若者殺しの時代 (講談社現代新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #94223 / 本
- 発売日: 2006-04
- 版型: 新書
- 201 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
クリスマスが恋人たちのものになったのは1983年からだ。そしてそれは同時に、若者から金をまきあげようと、日本の社会が動きだす時期でもある。「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうすべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである。若い人たちにとって、大きな曲がり角が1983年にあった―80年代に謎あり!ずんずん調べてつきとめた。
内容(「MARC」データベースより)
「若者だってことだけで得をする時代」と「若者だってことだけで損をする時代」というものは確かにある。そして、ある時期を境に、日本は後者の時代になってしまった。その境目「80年代」の謎を、ずんずん調べてつきとめる。
出版社からのコメント
ずんずん調査のホリイ博士が80年代と対峙クリスマス・ファシズムの勃興、回転ベッドの衰退、浮遊する月9ドラマ、宮崎勤事件、バブル絶頂期の「一杯のかけそば」騒動……あの時なにが葬られたのか?
カスタマーレビュー
時代が始まったときに当事者のほとんどは気づいていない
クリスマスには彼女とホテルでエッチ。年越しデートはディズニーランド。送るべき毎日はトレンディドラマのような恋愛至上主義的生活。こんな具合に日本の市場経済は80年代以降、「正しい消費者」像を若者に次々と押し付け、簒奪を始めた。という趣旨の本です。
「若者殺しの時代」というまがまがしく刺激的なタイトルはまずまず当たっていると思うし、書籍の販売戦略上も成功していると思います。いえ、これは決して皮肉や反語的な修辞としていっているわけではありません。事実、よく出来た内容の本だと思います。
ただし、こうした趣旨の本は本書が初めてではなくて、私は今から10年も前に大澤真幸著「虚構の時代の果て―オウムと世界最終戦争 (ちくま新書)」(96年刊)の中で、高度化した資本主義社会で人々は商品にまつわる「物語」を購入し費消するのだ、といった趣旨のことを読んだ憶えがあります。
本書「若者殺しの時代」はまさに大澤真幸が唱えたように、80年代以降の豊かな日本人は、資本主義とメディアが手を携えて次々と繰り出す物語を、我が物にしようと走らされ続けてきたような気がします。
幸い私は80年代の前半はお金のない学生でしたし、後半は東京を離れて地方都市暮らしをしていました。東京で展開されているらしいバブルの乱痴気騒ぎからはかろうじて距離を置いて、農林水産業に携わる人々と親交を結びながら、浮世離れしたほどのどかな伝統社会の中に生きることの意味を考え続けていました。
ですから本書が終章で唱えるように、「いまの社会の要請に応えない」ことで逃げる上で伝統文化を身につけることがひとつの手立てであるというのは大いに頷けるのです。著者は冗談半分に落語や都々逸、古武道などを身につけるべしというけれど、私は土や樹木や太陽を愛し敬った伝統へ帰るというのが、80年代に始まった何かおかしな今の日本から脱する真っ当な手段のような気がしてなりません。
若いことが損であると思う方は是非!
内容を要約すれば,
・もともと社会には子供と大人の2つしかなく,いわゆる大学生くらいは,社会にでる前の大人だった。
・それが,第三次産業(サービス業)によって,つまり大人の都合で,「若者」という概念が定義されて,クリスマスやバレンタインデーやディズニーランドというもので,金を搾取する時代がはじまった。
・それは1970sに定義され,1980sに用意され,1990sにより拍車がかかり,2000sではもはや社会体制と確立し,望む望まないにかかわらず若者はいまや誰も大人としてみなさず,議論や消費の対象として殺されていくという内容です。
具体的に何年に何が登場しているかは,本にくわしく書いてあります。はじめにがなかなか面白くて,自分が若いかどうかは,「若いことが得であるか損であるか」考えた時に,「得に決まっているだろ」というのが,すでに若くない証拠だそうです。若いと損なことって社会には山ほどあるし,逆に年寄りのほうが得なこともたくさんあると。それがわかっていることが「若い」ということなのですよね。それがわかっている方は,是非買っていただければと思います。そうは思えない年寄りにはおすすめできないかな。
まとめは,こうした社会の変化をおっていくと,今日の日本社会というのは,戦後の焼け野原から国を建てなおし,元通りに戻していくという目標にそって運営されていることになるそうです。ただ,この戦後の建てなおしという目標はすでに達成されているのに,まだその体制で社会が運営されているから,社会には目標が見当たらず,このままいけば当然社会は崩壊することになるそうです。これからは新しい目標をもった社会がまた生まれ,今の若者は旧社会の最後の世代ということになると。当然,沈んでいく社会に乗っていっしょに沈むことはない。うまく逃げてください。ただし,ニートなどという社会の監視の目につかまらない方法で。
ということみたいですね。面白い本だったので,損を感じている方は是非よんでいただければと思います。
雑誌のノリで読む、軽めの(だけどユニークな)社会論
80年代から現在まで、社会の何が何故変わったのかを紐解く、というとても面白い発想の社会論・若者論。童話『一杯のかけそば』に対する評価の1989年と1999年での違いから医者・銀行員に対するイメージの変遷を導き出したり、手編みのセーターを編む姿は)「昭和とともに消え去ってしまった風景」であるとか、クリスマスはいつから正月より偉くなったのか、「1983年にセックス場所を選ぶ権利が男性から女性に移った」とか、「NHKの朝の連続小説の視聴率の低下と、社会党の議員数の低下は、原因が同じ」とか、携帯電話の普及と近年のナショナリズム復興の関係とか、「こんな視点があったのか!」というユニークで面白い考え方が満載。週刊文秋の連載をベースにしているので、とても読みやすくて面白い文体。読みながら、結構声を上げて笑った。著者の考えをまとめただけなので、そこに完璧な根拠やデータが無いのは、御愛嬌。雑誌を読む感覚で読む本。
ただ、最後に「日本は早ければ2015年くらいには大きな転換期・混乱期を迎える」とし(そこに明確な根拠は無い)、「若者よ、逃げろ!(但し、逃げ方は指南していない)」と煽動しているのは、あまりに無責任でいただけないので、☆は4つのみ。




