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千の命

千の命
By 植松 三十里

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  • Amazon.co.jp ランキング: #271793 / 本
  • 発売日: 2006-06-08
  • 版型: 単行本
  • 304 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
命の数だけ、生きていく意味がある。
出産が命がけだった時代、死産の際に、苦しむ産婦を楽にし、母体を救う「回生術」をあみだした賀川玄悦の生涯。
独学で医術を学んだ玄悦には、わからないことが山のようにあった。赤ん坊はどこから出てくるのか。胎児は十月十日、頭を上にしているのだろうか。……不思議に思い始めると、きりがない。西洋医学がほとんど紹介されていない江戸中期に、世界に先駆けて胎児の正常位置を発見した賀川玄悦の偉業は、医学史の中で、燦然と輝いている。書下ろし長編小説。

内容(「BOOK」データベースより)
出産が命がけだった時代、死産の際に、苦しむ産婦を楽にし、母体を救う「回生術」をあみだした賀川玄悦の生涯。西洋医学がほとんど紹介されていない江戸中期に、世界に先駆けて胎児の正常位置を発見した賀川玄悦の偉業は、医学史の中で、燦然と輝いている。書下ろし長編小説。

内容(「MARC」データベースより)
西洋医学がほとんど紹介されておらず、出産が命がけだった江戸中期。自らの親子関係・夫婦関係に悩みながらも、世界に先駆けて胎児の正常位置を発見し、母体を救う「回生術」をあみだした賀川玄悦の生涯を描く。


カスタマーレビュー

母と子の繋がりとは5
植松三十里さんの新刊、賀川玄悦の生涯を綴った「千の命」は出産や子育てを経験した女性誰もが共感できる内容です。それだけにこれまでの著書「桑港にて」「黍の花ゆれる」よりもはるかに感情移入して読みました。
江戸中期にこれほどのすばらしい産科術があったとは驚きです。読みながら第2子を出産した産院のことを思い出しました。産婆さんの見立ては病院のそれより正しかったのです。胎児の大きさはエコーなどの最新の機器で測定されますが、産婆さんはお腹の上から触っただけで大きさやここが手でここが足だのと教えてくれました。玄悦の診察もそんな感じだったのでしょうね。
本妻の子供、妾の子供、父親もわからないままに生まれた子供など様々な母子関係が描かれていますが、境遇に関わらず、母が子を思う気持ちは変わらないことに改めて気付かされます。
最後には苦労は報われ、ハッピーエンドとなりますが、子育ては、そううまくはいかないのが現実でしょうか。

女の、母の目から見た人間賛歌の物語。5
この小説はこの著者にしか書けない、著者と主人公の幸せな出会いのうえ生まれた物語だと思う。主人公の賀川玄悦(かがわ・げんえつ)は江戸中期に生きた産科医の祖。専門の教育を受けた事が無く昼間は屑鉄集め、夜は鍼灸で食いつなぐという男の人生が、ある事柄から大きく変わってゆく。それは当時、医者が、ましてや男が関わることがなかった出産。生涯の仕事となった、そこにはこの男の生い立ち、母が強く関わっていた。死産の場合お腹に残った胎児と共に母は死んでいくしかなかった時代、男が考案した「回生術」で多くの命が甦っていった。
著者の歴史小説の手腕は定評のあるところだが、そこに加わった母の視点が素晴らしい。これは女の、母の目から見た人間賛歌の物語である。著者が常々創作の柱とする、未だ日の当たらない歴史上の人物。自分の良しとする仕事にのめり込めばのめり込むほど妻や子供とのすれ違いに悩み、孤独に陥る不器用な男が等身大に生き生きと描かれている。人の誕生は素晴らしい。人生の始まりを深く感じさせてくれる名作です。

男性にこそ読んでほしい5
周りから見ると狂気とも思えるほどの主人公の回生術にかける情熱は、子ども時代の母を失った悲しみ、母を助けられなかった悔しさ、そして母への愛に裏打ちされている。だから、その主人公の一途な生き方や情熱に対して、また描かれるお産の現場に対して、性別や年齢、お産経験のある無しに関係なく、誰でも共感できるし、感情移入できる。なぜなら誰でもが母のお腹から生まれてきたから。しいて言うなら、男性にこそ読んでほしいと思う。説得力のある物語の設定がすばらしい。