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在日 ふたつの「祖国」への思い (講談社+α新書)

在日 ふたつの「祖国」への思い (講談社+α新書)
By 姜 尚中

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  • 発売日: 2005-03-17
  • 版型: 新書
  • 217 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
最も近く遠い隣国!相互理解の入門書!日朝の歴史百年、孤独な時の扉を恋郷者が開く!占領と分断、背き合い生きた列島と半島の人々の恩讐の声を掬い希望を紡ぐ情と理とは。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
姜 尚中
1950年、熊本県熊本市に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。ドイツ、エアランゲン大学に留学の後、国際基督教大学準教授などを経て、東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などでも幅広く活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

将来を構想すべき今の時期に敢えて出す必要のない本1
この人の「悩む力」を読んで感銘を受けたのでこの本を手に取ったが、結論をひとことで言えば、「失望した」。帯に「筑紫哲也NEWS23、朝日新聞などメディアに登場!!」と書いてある通り、所詮は朝日新聞的な、自虐史観に囚われた史観であり、被害者意識に彩られた物言いが読むにたえない。

何が僕を失望させたか?

1.タイトルからして「祖国」と括弧付きであるように、本文にも括弧付きの言葉が多すぎるのだ。「妄言」「帰還」「善意」、日韓協定の「妥結」などなど。括弧付きということは、いわゆる、という意味であり、カンさんがその言葉遣いに納得していないことを意味する。学者ともあろうものが、自分が納得していない言葉で文章を埋めてよいのだろうか?自分が「違う」と思うのなら、自分の言葉に言い換えればいいではないか。常に自分を現場におかず、すべてから距離を置いている点が卑怯だと思う。

2.ここに書かれていることは、米国、日本、北朝鮮のせいで韓国は塗炭の苦しみを味わいつづけている、というよくある被害者意識。韓国という国、或いは韓国人としての主体性をもっているなら、すべてを被害者意識に還元するのは自己矛盾であろう。米国が、日本が強制的にああしなければ、韓国は自生的によりよい道を辿ったであろう、という可能性の夢想でしかない。学者たるもの、もっと徹底的に資料を集め、資料を読み込み、その上で「これしかない」という自分の意見を言うべきだ。可能性を言うだけならば誰でも何でも言える。

3.国家の機密文書(当時)がその後公開されて、わかった新事実を基にしている部分は少なく、やたらと和田春樹氏の本からの引用が多い。金完ソップ氏の「親日派のための弁明」と比べて情報源の偏りが大きい。 自分が思っていることをより説得力強く言いたいならば、「親日派のための弁明」に対してもいちいち論駁できるくらいでないといけない。この本は2005年の出版、「親日派」は2002年には出版されているので読めたはずなのに、参考文献にも挙がっていない。学者として不勉強だと思う。

4.カンさんが在日韓国人として、多くの苦難にさらされたアポジ、オモニを見てきて、その人たちへの鎮魂歌としてこの本を書いたのであろうことは察しがつくが、これからの日韓、そして北朝鮮も含めた将来を構想するとき、朝日新聞的な史観を更に補強して何になるのだろうか?「親日派」という本が、高校時代には反日運動をしていた、カンさんよりも10才以上若い韓国人によって書かれている時代に、その本に真っ向から挑むことなく、夢見がちな言説をするのは、いかにも甘いといわざるを得ない。世界はもっと冷徹なパワーによって動いている。

もちろん僕はカンさんを全否定しようとは思わない。子供時代に、苦しみ悩むアボジ、オモニを見てきて、その人たちへのポエティックな鎮魂歌を書きたいという気持ちはいかにも人間らしく、その優しさが僕は好きだが、もういい大人、しかも東大教授でもある人が子供のようなことを書いていいわけでは断じてない。

在日として悩みつづけた人だからこそ、日本と韓国と複眼的に見て新しい視点を提示してほしかった。

恨(ハン)の源流を垣間見られるが、素朴に疑問が・・・2
この人の意見って、本当に在日の総意または主を占める意見なのだろうか、
という疑問が素朴に湧いた。
陳舜臣の「青雲の軸」あたりと比較して頂くとよくわかるが、冷静な物言いの
割りに自分たちを相対的に見る視点がとても薄いのだ。
いろいろ論理を言ってはいるのだが、国籍のせいで自分の能力を認めなかった
日本と言う国が恨めしい、憎いぞ畜生以上のことが書けていない・・・。
在日のナイーヴな現実に気が立っていることは主張しても、その相手である
日本人の複雑な感情に対する理解と歩み寄りが全くない結果、
思想面の均衡が取れず、安易に韓国(の最下層的なナショナリズム)に
擦り寄る内容になってしまっている。

だが、正直、冷静な本国の韓国人であればあるほど、韓国人の方でも
耳を傾ける人は少ないのではないか。意見や論説が10年以上前の
韓国ナショナリズムそのままで、韓国側からも古く進歩がないからである。
あまり賢く冷静な層に向けて意見を発しているとは思えないところが
どうも・・・。




姜尚中氏は間違って居る。1
私は、韓国に愛情を持つ日本人の一人である。複数の在日の親友も有る。だから、書店でこの本を手にした時、私は、この本に関心を抱いた。その事を前置きした上で、以下の事を述べたい。--本書は、政治学と政治思想史を専門とする姜尚中(カン・サンジュン)東京大学教授が、御自分と親族のこれまでの苦労と重ね合はせながら、日本と朝鮮半島の近現代史を、そして現在と未来を論じた一書である。題名の中の「ふたつの『祖国』」とは、朝鮮半島と日本を指しており(本書23ページ参照)、私は、先ず、著者が、この様に、日本を、はっきりと、自分の祖国(の一つ)と明言した事を高く評価したい。--在日韓国・朝鮮人の中には、日本に生まれ育ち、日本を愛して居るにも関わらず、その日本への愛情を素直に口にしない人士も居るが、著者はそうではなく、日本への愛情を明言して居るのである。--私は、著者と著者の家族が体験した苦労には、心からの敬意を表する。そして、著者が、著者のルーツである朝鮮半島を「祖国」と呼ぶ事にも、もちろん、違和感は全く無い。しかし、そのもう一つの祖国(朝鮮半島)に対する著者の見方は、冷静さに欠けており、残念ながら、著者の見解には、全く共鳴する事が出来無い。--姜教授の見解は、朝鮮半島に住む人々の未来についての適切な見解であるとは到底見なせない。--本書を通読して驚かされるのは、著者が、その深い同胞愛にも関わらず、北朝鮮で、圧制に苦しむ民衆の惨状について口をつぐみ、北朝鮮の独裁政権を事実上擁護して居る事である。著者は、本書の至る所で、北朝鮮を擁護して居るが、特に、著者が、第四章で提唱する「東北アジア共同の家」なる構想の内容が、北朝鮮が永年「高麗連邦共和国」の名で提唱して来た構想と酷似して居る事には、驚愕せずに居られない。この様な構想が、北朝鮮の独裁者を利するだけで、北朝鮮民衆の救済とは正反対に向かふ事は余りにも明らかであり、日本で生まれ育った著者が、一体何故、あの様な独裁体制を擁護するのか、私には、全く理解する事が出来無い。(私は、この本の中で、著者が、北朝鮮を、最近、マスコミが呼ぶのをやめた「朝鮮民主主義人民共和国」と言ふ呼称で呼んで居る事に驚いて居る)同じ在日韓国(朝鮮)人でありながら、北朝鮮の民衆を救ふ為に金正日政権に挑戦し続ける李英和(リ・ヨンファ)教授の様な人士が居る事を思ふと、姜教授がこの様な立場を取って居る事は、全く不可解な事と言はざるを得ない。--在日の、特に若い世代に共感する日本人として、私は、姜教授が、こうした愚かな見解を放棄し、隣人である私達日本人と共に、金正日政権打倒の列に加わる事を願ってやまない。(西岡昌紀・内科医)