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親和力 (講談社文芸文庫)

親和力 (講談社文芸文庫)
By ゲーテ

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  • 発売日: 1997-11
  • 版型: 文庫
  • 474 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
富裕な男爵エードゥアルト、エードゥアルトの友人の大尉、エードゥアルトの妻シャルロッテ、シャルロッテの姪のオッティーリエ、この四人の男女の織りなす恋愛図式。それは人倫を越えた、物質が化学反応を示して互いに牽きあう親和力に等しい。夫婦や家族の制度を破り出て人を愛するのも自然の力である。しかし、人間は自覚的な強い意志をもってそれに対抗しようとする。


カスタマーレビュー

緻密で謎めいた作品5
 ゲーテと言えば『ファウスト』や『若きウェルテルの悩み』がすぐ思い浮かぶが、この作品はその両者よりも小説らしい小説だという気がする。とにかく細やかな心理描写、自然を描く際の適確この上ない言葉遣い、伏線や暗示に満ちた展開、舞台となる個々の場所に込められた様々な暗喩的意味、どれを取ってもまるでこの本が昨日書かれたばかりであるかのような新鮮さが感じられる。
 主人公エードゥアルトと清純なオッティーリエの道ならぬ恋、離婚まで決意するシャルロッテの苦悩、彼女に惹かれながらも親友のためにその感情を押し殺そうとする大尉の気高さ、その他彼らの周囲に現われる人物達の性格や行動は全て個性的かつ魅力的に描かれていながら、作者の語りは主題である「親和力」から一瞬も逸らされていない。親和力は人を人生の迷路に迷い込ませもし、また彼をそこから導き出すこともある神秘的な力であることが暗示されている。
 「芸術作品はそれが自然のように見える限りにおいて美しい」というカントの言葉さながらに、語りの技巧の極致が平易さの外見を取って現れている。柴田氏の翻訳も平明で美しく、珠玉の一編にふさわしいものとなっている。

空恐ろしい作品5
泰然と身構えたゲーテにもこのような作品を書く内面があったのか
と感じさせる、空恐ろしい作品。
ある夫妻のもとに友人がおとずれ、
交差するような不倫関係がはじまる。
妻の友人が夫と惹かれあい、夫の友人が妻と惹かれあう。
そんな中でもとの夫妻同士の子供がうまれるも
その子供の顔はなぜかお互いの不倫の相手の面影がいろこく刻まれる。
その子供は呪われた運命のためか、すぐに死を迎え、
それを追うように次々と登場人物が死にゆく運命をたどる。
おどろおどろしい作品、
それだからこそゲーテは何を考えてこの作品を書いたのか
じっくり考えさせられる。
そして人は何によって生きていくべきか深く考えさせられる。
ベンヤミンの「親和力について」という解説も
あわせて読むとよりこの作品の重みを認識できる。

ゲーテという作家5
70歳を超えてからゲーテの作品を集中して読み出しました。「イタリア紀行」「エッカーマンの対話」「詩と真実」このあと「ヴィルヘルムマイスターの修行および遍歴時代」を予定。
その中の「親和力」。
田舎だったドイツを国際化し、ドイツ文学の価値を高めたゲーテの面目躍如の作品でした。ストーリーはシンプルですが、人間描写の深みがに圧倒されます。
 そして訳者の柴田 翔氏の解説が示唆深く、有益でした。