昭和天皇〈上〉 (講談社学術文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #296540 / 本
- 発売日: 2005-07
- 版型: 文庫
- 475 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
君主としての人間形成はどのようになされたのか。明治天皇を範とする帝王教育や大元帥になるための軍事教育を受けた皇太子時代から、即位を経て政治的君主へと変貌していく過程を、新たに発表された膨大な資料をもとに克明に描出する。神秘のベールに包まれた昭和天皇をひとりの人間としてとらえ、実像に迫る出色の研究書。ピュリッツァー賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ビックス,ハーバート
1938年、米国マサチューセッツ州生まれ。ハーバード大学にて歴史学および東洋言語学の博士号取得。30年にわたり日本近現代史に関する著述活動の一方、日米の大学で日本史を講じてきた。2001年まで一橋大学大学院教授をつとめた後、現在はニューヨーク州立大学ビンガムトン校教授
吉田 裕
1954年、埼玉県生まれ。一橋大学教授、専攻は日本近現代史
岡部 牧夫
1941年、東京生まれ。成蹊大学政治経済学部卒業。著述、翻訳業
川島 高峰
1963年、東京生まれ。明治大学大学院修了、政治学博士。明治大学情報コミュニケーション学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
日本人が欧米に問われているということ
著者の資料の精査は素晴らしい努力の成果ですが、一面的な歴史解釈をしているのは紛れもない事実です。ある一つの結論のための強引な資料の取捨選択と精査がなされており、読者はあくまで仮説の一つとして取り組む必要があります。
昭和天皇が終始徹底して非戦論を唱えていた、ということではないですが、ある時期に積極的に戦争回避の努力をしたことは、資料もあり史実としても明白なのですが、それには資料も含めてほとんど触れられていません(宇垣一成内閣流産など)。
限りなく単純な歴史観に基づく著作であるものの、こういった外国人研究家の昭和史理解を一面的である、と批判しても意味のある議論ではないでしょう。そうではない外国の日本研究家など、一握りもいないのですから。その意味ではドナルド・キーンの『明治天皇』も、逆の意味で一面的です。
どちらかと言えば、こういう本が出ることは、いろんな立場で歓迎すべきだと思います。まず、同じ立場の日本の歴史学者の突っ込みの弱さが明白になり(ほとんどが昭和天皇は「戦争を止められない弱い君主」的な仮説でしかなかった)、同時に昭和天皇の人間性の、一筋縄ではいかない複雑さ、すなわち昭和という時代の多面性、重層性が今になってまた浮き彫りになってきています。
本書を批判する前に、日本の学会・メディアの状況を嘆くべきです。こういう著作が欧米人に書かれ、大作として話題になっていることが、まだ日本人が自らの手で昭和に決着をつけなかったことの帰結でしかないからです。
今必要なのは、本書への批判ではなく、本書を乗り越える日本人の覚悟ではないでしょうか。
いろいろ問題点はあるが、読む価値あり。
とかくタブー視される昭和天皇の一生を、豊富な資料をもとに解明する大著。随所に見られる外国人研究者独自の視点は新鮮で、また、日本人では畏れ多くて触れ得ない部分や、刺激的な断定が含まれ、興味深い。また、側近の行動、言動のきめ細やかな調査・分析は、感心させられる部分もある。
他方で、事象との関連の疑わしい状況証拠や昭和天皇の不作為を執拗なまでに挙げ連ね、天皇の責任を問う著者の姿には閉口させられる。また、国際法の抵触について、専ら日本のそれについてのみ触れ、「無差別大量殺人」という連合国側の重大な国際法抵触についてはほとんど無視する「勝者の論理」は、戦後世代といえども受け入れがたいものがある。二次資料の引用が異様に多いのも、大変気にかかる。
また、昭和天皇の行動一つ一つを政治的な事象と全て関連づけ、昭和天皇を権力闘争のプレーヤーとして捉える著者のアプローチは、昭和天皇を専ら政治的な意味での国家元首としてのみの映し出す。いみじくも著者自身が昭和天皇のもう一つの代表的な性格として掲げた神道という祭祀の長という部分についてはただその存在を奇異なるものであることを強調する道具としてのみ使い、著者の日本人に対する偏見が透けて見えるようで、残念である。
しかしながら、出来れば類書を参照し、上述した著者のアプローチの問題点に注意しつつ読めば、害が出るほどのものではない。むしろ、今の世のベースが形成された激動の昭和の時代を上下で800ページの重みをもって体感させられる経験の方が本書の短所を上回る。また、頻繁に言及される各々の歴史的事象、及びそれに対応する意思決定プロセスを知れば、重要な意思決定の主体がわざと不在にさせる、日本人の行動パターンの問題点が今なお変わらぬように感じられた。
昭和天皇の評価ではなく歴史書ですね
この本を読むまで私は昭和天皇の死因さえ知りませんでした。
これは昭和天皇を評価しようというものではなく歴史的事実をできる限り忠実に述べようとした歴史書のようです。
昭和天皇については戦後のイメージ作りのためにほとんど事実が知られていないままでしたがこの本のおがけで色々な事実を知ることができました。
その事実からどういう評価をするかは人それぞれでしょう。
少なくとも激動の歴史に翻弄された一人の人間であると同時に歴史に大きな影響を与えた人物のようです。
アメリカ人の歴史学者(日本の大学の教授でもある)が著してくれたのはよいことだと思います。
日本人がこの本を書いていればさまざまないわれない圧力を受けることはまちがいなく、そのような状態は情けないものです。
事実はここに書いてあるのにそれを無視して作られたイメージに固執してしまうのも不幸なことです。





