冬の喝采
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #70858 / 本
- 発売日: 2008-10-21
- 版型: 単行本
- 625 ページ
エディターレビュー
内容紹介
「天才は有限、努力は無限」北海道の大地を一人で走り始めた
著者が、怪我によるブランクを乗り越え、準部員として入った
競走部には、世界的ランナー・瀬古利彦がいた。入部後も続く
怪我との戦い、老監督との葛藤など、1年8ヶ月の下積み生活に
耐えて掴んだ箱根駅伝の桧舞台で、タスキを渡してくれたのは
瀬古だった。それから9年後、30歳になって自分を箱根路に導
いた運命の正体を知る。
感動の自伝的長編小説!
内容(「BOOK」データベースより)
北海道で走り始めた一人の少年は、一般学生として早大に入学し、2年生になる直前、準部員として競走部に入った。それは30年の時を超えた宿命のなせる業だった。早稲田大学競走部員として2年連続箱根駅伝出場!自伝的長編小説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
黒木 亮
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒業、カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。大学時代、箱根駅伝に2回出場、20kmで道路北海道新記録樹立。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融など数多くの案件を手がける。2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。英国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
もうすぐ箱根駅伝
著者の黒木亮は、すでに「経済小説」の作家として著名ですが(私は一冊も読んでいませんが(^^;;)、これは、作者本人が書いた中学から大学までの8冊の「陸上練習ノート」をもとに書いた「自伝的小説」です。
小説といいながら、書かれているエピソードは全部事実と言っていいくらいで、登場人物は実名で、本人もペンネームではなく本名の「金山雅之」で、登場します。
出てくる名前は、瀬古利彦、金井豊、中村孝生、新宅雅也、上田誠仁と、往年の名ランナーがぞろぞろ。本の内容は、練習、故障、試合、そして箱根駅伝を、ノートをもとに「作家の筆力」で、淡々と読ませます。
たとえばプロローグで、いきなり大きな山場を持ってきます。第55回大会、長期低迷中だった早稲田、2区の瀬古が25年ぶりに箱根駅伝の先頭を走っているシーンから始まります。
〔以下引用〕
「早稲田!」右手で係員の一人が叫んだ。人垣の間にできた花道に、臙脂のユニフォームが姿を現した。立ち尽くす群衆の中で、唯一動いている人間。あっと思う間もなく、臙脂色は大きくなり、目の前に苦痛で顔を歪めた瀬古利彦が迫ってきた。
周囲でどよめきや歓声が沸き起こっていた。「頼むぞ、金山!」「はい!」瀬古と一瞬の会話を交わし、右手で臙脂色のタスキを受け、弾かれるように走り出していた。(中略)
約10メートル前方の左右に二台の白バイ、(中略)ランナーとしてはある意味、見慣れた風景だった。
白バイの先に視線を向けた瞬間、わたしは驚きで両目を見開いていた。
トラックの報道車があり、車の後部にずらりと並んだ二十本くらいの大きなカメラのレンズが、砲列のようにわたしを狙っていた。
〔引用終了〕
いいなぁ、このリアリティ。作家が自分の青春のすべてを賭けた「陸上」を渾身の力で描ききっています。しかも熱くならずにクールに。
もう一つの読みどころは、当時の早稲田の監督だった、中村清。彼の個性がほぼ全編を通して炸裂しています。(^^;;
中村清の逸話はいろいろな本で知っていますが、ここまで鮮烈に描いた本も少ないかと。
ところで、実は金山君、私の高校の2期後輩です。中学、高校時代を書いているところでは、私の知り合いが何人も登場しているのでした。(^^;;
という、多少不純な動機で購入した本でしたが。読後感は期待以上でした。陸上ヲタクならお勧めの一冊です。
☆☆☆☆★ 身びいきを考慮して星4つ。
箱根駅伝がリアルに伝わってくる
夫がラジオで筆者のことを知り、「投資銀行」という分厚い文庫2冊を3日で読んでしまい、次に買ってきたのが、この「冬の喝采」。中学生から克明に書かれた練習日記により、息苦しくなるような9年間の陸上生活が描かれている。ちょうど、私より2学年上で、学生時代に現役の瀬古利彦、中村清監督を見てきた世代にとっては、なんとも懐かしい思いにとらわれる。私自身は、卒業後に箱根駅伝ファンになり、武井隆次、渡辺康幸らの早稲田黄金時代にテレビの前で興奮して応援していたが、かくも、駅伝選手とは苛酷で、脆いガラスのようなものかと痛感させられた。ここ10年、自分でもランニングをしているが、陸上競技のトップレベルでいることと、市民ランナーでいることとは雲泥の差であることを実感した。淡々とした文章運びだが、後半にいくに従って、どんどんページをめくる手が早くなる。国際金融の世界でも実績を残した筆者が、「もし人生で一つだけやり直せるとしたら、陸上競技をやり直したい」とは、怪我、故障と闘い続けた筆者の心からの叫びのようで重みがあった。
努力は無限
私は箱根駅伝のファンで、とりわけ早稲田を応援しています。そんな私にぴったりの本だったので読んでみました。
著者自身が『箱根を走ったことで、僕は一生胸を張って生きていける。』とおっしゃっていますが、本当にすごいことなのだ!と実感しました。秋から合宿所の雰囲気がピリピリしチームが箱根駅伝モードになっていく様子が詳しく書かれています。怪我で苦しんだ数年間の焦り・辛さ・祈りもひしひしと伝わってくる。
長距離選手というのは、こんなにも真面目にコツコツこれでもか・これでもかというくらいの練習の積み重ねが必要なのですね。『天才は有限・努力は無限』という中村監督の教えを体現された著者。しかし努力だけでなく沢山の苦悩があったことも知りました。
私は、美談化された中村監督を知っていましたが、この本の中村監督はもう…私は笑ってしまったが、部員たちはたまったものではないだろう。皆さんもぶったまげるよ!
また、大学入学時に養父が出生の秘密を打ち明けるところや、実父のことなど、淡々と書いていますが、とても印象に残りました。
多少分厚めの本ですが、陸上ファン・駅伝ファンでなくても十分に楽しめます。
これを読めば、お正月の箱根駅伝が数倍楽しめますよ!




