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ICO-霧の城- (講談社ノベルス)

ICO-霧の城- (講談社ノベルス)
By 宮部 みゆき

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  • 発売日: 2008-06-20
  • 版型: 単行本
  • 473 ページ

エディターレビュー

内容紹介
宮部みゆきの渾身作、ついにノベルス化!

内容(「BOOK」データベースより)
邪悪な力を持つ霧の城は角の生えた子を生贄として求めていた。イコはしきたりに従い、霧の城へ。そこで檻に囚われた少女を発見したイコは、彼女を助け出すがその手を握ると何故か彼の頭の中に様々な幻像が…。不思議な力を持つ少女・ヨルダは何者なのか?そして囚われた理由とは?運命に抗い、謎が渦巻く城からヨルダとともに脱出するため、イコは城主と対決する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮部 みゆき
1959年東京都生まれ。’87年『我らが隣人の犯罪』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。’89年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞、’92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、同年『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、’93年『火車』で山本周五郎賞、’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞、’99年『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞、’06年『名もなき毒』で吉川英治文学賞をそれぞれ受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

一つの「完成された」ICO4
原作の素晴らしさは、「無」の美しさでした。

近年のゲームは、メディアの大容量化や表現の多様化により、ハリウッド映画に劣らぬ演出を凝らした物が多く、PS2を始めとする新世代機が人々に浸透するにつれ、その傾向は顕著となっていきました。

しかし、その中でICOはひときわ異彩を放ち、近年の傾向とは真逆の内容でした。

そこにあったのは、人の手を加えられていない、脚色されていない自然な美しさでした。

一人の少年が謎の少女と出会い、城からの脱出を試みる。いったい何から逃げているのか、何故逃げなくてはならないのか、そして、なぜ少女と一緒に逃げようとしたのか…その答えは用意されてない。

しかし、そこには言葉では言い表すことのできない、何かがあるのです。その何かが具体的に記されていない、そして、その何かはプレイヤーに肌で感じ取ってもらう…それこそが原作の魅力でした。

プレイヤーの感性によって無限の広がりを見せる、宝石の原石のようなゲームでした。

対して本書は、既にカットされた宝石が放つ美しさですね。つまり、決められた道筋、決められた感動を得る内容なのです。

原作は最小限のストーリーしか与えられていないのに対し、本書は前後関係から事細かな人物設定まで詳細に書き込まれています。

つまり、本書に描かれているのは、「宮部みゆき先生のICOの解釈」であり、我々が感じた内容とは一致しないのです。

ICOの原作を軸に、無限のパラレルワールドが広がる。そのうちの一つが本書のICOなのです。

それをどう評価するのかは個人の考えです。しかし、私個人的には、自身が持っていたICOとはまったく別の解釈に触れる事で、ICOの世界が更なる広がりを見せたと感じています。

私はこのゲームをこう感じた。では、貴方は?という問いに対する一つの回答なのです。

ですから、原作を先に遊ぶ事をおススメします。

こういうものは4
ゲーム本編とは別ものだとはっきり割り切って読むべきだと思います。
何より書かれた本人がそう言ってますから。




一つの作品として見れば、少々訳がわからない所はあるもののとてもよくできた作品だと思います。
ただ合う人合わない人がいる様です。

壮大なる「同人小説」4
宮部みゆきさんがどれほど「ico」を好きか、がひしひしと伝わってくる作品です。
「ico」の世界の一つの解釈として、ここまで考察し、物語に仕上げられるのは流石だと思います。
特に、ゲームで全く語られていない「城の過去」は、原作の足枷がない分、作者が自由に想像の翼を羽ばたかせており、一番面白く読めた部分でした。
ただ、原作があまりにも「想像にお任せ」なゲームだったため、読者それぞれの持つ「ico」のイメージと合わなかった場合は、
読んでいて違和感があるかもしれません。

これは作家宮部みゆきの他の小説作品と同列に捉えるのではなく、「ico」に魅せられた1人のファンが、
余りある愛情を小説という形で表現した同人作品と捉えるのが正しいような気がします。

城の描写が冗長なのも、ストーリー展開がなんだかお約束的なのも、すべては作者が「ico」の世界をトレースして表現したいが故であり、
それが原因で作品としての完成度が他の宮部作品と比べていまひとつだとしても、それはこの作品の価値を下げるものではないと思います。

とはいえ、ゲームの「ico」を知らない人が、独立した一つの作品として読む分には、若干物足りないかもしれませんね。