ひとたびはポプラに臥す〈6〉
|
| 価格: |
おすすめ度:
商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #443943 / 本
- 発売日: 2000-04
- 版型: 単行本
- 247 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
「こんな旅は、もう生涯二度とできない」
宮本輝が往く宿命の地シルクロード
人は何を幸福と感じて生きるのか、死とは何か……世界最後の桃源郷・フンザの静謐な夜空に生と死を想い、インダスの銀河に亡き父の面影を映す。少年のころの誓いを生涯懸けて果たした人、鳩摩羅什(くまらじゅう)の足跡を追うシルクロード6700キロの旅は、終着の地ガンダーラへと辿りついた。熱砂の大地に作家・宮本輝の原点を刻み、新たな出発を告げる稀有なる「人生の紀行」ついに完結!
内容(「BOOK」データベースより)
人は何を幸福と感じて生きるのか、死とは何か…世界最後の桃源郷・フンザの静謐な夜空に生と死を想い、インダスの銀河に亡き父の面影を映す。少年のころの誓いを生涯懸けて果たした人、鳩摩羅什の足跡を追うシルクロード6700キロの旅は、終着の地ガンダーラへと辿りついた。熱砂の大地に作家・宮本輝の原点を刻み、新たな出発を告げる稀有なる「人生の紀行」ついに完結!豊富な写真を収録。長篇紀行エッセイ。
内容(「MARC」データベースより)
鳩摩羅什の足跡を追うシルクロード6700キロの旅は、終着の地ガンダーラへと辿りついた…。熱砂の大地に作家・宮本輝の原点を刻み、新たな出発を告げる「人生の紀行」、ついに完結。〈ソフトカバー〉
カスタマーレビュー
紀行でも、歴史小説でもなく、鳩摩羅什の軌跡を辿りながら人生を考える
4月中旬日本に出張したとき、6冊を揃って買い求め、一気に読んだ。当初の、鳩摩羅什の軌跡を辿るという期待は、現代中国の辺境地区の現実に出会い見事に打ち砕かれる。
が、6700kmの旅のなかでの、人々との出会いや、広大な砂漠に身をおいて、著者が思う自らの半生の回顧、著者の豊富な読書暦からの引用とコメント、鳩摩羅什への思いなど、幅広く人生を考察する機会を読者に与えてくれる書である。
著者の少年時代、作家への道を歩み始めたころの回想も、その苦しさ、せつなさは、彼の他の書で目にしていた記憶もあるが、改めて実感し、読者にとってのそれなりの指針となることと思う。
惜しむらくは、スポンサーのついた旅であったため、紀行のスタイルを崩せなかったのだと思うが、メンバーやガイドとのやりとりで、地元文化の話題になるところは容認できるが、やや冗長の感が否めない。「ドナウ」風のフィクションにしたてた時には面白いとは思うが。
虚しさという結論
著者が、仏教経典の翻訳者であった鳩摩羅什という人物がかつて旅した足跡をそのまま辿った旅行記。
著者は関西人らしく、会話のはしばしにユーモアがちりばめられていて、面白く読める。また、旅の途上で宮本輝が何を考え、何を見たかがストレートに伝わってきて、興味深い。
ただ、1ヶ所、気になる部分があった。著者は、自分が作り出す物語に自分の解釈や説明や理由付けを行ってはならないと書いている。しかし、自分の解釈がない小説など、毒にも薬にもならない。そんな小説に心が動かされるはずはない。小説とは、人生や社会、事件などへの意見、批判、または問題提起となるべきだと私は考える。何らかのメッセージがこめられていない小説など、存在価値がないと思うのである。宮本輝がなぜそんなことをいったのかは分からないが、私の小説観とは意見が異なるようである。
波乱に満ちた旅の最後に、著者はずっと持ち続けていた感情を自覚する。「虚しさ」である。この言葉がすべてを物語っているように思われる。古代の王、ソロモンは言った。「空の空、すべては空」。何を成し遂げようとも、どんなに富があろうとも、結局はすべてが虚しいとこの王は言ったのである。著者が期せずして同じ結論にたどりついたのも、ソロモンの言葉の正しさを表しているのではないだろうか。
辿りついた桃源郷
シルクロードの旅も終着点に近づき、星降るフンザをぬけ、インダスを渡ってペシャワールへと辿りついた。
飛行機でひとっ飛びしてしまえば、ただの山脈に囲まれた街に過ぎないかもしれない。しかし車でひたすら走るシルクロードは、本を読んでいるだけで長い旅だったと思うくらいだ。砂漠をぬけたガンダーラはまさしく桃源郷のように思えるだろう。まして古来のシルクロードにおいてであれば、なおさらである。
夜空を見上げて感動するだけの余裕もようやく出てきたといったところだろうか。フンザの夜空をみつめて、見えたのは過去ばかりではなかっただろう。筆者の言葉に、これまでにない重みを感じた。
桃源郷でも現実の世界はついてくるもので、イスラム圏のためにアルコール探しに奔走する姿もユーモラスに書かれている。それにマリファナのために放浪する日本人の姿も。
巻末に添えられている「旅のアルバム」は、それまでの挿絵として挿入されている写真とは違って旅行の写真っていう雰囲気が伝わってくる。プロのカメラマンの撮る写真というものにも触れられてよかったと思う。




