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葛野盛衰記

葛野盛衰記
By 森谷 明子

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  • 発売日: 2009-10
  • 版型: 単行本
  • 452 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
桓武帝に始まる平安京。帝に縁を持つ多治比の女の一族は、遠くから帝を見守り、長く都に想いを寄せ続けた。300年後、桓武平氏が歴史の表舞台に躍り出て、多治比一族に再び希望の光が射したのも束の間―。栄枯盛衰を繰り返す人間たち。ただ平安京のみが、変わらず栄え続けたが…。桓武天皇から平氏滅亡までを、都という存在に託して語る一大叙事詩。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
森谷 明子
1961年、神奈川県生まれ。2003年に、紫式部を探偵役にした王朝ミステリ『千年の黙 異本源氏物語』(受賞当時のタイトルは『異本・源氏藤式部の書き侍りける物語』)で鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。2007年、『七姫幻想』(双葉社)で日本推理作家協会賞連作短編部門の最終候補となって、注目を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

葛野の地霊が守ろうとした平安の都5
この作品は例の如く綿密な考証の上に成立しているので,年代を細心の注意で追う必要がある.桓武帝の平安京は山背国葛野郡と愛宕郡にまたがって建設され,遷都の際に国名が山城に改められた.西を流れる桂川は古く葛野川と呼ばれ,桓武帝はまだ皇子の頃から葛野の地霊に愛された.嵯峨帝の時,平城上皇と争うに際して,愛宕の賀茂神社を京の鎮守と定め,皇女を斎宮として奉仕させたが,葛野の地霊は糺の森も気に入った.ところが時代が下り,京が焼き討ちされる状況になると,地霊たちは帝を快く思わず,桓武の皇子葛野親王の子孫たる平氏に期待をかける.それも空しく平氏は忠盛の子頼盛だけを残して壇ノ浦の藻屑と消える.そうして頼盛にわけを伝えて地霊は京を見捨てる,と言うあらすじ.構成は2部5章で,第一部は西海追捕使たる平忠盛の入京の点景から桓武帝の若い頃に飛び,初代賀茂斎宮有智子内親王(女性漢詩家,印象的)までが扱われる.その後は第二部の直前に貴族に成りおおせた忠盛の都取り宣言があって,第二部は平氏の慌しい盛衰が語られる.全編を通じて異界は現世を見ているが,異界そのものの描写は第一部だけ.ミステリアスではあるがミステリー風味はない.時代の重さを強く感じさせる重厚な物語.