で立ち小便をした子供がいたとお節介な通行人から学校に通報があり、朝礼のあとで犯人捜しが始まる。校長の追求がことのほか厳しく長かったので、お手洗いに行きたくなって「僕がおしっこをしました」とえんざい;冤罪を買って出た。それを聞いた祖母は校長室に怒鳴り込みに行って、孫の無実を晴らす。

 祖母によく歌舞伎に連れていってもらった。とある日ある紳士と会場で出会う。はっきりとはせぬが祖母の恋人のようだ。芝居が跳ねてから、つれなく立ち去る祖母。その後姿を追う僕。

 掛け値なしに美しい祖母をこよなく慈しむ筆者。その筆には淀みがまったく感じられない感動の一遍だ。
                           
 NHKの同番組をお聴きすることをおすすめしたい。あなたも短編作品の虜になることは間違いない。

豊かな青春5
高度経済成長の只中にある日本。豊かさの恩恵を被る、主人公の高校生。周りから見ればただ享楽に耽っているように見えても、その楽しさが刹那である事を知っている。傍若無人のようでいて、さりげない気遣いを忘れない。戦争が終わってから20年以上経ち、時代と共に変わっていく街。人々の優しさに包まれ、大人に反感を覚えながら、少年は少しずつ大人になっていく。
かっこいい青春というのは、きっとこういう事を指すのだろう。舞台となった時代から30年以上経った今でも、眩く映る。それから世の中は随分と便利になった。けれども、便利さと豊かさとは違うのだ。霞町と呼ばれていた場所は、自分の職場から近い。今そこを訪れても、本に書かれているような光景は見られない。それでも映像を頭に思い浮かべると、懐かしい気分になる。自分もその時代を共に過ごしたような、そんな気分に。

古きよき時代3
今は、その名前を残さない「霞町」。
そこで作者がすごした青春時代を短編にまとめた作品。

多少の脚色はあるにせよ、そこで青春を謳歌し、すばらしい家族と共に過ごした時間を大切にしていることが伝わってくるような文章だった。
浅田氏の書く作品には、いつも人情というかほろりとさせられるものがあるが、この作品も例外でなくそれに当てはまる。

同じ世代の人が読めばその感慨も倍加されること必至だろう。