プラスティック (講談社ノベルス)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #1009126 / 本
- 発売日: 2001-02
- 版型: 新書
- 281 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
私が私じゃなくてあなたはあなたじゃない
アイデンティティーをきしませる導火線!
そのフロッピーには54個の文書ファイルが収められていた。冒頭の文書に記録されていたのは出張中の夫の帰りを待つ主婦・向井洵子が経験した奇妙な出来事を記した日記。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線だった!
内容(「BOOK」データベースより)
そのフロッピーには54個の文書ファイルが収められていた。冒頭の文書に記録されていたのは出張中の夫の帰りを待つ主婦・向井洵子が経験した奇妙な出来事を記した日記。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線だった。
内容(「MARC」データベースより)
そのフロッピーには54個の文書ファイルが収められていた。冒頭の文書は出張中の夫の帰りを待つ向井洵子が経験した奇妙な出来事を記した日記。それがアイデンティティーを崩壊させる導火線だった。98年双葉社刊の再刊。
カスタマーレビュー
映画化不可能
単行本も初版を読み、更にノベルスも読みました。
オチを知っていてもなお、買いなおして読んだミステリはこれが初めて。
終盤で声を上げて驚愕したミステリもこれが初めて。
バラバラだったピースが最後に全て繋がる快感を是非。
なぜ映画化不可能なのかは、読了後に分かるはずです。
(厳密に言うと、ある方法では可能なのでしょうが、ひどくつまらない映像作品になると思われます)
無謀な冒険で井上らしさが半減
実母や義父からの虐待で歪みきった初美は、その現実からエスケープするために複数の「人格」を生み出してゆく。ある者は合理的に、ある者は狼狽しながらも、互いに補完しあいながら共存する「彼ら」だったが、些末な出来事によって最悪の形で歪みのトリガーが引かれてしまう…。
断っておくが、これは単なるありふれた多重人格ミステリではない。観察者たる人格・「高幡」が他の「人格達」に、各々の動きを54のファイルを収めた一枚のフロッピーに書き込ませるという前代未聞の構成が、この作品をサイコサスペンスの域を超えたものにしているからだ。後半で「高幡」によって真相がひもとかれ始めるシーンは、読んでいる自分までがあたかも初美の「人格」の一部であるかのような錯覚すら覚えかねないほどの慄然たるものである。
「人格達」の共存の限界を感じ、過去のトラウマから眠ったままの初美を覚醒させようとする「高幡」。それに対する初美の反応を、井上はあえて空白にして、読者の想像に委ねている。この実験的な物語は、畢竟、最後まで最大の謎を露にすることはないまま幕を下ろすのだ。
ソロになってからSF色が強くなった井上の作品の中でもとりわけ異色の一作。当作が読者に投げ掛ける後味の悪さは出色であり、評価に値するものだろう。が、彼の余りにもラディカル過ぎる試みは、私にとっては、圧倒されはしても、喜べるものではなかった。
岡嶋時代を通しての売りだったリーダブルで品性のある文体が大きく変質しているのに、何よりもぎこちなさを覚える。加えて、鋭二の弟が「恭輔」とたまたま出くわすなど、余りにも偶然に頼り過ぎた全体の運びには、首を傾げずにはいられない。
冒険は大いに結構だ。井上の果敢な船出にはエールを贈りたい。だが、蛮勇が過ぎると遭難のリスクも高まる。くれぐれも無鉄砲な航行をせぬよう、留意して欲しいと強く願う。
なぜプラスティックか最後にわかる
井上夢人は「メデュサ鏡をごらん」につづいての二冊目であるが、「メデュサ...」とはまったくタッチがことなる。この人は多才な人で1、2冊で固定的な印象をもてる作家ではないようだ。
普通のマンションに住む平凡な主婦が不可解なできことに巻き込まれる。本格ミステリーのタッチを十分に味わえる緻密な展開に、フロッピーに残されたファイルを一つ一つ開けていくという心地よい閉塞感が手伝ってどんどんひきこまれます。
そして最後は完全に説明がつく内容で終わるのだが、余韻が残り、「プラスティック」という意味を理解させられる。考えてみればわれわれもプラスティックなんだよな。星4つは、ちょっと僕には地味すぎたから。でも内容そのものは十分星5つです!もういちど最初から読み返したくなる作品。


