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木犀の日―古井由吉自選短篇集 (講談社文芸文庫)

木犀の日―古井由吉自選短篇集 (講談社文芸文庫)
By 古井 由吉

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  • Amazon.co.jp ランキング: #29901 / 本
  • 発売日: 1998-02
  • 版型: 文庫
  • 284 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
〈都会とは恐ろしいところだ〉。5年間地方で暮らし、都会に戻った私は毎朝のラッシュに呆然とする。奇妙に保たれた〈秩序〉、神秘を鎮めた〈個と群れ〉の対比、生の深層を描出する「先導獣の話」のほか、表題作「木犀の日」、「椋鳥」「陽気な夜まわり」「夜はいま」「眉雨」「秋の日」「風邪の日」「髭の子」「背中ばかりが暮れ残る」の10篇。内向の世代の旗頭・古井由吉の傑作自選短篇集。

内容(「BOOK」データベースより)
「都会とは恐ろしいところだ」。五年間地方で暮らし、都会に戻った私は毎朝のラッシュに呆然とする。奇妙に保たれた「秩序」、神秘を鎮めた「個と群れ」の対比、生の深層を描出する「先導獣の話」のほか、表題作「木犀の日」、「椋鳥」「陽気な夜まわり」「夜はいま」「眉雨」「秋の日」「風邪の日」「髭の子」「背中ばかりが暮れ残る」の十篇。内向の世代の旗頭・古井由吉の傑作自選短篇集。


カスタマーレビュー

散文・解体・衰弱・極限4
失礼だが、日本では「小説」がいささか重視され過ぎだ。優れた小説がそんなにある訳ではない。
現存する作家で、散文体の可能性を、逸脱や解体の一歩手前まで追求しているのは、日本では古井由吉と金井美恵子だろう。そして、松浦寿輝と堀江敏幸が、恐らくは自覚的な継承者だ。
本が入手可能かどうかわからない状態が長く続いている。本書は自選短篇集で、簡便に読みうるのは有難い。
最初の「先導獣の話」等は、まだ、1968年の発表当時の時代性が強い。やはり著者の真骨頂と思えるのは、「椋鳥」「夜はいま」「秋の日」といった、所謂狂気を巡る作品。自己─言語─他者─世界が解体していく様は著者の独壇場。
後半は、衰えや老いの主題が前景化してくる。ここでも、登場人物の衰弱と言語の衰弱が共振する。老父を描く「髭の子」等は、中年の読者には切実な印象がある。若い時に読んでも実感が薄いかもしれない。
因みに、日本では、「散文」と「詩」の二項を理解していない人が多過ぎる。言語表現はこの二極からなり、散文が先鋭化すれば、詩的要素の領野が増していく。その意味で、本書は、現代における散文体の極限を示すものとして最高レヴェルの一冊だろう。

言葉への自制能力4
古井由吉は忘れられそうな日本語、または新たな日本語の発見が出来る非常に

稀有な作家だと思われる。基本的に私は小説はあまり読まないのだが、この作家の小説は限られた人生の時間を使って読むに値する作品が多い。本書の中で、個人的には「先導獣の話」、「陽気な夜まわり」、「背中ばかりが暮れ残る」の3編が秀逸で、この3編だけであれば「星5」に値すると思われる。作品によって、読者にキリコやフランシス・ベーコンの絵等、絵画的な想起をさせる本物の小説家である。

難解、マニア向け2
日経に連載されていた古井氏のエッセイ「東京の声、東京の音」は非常におもしろかったため、本書を購入したが、残念ながら失望した。

1あまりに当て字もしくは難解な漢字が多いうえに、振り仮名が少ない(例:襤褸、顫わせる)。私の無教養を棚に上げて言うが、振り仮名ぐらいは付けないと、この著者の別の本を読もうという人はかなり稀であろう。自分の教養をテストしたい方には有意義かもしれない。
2複数の登場人物がいるにもかかわらず主語が省かれている場合が多く(特に「風邪の日」)、誰の話なのか混乱する。日本語の文章で主語が省かれることは特に珍しいことではないが、それを考慮しても度が過ぎている。