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名探偵の掟 (講談社文庫)

名探偵の掟 (講談社文庫)
By 東野 圭吾

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  • 発売日: 1999-07
  • 版型: 文庫
  • 348 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
’97年版『このミステリーがすごい!』第3位
密室トリック、首なし死体、消えた凶器……快刀乱麻の名探偵・天下一が挑む難事件。

「これぞ天下一、変幼自在の快作」
『密室宣言』を読み、手を拍(う)って以来のファンである。小林秀雄はいった、谷崎においてはマゾヒズムが(ついにもののあはれにまで到達した)と。本格推理の自虐趣味が、この『天下一シリーズ』では<をかし>の領域に行き着いた。コピーして人にも読ませたい。しかし、日本中に配るだけのコピーはとれない。それが難点だった。こうしてまとめられたのが、実に嬉しい。――北村薫

内容(「BOOK」データベースより)
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。

内容(「MARC」データベースより)
密室トリック、首なし死体、消えた凶器。本格推理小説の代表的な道具立てを、これでもかとばかりにつめ込んだ作品。快刀乱麻の名探偵・天下一は、この難事件を見事解くことができるのか。


カスタマーレビュー

本格ミステリーパロデイ集4
本格ミステリーを知り尽くしている著者が、あえてパロデイの形で書いたミステリー集。密室犯罪、消えた凶器など、本格ミステリーのお約束事を逆手に取った「笑い」は、素晴らしく見事にツボを押さえている。容疑者を極端に絞りこんだ謎解きミステリーであり、推理する楽しさも満喫出来る。

本格推理小説のあり方を問い直す東野圭吾的「講義録」がここに!5
 本書は、本格推理小説を飾る「密室」や「トリック」、「アリバイ宣言」、「ダイイングメッセージ」など、今では多くの読者にお決まりの「工夫」・「小細工」をめぐって、名探偵と称される天下一大五郎(彼が「密室アレルギー」という点で読者は失笑している)と(本当はそうでないが)脇役の大河原番三警部との軽快でユーモアに満ちたやり取りを踏まえてのある種の「講義録」のように私には思われた。

 本書には、既存の推理小説のあり方を作者自身が「メッタ斬る」という姿勢が全面に押し出されるとともに、読者にも本書で扱われている内容を通じて(それらについて)再考してほしいという熱い願望が込められており、大いに読者の「食欲をそそる」内容だ。読者が「試されている」といっても過言ではない。巻末に付されたやや論文的な「解説」(脚注付き)も本書の位置づけや、東野圭吾の作風の変化についての有益な内容を含んでいる。目次をざっとみれば、プロローグからエピローグに至る全12章の内容は、推理小説のモチーフを類型化し、更にそれらについて名探偵と警部が辛辣な意見交換を繰り広げているというプロットそれ自体に読者は心を揺さぶられる。彼らの会話の多くに、私は「腑に落ちる」というか「教えられる」感覚だった。

 第5章「アリバイ宣言」に登場する犯人の名前が「蟻場耕作」というのは滑稽で、しかも天下一はその彼が考案した完璧なアリバイトリック崩しを放棄し、犯人から「ちょっと待って下さいよ。ヒントを出しますから」という痛快な展開である。続く第6章で天下一が今度は美人OLに転じているのも面白い。特に本章は現代批評的な趣があった。「最後の選択」で読者は思わず唸るだろう。名探偵を「犯人」にしてしまうという残された唯一の選択肢の意味について。『名探偵の掟』というよりは、『名探偵の宿命』というところか。東野圭吾の「挑発的な」本書は怠惰な読者を覚醒させるに違いない。

推理小説の構造ができすぎだと思ったら、『名探偵の掟』を。4
『探偵小説」という舞台を生きなければならない、
登場人物たちの悲壮感溢れる喜劇。

たとえば、二時間ドラマを見ていて
「この人犯人だよね。だって、いつも犯人だもの」とか、
「俳優の××が出てる。珍しい!絶対に犯人だよね」なんて
会話を交わした経験が誰にでもあると思う。
そういう疑惑の対象となっているポイントを

コメディタッチで描いたものが『名探偵の掟』である。

この話の面白いところは、単なるネタばらしに終わっていないところである。
作品中、天下一はあくまで探偵役を貫くし、大河原は間抜けな警部役を必死に勤めている。
彼らは、あくまで推理小説のなかの登場人物なのだ。
推理小説の現状を皮肉ったり、自分の役柄を嘆き悲しむという

登場人物ならではの苦悩には、思わず苦笑いをしてしまう。

純粋な推理小説に慣れている人は、頭が慣れるまでは面白いと思えないかもしれない。
けれど、読み進めていくうちに、『天下一探偵ワールド』から抜け出せなくなるに違いない。

一服したい…そんなときに、お勧めできる一冊です。