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田中角栄研究―全記録 (上) (講談社文庫)

田中角栄研究―全記録 (上) (講談社文庫)
By 立花 隆

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  • Amazon.co.jp ランキング: #17820 / 本
  • 発売日: 1982-08
  • 版型: 文庫
  • 435 ページ

エディターレビュー

出版社/著者からの内容紹介
きのうまで田中角栄は日本の英雄であった。日中国交回復と列島改造を叫んで華やかに登場してきた男が、実はいま金権政治の元凶として裁かれている。首相の座が金で買われ、政治が金で動かされていった戦後保守支配体制下最大の構造的腐敗の暗部を、厖大な取材データの分析で実証する著者執念の記録。

著者紹介
1940年、長崎に生まれる。東京大学(仏文科)卒、文芸春秋入社、「週刊文春」編集部員。のち東大(哲学科)に再入学。現在、フリー。著書『思考の技術』(日経新書)『中核VS革マル』『日本共産党の研究』(各上下、講談社刊)他。


カスタマーレビュー

記念碑的作品5
いわずと知れた、立花隆氏の代表作である。

上巻には、時の総理大臣・田中角栄を退陣に追い込んだ「田中角栄研究」を始めに、500日以上にわたる田中金脈追及の記録が収められている。

全編を貫くのは、数学的といっていいほどの完璧な論理だ。徹底的な取材により蓄積した膨大な事実の一つ一つを、氏は常に冷徹かつ合理的に解体していく。

立花氏は本書で「カネの力で政治は動く」のだという「日本人の常識」こそが、田中と田中型政治を生んだと指摘している。
この「常識」は、本書の発表から四半世紀を経た今にもそのまま当てはまるのではなかろうか。氏の言葉は、現代に直接向けられているようにも思える。

 月刊誌に掲載された一論文が、結果的に一つの政権の命脈を絶ったという事例は、おそらく世界中捜しても二つと無いだろう。

「ペンは剣よりも強し」を、本当に証明してみせた一冊。その意味で、ジャーナリズム史上の不朽の名作である。

政治を情で捉えない手法に拍手4
政治といえばとかく情で語られる事が多いが、田中角栄が行ってきた事を科学的手法を駆使して、証拠を積み上げ、そこから「これ以外に真実はあり得ない」と感じざるを得ない推論へ落とし込む手腕に、若手ジャーナリスト(当時)の躍動感を感じる。田中角栄が政治の世界でどのような活躍をしたのか、その実績はどうだったのか、などはいくらでも他の本から知る事が出来る。それとは正反対の暗部を、これほど論理的にさらけ出したのは本書が最初であろう。

調査に基づいた大胆な推論がすごい5
田中角栄の人脈、関連会社、金の流れを徹底的に調査して書き上げた「田中角栄研究-その金脈と人脈」他、これに続けて著者が雑誌に発表したものと著者自身による解説が収められている。
立花隆は取材チームの報告をもとに隠された事実を推論し、更なる調査の指示を出していく。20名のチームとはいえ一か月でここまで調査したということにまず驚嘆である。

各記事では会社の登記などの公の事実と関係者からの聞き取りといった情報に加え、著者の大胆な推論が展開されている。例えば越山会へ一回だけ献金したことのある企業をリストアップして、同時期にその業界が有利になる(または不利を免れる)ような政策決定がなされた事実を合わせ、関係者にあたるうちに、田中の集金手法をあぶりだす。それは見返りを期待してなされる自発的なものだけではなく、業界に不利な政策を打ち上げ要求する恐喝型政治献金であった。
金権政治のメカニズムの一端を教えてくれる貴重な書物である。

これを書くことで、身の危険や嫌がらせ、名誉毀損で訴えられることも著者は当然考えた。そのときの腹の括り方もすごい。
「暴力沙汰というのは、要するに、肉体的苦痛を我慢すればすむことだし、(中略)ほかにいくらも食う道はあると思っていたから、さして心配はしなかった。あと名誉棄損の場合は先に述べたようにせいぜい三年の監獄入りですむことなのだ。」