真実真正日記
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #273292 / 本
- 発売日: 2006-11-03
- 版型: 単行本
- 254 ページ
エディターレビュー
出版社 / 著者からの内容紹介
世界にあふれる「真実」を疑え!
ストーリー、つまり嘘、を書き続けることに疲れた作家の「僕」は、本当のことだけを書く「真実真正日記」をつけはじめる。嘘と真実は次第に混沌としてゆき……。
内容(「MARC」データベースより)
世間の人は本当のことを知りたがり、世の中には本当風のことが溢れている。ストーリー、つまり嘘を書き続けることに疲れた作家の「僕」は、本当のことだけを書く「真実真正日記」をつけはじめる…。『本』連載を単行本化。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
町田 康
1962年大阪府生まれ。作家、歌手、詩人として活躍。96年に発表した処女小説『くっすん大黒』でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞、2000年『きれぎれ』で芥川賞、01年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
相変わらずの町田節
タイトルや紹介文から想像して、世の中の欺瞞をバッサバッサと切り捨ててゆく社会的な内容かと思っていたが、さにあらず、いつもの不条理な町田ワールド、町田節全開でした。「告白」で垣間見せた、人の心や世の中の真実をあぶりだす純文学性は見事に雲散霧消していて、町田氏のむちゃくちゃさが好きなぼくとしては、いい意味で裏切られたと言えます。笑いももちろん散りばめられていて、活字ではめったに笑うことのない人も何度か噴き出してしまうでしょう。何でここまで馬鹿馬鹿しい物語や言葉を思いつけるのか、町田氏の才能には毎度感心させられます。作品の不条理さや笑い、という点においてぼくの中では筒井康隆氏を越えました。「告白」のような衝撃がなかったという点で星ひとつ引かせてもらいましたが、逆に言えば町田節が好きな人なら安心して「買い!」と言える一冊だと思います。
真実を生きるとは…
表紙も黒、ページの縁取りも黒。表紙のモデルは、異様に改造されたお人形。そこから連想されるのは難解な、あるいは混沌としたイメージなのだが、意に反して、油断していると噴き出しそうな、滑稽な“僕”の日常が綴られていく。
がしかし、物語世界は段々と不穏な空気が濃くなり、“僕”の暮らしも次第に厳しいものになってゆく。
最後のページを読み終えて、なぜこの本が黒い縁取りなのかを理解したのだけれど、それでは、作中で語られていた現実世界の風刺は、“僕”に語らせた町田氏自身の真実真正な思いだったのか、それとも作中の“僕”の勝手な暴走だったのか…。
朝の来ない長い夢を見ているような読後感を、いまだに引きずっています。
今この瞬間読んでいるところがおもしろい
すごくおもしろい!
“世間の人は本当のことを知りたがり、世の中には本当風のことが溢れている”が“僕”は本当風の小説に欺瞞を感じ、あえて“「これは嘘ですよ」と看板を掲げて、一生懸命”小説を書いてきた。そんな“マイナー作家”の“僕”が、文章を飾り嘘を重ねることに疲れて日記を書くことを思いつく。“その日あったこと、その日会った人、自分が見たり聞いたりしたことをただ書いてみたくなったのだ”。
……という書き出しに、えーっとびっくりしたけど、大丈夫。全然“本当のこと”ではありません。つまり二重の嘘。“僕”の執筆中の小説が「快楽のムラート」、遊びで始めたロックバンドが「犬とチャーハンのすきま」。もう十分笑えます。
しいて言えば、作家としての述懐にちらりと“本当のこと”が覗く。たとえば55頁にそのへんでよく見かける随筆風の文章を書いて、次頁で“随筆原稿やなんかでこのように得々として自分ごとについて語る人がいる”が、それは“寂しいおっさん”だ、と断定したり、同業者のいろんな小説を読んでくだらないと思ったり(その中にはすごく売れてて作家が大金持ちのものがあったり)感心したり(それらの逐一がおもしろい)、「快楽のムラート」がどんどん本筋から離れて、それにつれ担当編集者が冷淡になってきたり。
ラストが北野武監督のある映画に似ているな、とちらと思ったけど、そういうささいなプロットの相似よりも、町田康と北野武の本質的な相似は、今この瞬間の、目の前の文章、目の前の映像に夢中にさせるところにある。





