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愛と幻想のファシズム〈下〉 (講談社文庫)

愛と幻想のファシズム〈下〉 (講談社文庫)
By 村上 龍

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  • 発売日: 1990-08
  • 版型: 文庫
  • 541 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
混乱の日本に誘発するパニックとクーデター。アメリカの金融資本と全面対決する“狩猟社”
1987年、この危険な小説はすでに現実だ!

恐慌後、ソビエトのIMF加入など、世界には奇妙な動きが相次いだ。それらは巨大金融企業集団「ザ・セブン」の暗躍を示すものだった。「ザ・セブン」はゾビエトと秘密協定を結び、危険なイスラエルを排除、日本を完全属国とするプランを実行に移していく。政治結社「狩猟社」は、「ザ・セブン」と対決すべく、自衛隊による擬装クーデターを起こし、ゼネスト後誕生した革新政権を倒して、イスラエル過激派と手を組み核の製造にも着手、さらに海底ケーブル切断による情報封鎖で、新たなパニックを誘発する。カリスマ鈴原冬二ひきいる「狩猟社」は日本を支配し、米ソ共同管理を崩すことができるのか?

内容(「BOOK」データベースより)
世界恐慌を迎えた1990年、世界には奇妙な動きが相次いだ。日本でもパニックとクーデターが誘発する。暗躍する巨大金融企業集団「ザ・セブン」に全面対決を挑む政治結社「狩猟社」が企てたのだ。若きカリスマ、トージの意識が日本を動かし始める。この危険な小説に描かれた世界はすでに現実である。


カスタマーレビュー

20年前に書かれた30年先の予言4
久し振りにダンボールから取り出して目を通してみた。
南米発のデフォルトで米ソが手を取り合い、日本にカリスマが登場する
物語。

書かれたのが1987年だが、現実の歴史は、1991年バブル崩壊、1997年に
アジア金融危機と山一破綻、2002年にITバブル崩壊、2007年にサブプ
ライム問題、というように「システム」の本質的課題を先送りにする
毎に起こる問題の深刻さが増して来るようだ。

主役の鈴原トウジはハンターだ。でも「ハンター」は、今、本家アメ
リカでは、発達障害の文脈で語られることが圧倒的に多いようである。
行きどころは、CIAかNASAくらいなのだろうか。
日本ではどうか。アメリカに追いつく前に「アメリカという巨大な
システム」の崩壊に直面することになるのではないだろうか?

村上龍の勉強量の凄さにはこの作品を読むたびに今でも圧倒される。
でも、彼の本当の凄さは30年先を見通す独特の直観力にこそある
だろう。10年先、いや早くて5年先を見通す手がかりとして、
20年前に書かれたこの本を今一度手に取ってみることを多くの人
にお勧めしたい。

蛇足ながら最後に。「固定客」のいる作家の作品にレビューをつける
のは、小心者の自分には結構勇気が要りました(笑)。
的外れな意見と思うなら、どうか看過下さい。

視点の鋭さ。5
下巻では先端技術や情報の重要さがよりクローズアップされています。つまり「肉体的な弱者」というより「情報に対する弱者」がハンティングの対象になっているわけです。このような「情報強者」と「情報弱者」の対立は21世紀の最大のテーマになるのではないでしょうか。80年代にこのような問題意識をもてる視点の鋭さに驚かされます。

失われる野望4
 私達現代人は野望を失いつつある。キレイな言葉で言えば夢だ。何をやるにも現実的になってしまう。現実的なのが悪いわけではない。しかし、私達は手の届くところにしか手を伸ばさなくなってしまったのではないだろうか。目標はあっても、夢がないのではないだろうか。リスクを負ってでも、野望に向かい突き進む欲望を私達は感じないのではないだろうか。
 
 そんな私達の心を掻き立て、向上心をここまで乾かせる作品は他にない。経済政治に知識が疎くても十分にためになる本だった。