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狂気と犯罪 (講談社+α新書)

狂気と犯罪 (講談社+α新書)
By 芹沢 一也

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  • 発売日: 2005-01-21
  • 版型: 新書
  • 224 ページ

エディターレビュー

出版社 / 著者からの内容紹介
強制治療は人道主義の仮面を被った「保安処分」だ
無秩序に収容されてきた精神障害者たち
患者数、病床数、入院日数のすべてが世界一。精神障害者を取り巻く、驚愕の歴史と現状!!
江戸時代の刑事裁判、そして明治に入ってから旧刑法のもとにあった裁判も、関心を寄せていたのはただ犯罪という事実であった。そこで問われていたのは常に、「おまえは、一体どのような『犯罪』を行ったのか」ということだった。だが、われわれの時代の刑事裁判は、そうではない。犯罪事実だけでなく、さらに犯罪者の性格を考え合わせた上で、刑罰を決定しなくてはならなくなったのだ。ここでもまた、個性が問題となったのである。そこでの問いは、したがって次のようなものとなった。
「このような犯罪を行ったおまえは、一体『何者』なのか」
われわれの刑事裁判は犯罪行為とともに、あるいはそれ以上に、法を犯した人間そのものに関心を向けなければならなくなった。犯罪者の性格をも同時に、裁かなくてはならなくなったのだ。
●徘徊する浮浪者を排除せよ
●文明と裸体の取り締まり
●精神障害者管理は家族の責任
●無用とされた精神病治療
●江戸時代と刑法第39条
●法の世界から排除される「狂気」
●精神障害者の人権か社会の治安か
●精神病院ブームへの公的援助
●触法精神障害者という厄介
●「狂気」の脱犯罪化へ

内容(「BOOK」データベースより)
患者数、病床数、入院日数のすべてが世界一。精神障害者を取り巻く、驚愕の歴史と現状。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
芹沢 一也
1968年、東京都に生まれる。慶応義塾大学大学院社会学研究科博士課程を修了。社会学を専攻する傍ら、大正期を中心とする近代日本の思想や文化、社会に研究分野を広げる。京都造形芸術大学で日本文化論、学習院大学で日本政治思想史を教える非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

「狂気」と犯罪の分析4
著者は精神障害者も裁判を受けることができる仕組みをつくるべきと主張します。

それは、精神障害者の犯罪→責任能力なし→精神病院入院→短期退院→再犯よって刑務所へ収監せよというような
安直な発想ではなく、「触法精神障害者」というカテゴリが「狂気」と犯罪の結びつきを再生産してしまうからだと著者は言います。

著者は精神の病を「普通の病」から隔絶している「狂気」と犯罪を同一視する論理がどのように歴史的につくられてきたか
を問題とし、「社会からの排除と監禁」の歴史(第2章)、「法の世界からの排除」の歴史(第3章)と
それを歪に結びつけた精神医学(第4章)・精神病院(第5章)にその根源を求めています。

戦後、精神衛生法が制定されるまで、なぜ精神障害者が警察の管轄となっていたのか
精神医学の輸入の遅れ及びその巻き返しが「狂気」の処遇にどのような影響を与えたのか
牧野英一らによって影響力をもった新派刑法学がそれとどのような関係をもっていたのか
そもそも「狂気」を監禁・排除する論理はどのように形成されたのかなどの問題の歴史的分析がおもしろいです。

今を生きる全ての人に5
治療目的の施設という人道的な表の顔と監禁・隔離という真の思惑の狭間で精神障害者は生きている。その思惑は医学的・政治的野望から端を発したものであり、その野望の歴史はすなわち私達の理解できない他者に対する恐れの歴史でもあるかもしれない。恐れが生み出す差別意識――濁った川底に沈む泥のように見えにくいが確実に存在している。筆者は客観的な視座の下、社会・医学・法、あらゆる角度からその歴史を紐解くことによって、有力者達のエゴが層となり複雑化した「狂人収容」の構造と、私達の中に眠る差別意識を白日の下にさらす。そもそも精神病は病気なのだから、誰しもかかる可能性はあるし治癒可能なものだ。なのに精神障害者が罪を犯した場合、裁きを受ける権利がない。つまり人権がない…人として認められていないということだ。現代社会では私も貴方も――いつ非人間とされるか分からない。昨今、精神障害者による凶悪犯罪の扇情的な報道に何を感じるか?そして何故?それを知る手がかりがこの本にある。

「精神鑑定の結果」→「不起訴処分」って一体…?5
非常に興味深い内容でした。具体例として取り上げられている池田小学校事件の衝撃も記憶に新しいのですがその後も次々と凶悪事件は発生し続けています。そんなニュースを聞くたびに気になるのが犯罪者の「精神病歴」や「精神鑑定の結果」、「不起訴処分」となりうやむやの内に事件が終結していく(ように見える)ことです。「犯罪者の人権問題」等の議論も盛んではありますが、それよりもまず私達が直視しなくてはいけないのは日本がこのような「精神病院列島」と成り果ててしまった歴史的背景と驚くべき構造なのだということに気づかされます。100年以上もの歴史の中で警察権力や精神医学の欲望の渦に飲み込まれこんなところまで流れ着いてしまった、それが私達の「現在」なのだなと恐怖を覚えつつも納得してしまう一冊でした。御一読をお勧めします。