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田紳有楽;空気頭 (講談社文芸文庫)

田紳有楽;空気頭 (講談社文芸文庫)
By 藤枝 静男

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  • 発売日: 1990-06
  • 版型: 文庫
  • 297 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
あくまで私小説に徹し、自己の真実を徹底して表現し、事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深め、人間の内面・外界の全域を含み込む、新境地を拓いた、“私”の求道者・藤枝静男の「私小説」を超えた独自世界。芸術選奨『空気頭』、谷崎賞『田紳有楽』両受賞作を収録。


カスタマーレビュー

なんとなくSF、の超私小説4
SFを知らずしてSFを書いてしまったのではないかというくらい飛んだ作品がふたつ。ありえない現象をしずかに書きとめてゆく自然主義の手法だけが流用され、私小説から軽やかに跳躍しています。
いろんな過去を背負った生物-死物、偽物-ばった物たちが飲んで歌ってすべてをうやむやにしてしまう、どこかインド映画チックな『田紳遊楽』と、鬱屈した空気のなか、みずから倒錯へと身を投じることで、生とも死ともつかないあいまいな世界から厳しく自身を引き離そうとする『空気頭』は方向性こそ逆でありますが、指向する境地は似ている気すらいたします。藤枝静夫氏の作品には墓や病気、死といった不気味なものがよく登場するのですが、いずれも滑稽さと悲しさの薄皮に包まれて供されます。藤枝氏は不安さに耐えられなくなった時、期せずして発露される、真面目さがおかしさと区別が付かなくなるあの笑い泣きの境界に長く身をおいていたのかもしれません。
あまり名前を知られることもなく渋い位置にとどまっている作家ですが、読んでみると「こんな作家が昔、日本にも居たのか!」という驚きがあることでしょう.....。というわけで、復刊を期待する次第です。

極私小説4
私小説を突き詰めるとこうなる
という見本である。
シュールさは安部公房をも
軽々と凌ぐ。

藤枝さんが自らの全集すべてに
サインを入れたというエピソ-ドは
氏の人柄をよく表している。
曰く「読者とより深くかかわりたい」
作品は読むものをワシ掴みにする。

一度読んでみるといい4
『田紳有楽』は破天荒な作品だ。音楽に例えればアドリブをふんだんに取り込んだフリージャズと言える。読めばそれが判る。話の展開が何処に着地するかなど一切わからない。著者本人でさえ明確に着地点を想定せずに書いていた節がある。地味な私小説リアリズム的な始まりから空想力が突如として爆発大炎上し、更にヒートアップして燎原の如く読み手の既成概念を燃やし尽くす。この作品は日本文学において空想力を最大限発揮した作品のメルクマークとも言えるだろう。
 ただし、併録の『空気頭』に関しては個人的に今ひとつであった。