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孟嘗君〈1〉 (講談社文庫)

孟嘗君〈1〉 (講談社文庫)
By 宮城谷 昌光

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  • 発売日: 1998-09
  • 版型: 文庫
  • 333 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
中国戦国時代――壮大華麗な歴史ロマン

斉の君主の子・田嬰(でんえい)の美妾青欄(せいらん)は、健やかな男児・田文(でんぶん)を出産した。しかし、5月5日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母青欄が秘かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪(ふうこう)に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文・孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。(全5巻)

内容(「BOOK」データベースより)
斉の君主の子・田嬰の美妾青欄は、健やかな男児・田文を出産した。しかし、五月五日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母青欄が密かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文・孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。

内容(「MARC」データベースより)
青欄は5月の初めに男子を産んだ。夫の田嬰は非常に喜び、子に「文」という名を与えたが、子の誕生日を知るやいなや「殺せ」と言った。新聞連載中から大好評を博した作品の第一巻。*


カスタマーレビュー

最初に読む宮城谷昌光作品としては本書はベスト5
田文(後の孟嘗君)は1巻で生まれるが、4巻までは、
無頼の好漢・風洪(後の天才商人白圭)、内政の天才法律家・公孫鞅(商鞅)、
孫子の子孫の天才兵法家・孫賓、外交の天才・田嬰(孟嘗君の実父)達が中心になる。
天才達に囲まれて育った孟嘗君は、
政治家としても軍事司令官としても商人としても一流になる。
中国5000年の歴史において最大の英雄は孟嘗君ではないかと思ったよ。
戦国時代を統一出来ずに、斉国の宰相で終わった孟嘗君が、
オールタイムベスト1だとは解せないかもしれないが、
孟嘗君には「統一してもどうせまた分裂するんですから」
という道家のような醒めた視点が垣間見えるのでかっちょええ!
戦争状態で泣くのは弱い庶民である。
戦争が発生しないように、三国鼎立理論より複雑なミリタリーバランスを要求される
戦国七国鼎立を孟嘗君は企んでいたと思われる。
斉国のみならず他国の宰相としても孟嘗君は活躍し、
攻められそうな弱小国を次々と立て直すという、
城塞レベルではなくて国家レベルの墨家的活動もする。
諸子百家の教えを全て理解し、少しでも多くの命を救おうと行動した孟嘗君はデラかっちょええ!
孟嘗君は商人としても天才だったので、稼いだ金を公金に投入し、
自分の領地の税金を安くするという凄い政策も実行する。
税金を私物化して自分の楽しみに使う官僚は孟嘗君の爪の垢でも飲んで欲しい。
万能の人格者の孟嘗君の唯一の短所は、小男なので個人的武力が無きに等しいことだが、
孟嘗君に惚れ込んで喜んで命を捨てる食客が3000人もいるので、なんの問題もない。
私兵を雇うのではなく、客として礼遇する食客制度を始めたのは父の田嬰だが、
孟嘗君の人徳で食客制度はメジャーになったのだ。
食客は部下ではないので、命令は出来ない。
あくまでも食客の自発意思に任せるのみである。
孟嘗君は名誉欲、権勢欲を持たなかった腰の低い男である。
孟嘗君の最大のモットーは、
「人との約束は必ず守る」
ということである。
相手が約束を破っても孟嘗君は守り続ける。
司馬遷の「史記」には虐殺魔の孟嘗君も描かれているが、
宮城谷昌光は司馬遷の捏造であるという説を展開しています。
孟嘗君ではない同姓同名の別人の田文という人物も史記には出てくるが、
孟嘗君ではない田文の事績も本当は孟嘗君の偉業であったと宮城谷昌光は解釈しています。
「楽毅」にも孟嘗君は登場するが、ストーリー的には「孟嘗君」の続編が「楽毅」っぽい。
「孟嘗君」「楽毅」という順番で読むことを強くお勧めする。

宮城谷作品では一番読みやすい大傑作5
私は、宮城谷昌光先生の小説が大好きです。中でも、「孟嘗君」は文庫で5冊と分量はありますが、一番読みやすいエンターテインメント作品にして、爽やかな読後感の大傑作であり、最も好きな作品です。
 物語の前半は白圭を中心にヒロイックな展開となり、適度にスリリングかつ快適なテンポでストーリィが進んでいきます(そういう点で、物語の後半までひたすら耐え続けなければならず、なかなかカタルシスに至らない「重耳」よりは格段に読みやすく、もし宮城谷作品で「重耳」のみを読んで、宮城谷作品は読むのが辛いと思っている方がいれば、もう一度、「孟嘗君」を試すことを薦めます。)。
 宮城谷作品は、「仁」ということが根底に流れている作品が多いように思いますが、「孟嘗君」は、蘇秦と張儀が「ホントかよ?」みたいな感じで登場したりサービス満点で、とことん商業演劇的・大衆活劇的な面白さを追求しながら、「仁」が根底に感じられる素晴らしい作品です。
 ストーリィを楽しみながら、全国統一を遂げようなどとは考えず外交的バランスの中で人民の幸せを望む孟嘗君田文の爽やかな生き方には深い共感を覚えます。民政重視と言っても、孟嘗君は三国志の孫権のように裏切ったりしないので、薄汚さがありません。「仁」の人ですから。
 全5冊とは言っても、孟嘗君自身の活躍は後半だけであり描き足りないところがあったと思われます。それを補うため、孟嘗君を気に入った方は、次に「楽毅」を、そして「奇貨居くべし」もぜひ読んでいただきたいですし、「奇貨居くべし」との関係では「青雲はるかに」も外せないところです。
 ただ、「奇貨居くべし」は実に面白い本ではありますが、最後に呂不韋がやることには薄汚さは否めないですし、また「青雲はるかに」は結構悲惨な目に遭った上での復讐の物語なので、主人公に孟嘗君のような爽やかさが感じられないというのが正直なところです。
 そういう意味でも、「孟嘗君」が、読後感の爽やかさから言っても宮城谷作品ではベストだと考えています。

戦国最大の器量4
宮城谷さんの作品は周囲の人物が魅力的。

「孟嘗君」はその最たるものでしょう。
なんと言っても白圭。これほどの魅力を持った脇役(序盤では主役ですが)がいたろうか。
他にも時代を代表する人物を孟嘗君・田文に絡ませ、
その人格を創り上げていく。

孟嘗君は戦国四君の筆頭として、「鶏鳴狗盗」で有名ですが、
その器量は善も悪も併せ呑むほど巨大なものだった。
これほどの器量の持ち主はこの時代他にいなかっただろう。

天子でもなく、諸侯でもない一個人・孟嘗君の一生を描いた作品。
この作品を読んだあとに「楽毅」「奇貨居くべし」「青雲はるかに」などを読むと、
時代の全体像がわかってより面白く、孟嘗君の凄さを痛感します。