日本を甦らせる政治思想~現代コミュニタリアニズム入門 (講談社現代新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #132314 / 本
- 発売日: 2007-01-19
- 版型: 新書
- 214 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
格差社会、教育問題、愛国心論争、地域の荒廃、解決策はここにある。現実の政治に有効な実践的議論。
内容(「MARC」データベースより)
いまの日本に欠けている政治思想はこれだ! 「自由と自己責任」「市場主義」の名のもとで進む格差・教育・地方の荒廃などの問題に対抗し、欧米でも実効力をもつ議論を紹介する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
菊池 理夫
1948年青森県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、同大学院法学研究科博士課程政治学専攻修了(法学博士)。現在、三重中京大学現代法経学部、同大学院政策科学研究科教授。専攻は政治思想史、政治理論、政策価値論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
日本を代表するコミュニタリアンによる啓蒙書
新書なのである程度は仕方ないのですが、いささか議論を噛み砕きすぎている感がある。
コミュニタリアンという立場に対し、リベラルはじめリバタリアンやポストモダンといったさまざまなポジションからの批判が存在することを知ったうえで読むべきです。でないと、「コミュニタリアニズムっていいとこだらけじゃん!」と手放しに賞賛してしまうような書き方がなされています。
具体的に言うならば、リベラルーコミュニタリアン論争で最もアツいテーマであった共通善をめぐる論争については、リベラル側からの規律化に関する批判について全くノータッチ。政治参加の必要性を説かれた部分に関しても、ロールズが正義の二原理において不平等を是正するための措置を取り組んでいる事を無視しているかのような議論の運びです。
A(リベラル)に対するB(コミュニタリアン)の反論というスタイルなのに、Aの定義が適当すぎる。
ですが、かなりゆるい文章で書かれているので、コミュニタリアンとはどんなもんじゃい、というのを2時間で理解する事はできます。手軽さに★3つです。
現代日本をコミュニタリアニズムで斬る!
本書は、サンデルの研究者として知られる菊池里夫が先の著書『現代のコミュニタリアニズムと第三の道』を誰にでも手軽に読める新書にまとめ、コミュニタリアニズムを人口に膾炙させることを意図したものである。それだけに社会哲学的な論議にとどまらず、家族と教育、地域社会、経済政策と社会保障、憲法改正や国際社会論といった、アップトゥデイトで身近な問題がコミュニタリアニズムの視点から解き明かされている。コミュニタリアニズム(共同体主義)とは何かを知るうえで格好の入門書となるだろう。
ただ現代コミュニタリアニズムといっても、その主張は論者によってさまざまである。本書の中にも紹介されているように、わが国においても佐伯啓思のような保守派コミュニタリアン、青木孝平のようなマルクス派コミュニタリアンも存在する。読者は、本書はあくまでも菊池氏の理解し依拠するコミュニタリアニズム論(中道左派・リベラルコミュニタリアン)であることに留意する必要があろう。
菊池氏は、コミュニタリアニズムへの「誤解」を払拭しようとするあまり、リベラルな新しい人権や熟議民主主義を高く評価し、さらに自己決定により加入する自発的なアソシエーションや開かれたグローバル社会をもコミュニティに含めようとする。しかしながらこうした方向は、地域に固有の伝統や文化に負荷をもつ共通善の意味をかぎりなく曖昧にするのではなかろうか。少なくとも「日本を蘇らせる政治思想」と銘打つ以上、アメリカ系由でないローカルなコミュニティの評価が必要ではないのか。青木や佐伯が主張するように、論争の原点に戻り、まずはリベラルではないコミュニタリアン、アソシエーションではないコミュニティ、すなわち負荷なき自我による契約と峻別された間主観的な関係による自我の構成性を強調する倫理的緊張感が必要であるように思われる。
とはいえ、この新書によって、これまであまり知られていなかったコミュニタリアニズムの思想が広範な層に受容される意義は大きい。リベラルやリバタリアンが跋扈する現代日本を顧みるとき、さらにさまざまなコミュニタリアニズムが読者を得ることを期待したい。
ただ、「日本」は? 「宗教」は?
世に多くの社会思想がある。社会学者の宮台真司は、基本的な社会構想は既に出尽くしていると述べていた。近年の所謂新書ブームにより、そうした諸思想の入門書を簡便に読めるようになったわけだが、どれにも然るべき論拠があり、却って混乱してしまうような面もないではない。
本書は、政治学者の著者による、所謂共同体主義(という訳は不適当というのが著者の主張だが、字数の関係から)についての解説であり、諸批判への反論や、日本の社会改革案などが論じられる。著者は、主要な社会思想を解説した上で、自らを中道左派であると位置づけ、その方向から共同体主義について述べていく。様々な論争の経緯や、中心ともいえる「共通善」の概念の説明。家族や教育、地域社会のあり方など、論点は多岐に渡る。
著者が、穏健な中道左派としての思想を追求しようとしていることは疑うべくもない。安定した地域社会の維持という理念は、穏健保守派と穏健左派に共通するものだろう。過剰な市場主義経済批判にも全く納得できる。また、著者は人権概念なども否定していず、穏健なリベラリズムとも確かに通底しえよう。善概念の重要性についても共感はする。
しかし、他方ではどうだろう。まず、人の考えがそれぞれ異なることは、共同体主義内部でも様々な論争がある点からも明白だ。そして、こちらを前提としたのが近代性だろう。この、多様性‐人権という系をどう処するか。特に日本の場合、未だに全体主義的集団主義に被覆されていると私は思う。むしろ、まだ自由や人権への意識の方が不足しているのではないのか。また、「善」の必要性はわかるが、近代以降にそれを論ずる際に重要なのは、やはり宗教性の位置づけではないか。本書では、その点が物足りなかった。





