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野中広務 差別と権力

野中広務 差別と権力
By 魚住 昭

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  • Amazon.co.jp ランキング: #192998 / 本
  • 発売日: 2004-06-29
  • 版型: 単行本
  • 361 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
部落差別の壁に挑み、頂点まで登りつめる寸前、なぜ「影の総理」は躓いたのか?
権謀術数を駆使して政敵を叩き潰す恐ろしさと、弱者への限りなく優しい眼差し。本当の姿はどちらなのか?辣腕政治家の足跡を追った著者は、現代史の光と闇に到達した。

水平社宣言から80年余、差別と闘った政治家の軌跡
日本はなぜマイノリティや「他者」に対して冷酷なのか?その中で、野中広務という政治家は、どんな手法と思想で君臨したのか?

内容(「BOOK」データベースより)
部落差別の壁に挑み、頂点まで登りつめる寸前、なぜ「影の総理」は躓いたのか?権謀術数を駆使して政敵を叩き潰す恐ろしさと、弱者への限りなく優しい眼差し。本当の姿はどちらなのか?辣腕政治家の足跡を追った著者は、現代史の光と闇に到達した。水平社宣言から80年余、差別と闘った政治家の軌跡。

内容(「MARC」データベースより)
部落差別の壁に挑み、頂点まで登りつめる寸前、なぜ「影の総理」は躓いたのか? 被差別部落出身の優等生が戦後の混乱の中で頭角を現し、一時は自民党を牛耳ったものの、思いもよらぬ陥穽にはまり…。辣腕政治家の足跡を追う。


カスタマーレビュー

特異な政治家の原点と現在4
野中広務という不思議で特異な政治家の原点を解明しようとしたノンフィクション。「反差別」と「権力志向」が同居した野中の行動のプロセスが戦後政治のを背景に辿られている。
野中が被差別部落出身ということは、公然の秘密だった。野中は、自分が受けてきたいわれなき差別を、個人の力や革新政党の力でではなく、保守・自民党の力ではね返そうとした。そこに野中の特異性がある。
また特筆されるのが、野中と公明党・創価学会とのつながりである。弱みを握られた公明党側が野中に接近したことが、後の「自公連立政権」につながっっていったという著者魚住氏の結論は、現在の政治状況からみても、まことに興味深いものがある。
現在、連立のパワーバランスによって何とか持続しえている小泉政権。その小泉を痛烈に批判しているのもまた野中なのである。

前半はムチャ面白いが後半は今ひとつ3
 野中広務は自伝を2冊書いているが、それとは違った視点から見た他人による野中広務伝である。

 野中氏の政治手法で特徴的な点としては、①裏切り者には容赦ない冷徹なマキャベリズム、②弱者には非常にやさしい施策、があげられるだろう。この一見相反する要素を理解するためには、野中氏の出自や地方政治家としての前半生の認識が不可欠である。そして、野中氏の政治が理解できなければ、(小泉政権が誕生する前までの)自由民主党の理念が理解できないであろう。
 本書はその意味からも野中氏の人生を客観的に描写した貴重な文献たりうる。

 ただし、本書の前半部と後半部とでは、面白さのレベルがまったく異なる。差別を受けた少年時代、青雲の志を胸に秘めた地方政治家時代の面白さは一級といえる。しかし、国会議員になってから以降の記述は、あまり面白くない。これは、地方政治は理解できるが、国政を理解するまでにはいたっていない私の認識レベルによる部分もある。しかし、首長のリーダーシップで大きく変革しうる地方政治と、特定の個人がリーダーシップをとりにくい国政の運営手法の違いが本書にも現れているような気がしてならない。
 

「影の総理」の影にあったもの5
 エピローグに、著者が月刊誌に野中の評伝を発表した直後に野中と議員会館で会った時のやりとりが出てくる。「君が部落のことを書いたことで、私の家族がどれほど辛い思いをしているか知ってるのか」と野中に詰られた著者は、家族への侘びを口にしつつ、「これは私の業(ごう)なんです」という言葉を搾り出す。本書には、まさに書く者としての「業」を感じさせる執念が漲っていると思う。
 部落差別や土建屋の談合、宗教団体など、関わる事柄は一筋縄ではいかないものばかりで、その取材は大変だっただろう。京都という土地柄、裏づけとなる話をしてくれる人は極めて少なかったはずだ。問題が問題だけに、その舞台裏を書くことは簡単なことではない。それをやり遂げた著者に敬意を表したい。

 本書中に、麻生太郎が会合で「部落出身者を総理にはできないわなあ」と発言した、という記述が出てくる。こうした差別が結局は野中が総理になることを阻んだのだと。果してそういった差別が現実にどれほどのものであってどう野中の進退に影響を及ぼしたのかは実のところわからないのだが、少なくとも、麻生太郎を総理にはできんわなあ、とは言っておきたい。
 野中は色んな顔をもっている。差別問題(いわゆる部落差別だけでなく、ハンセン病原告団への理解もある)に取り組むマイノリティーとしての顔と、権力の中枢を操るフィクサーとしての顔。いずれの顔も見えるようなエピソードが、本書には描き込まれている。力作である。