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首斬り浅右衛門―あるいは憑かれた人々の物語 (講談社文庫)

首斬り浅右衛門―あるいは憑かれた人々の物語 (講談社文庫)
By 柴田 錬三郎

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  • Amazon.co.jp ランキング: #672556 / 本
  • 発売日: 1997-09
  • 版型: 文庫
  • 377 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
身悶えし命乞いをする女を美しいと思った。初めて己れの生業を嫌悪した。泰平の世に人を斬る業を極め続けなければならない山田浅右衛門。その家系も六代目に至り烈しい気象が息んだ。ただ一首斬り損じた女の怨霊に翻弄される浅右衛門の最後を描く。「殺生関白」「座頭国市」他エロティシズム溢れる異形の八編。

著者紹介
1917年岡山県生まれ。慶大支那文学科卒。在学中より「三田文学」に作品を発表。’51年『イエスの裔』で直木賞受賞。’56年創刊の週刊誌に『眠狂四郎無頼控』を連載、ニヒルな剣士と円月殺法は剣豪小説ブームを呼ぶ。伝奇小説の醍醐味を堪能させる作品を多く残し’78年6月没。代表作『赤い影法師』』英雄ここにあり』『岡っ引どぶ』他。


カスタマーレビュー

柴錬の初期から最後期の短編集,5
副題通り、何かに「憑かれた人々」の話を描いた短編集です。

「殺生関白」 は、殺生関白と言われた豊臣秀次の行状と顛末、また、その因縁を描いています。
3話構成で、1話目はある茶坊主による回想の形で現在まで知られている秀次の非道の行いと内面の苦しみを、
2話目はその秀次を執拗なまでに謀略によって追い込んだ石田三成の、本人の独白調の文体で、秀次を処刑するまでを描き、
そして最後の3話目は、通常の文体で、石田三成の関ケ原の戦いでの敗北からその最期までが描かれていますが、
展開と結末が素晴らしく、因果なものだ、と思わず唸ってしまいました。


この一本目の話で「あるいは憑かれた人々の物語」という趣旨を理解すると共に、
(自分は柴田錬三郎の作品を今まで1作しか読んでいなかったのですが、)時代小説の一時代を築いた作者の力量に感服致しました。


「謀叛」は武田信繁の子、武田信豊を通して武田氏の最期を、

「邪法剣」は、剣聖・上泉信綱が、奇を衒った邪法の剣を使う、ある憑かれた兵法者との闘いの体験を将軍足利義輝に語る事で自分の剣の道を説いています。

そして表題作の「首斬り浅右衛門」は、江戸時代、代々罪人の処刑の役目を担った山田浅右衛門(当初は将軍に奉じる刀の出来を調べる役目を生業とした一族)がある女性の罪人の亡霊に毒されて次第に狂乱する様を、

「座頭国市」は、とある座頭に恋した尼寺の尼の狂気の様を描いています。

他の、この作品の特色として、
「怪談累ヶ淵」と「四谷怪談・お岩」のように、落語などで知られる有名なものを柴錬なりの味付けで描いてあるのですが、
こちらも背筋がぞっとするような生々しさを感じ取る事が出来ます。


歴史、過去の時代の人物を借りる事で人間の狂気を描いた短編を集めた、これ自身憑かれたとも言える作品です。