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犬の力 下 (角川文庫)

犬の力 下 (角川文庫)
By ドン・ウィンズロウ

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  • 発売日: 2009-08-25
  • 版型: 文庫
  • 473 ページ

エディターレビュー

内容紹介
血みどろの麻薬戦争に巻き込まれた、DEAのエージェント、ドラッグの密売人、コールガール、殺し屋、そして司祭。戦火は南米のジャングルからカリフォルニアとメキシコの国境へと達し、苛烈な地獄絵図を描く--。

内容(「BOOK」データベースより)
熾烈を極める麻薬戦争。もはや正義は存在せず、怨念と年月だけが積み重なる。叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。アート・ケラーはアダン・バレーラの愛人となったノーラと接触。バレーラ兄弟との因縁に終止符を打つチャンスをうかがう。血塗られた抗争の果てに微笑むのは誰か―。稀代の物語作家ウィンズロウ、面目躍如の傑作長編。

著者について
NY出身。現在はコネチカットとカリフォルニアに在住。NY、ロンドン、アムステルダム他で探偵として働いた経歴も持つ。


カスタマーレビュー

! 怒涛! の展開!とは、まさにこの下巻!5
アメリカとメキシコを結ぶ長距離通路が摘発されたのも、
メキシコで神父が麻薬取引絡みで、射殺されたのも、
1994年暮れにメキシコの大統領候補が暗殺されたのも、
同時期にメキシコのペソの切り下げが突然行われ、
中南米の通貨危機が懸念されたのも、
CIAが共産ゲリラ阻止のために、中南米に
せっせと武器を供給していたのも、これ全部事実。

しかし、それらを紡いで、これほどのクライム・ノベルを
読ませてもらえるとは。
裏切りに次ぐ裏切り。味方は実は偽りの味方。
誰が誰の為に働いているのか?正義も悪もない。
みんな悪か?
ここに登場した主人公たちは皆、手駒の一つとして
どこに向えば良いのかも判らず自分の属するサイドを
右に左に変えながら銃を片手に疾走し続ける。
そしてリアルな戦闘、処刑、殺しの描写。
いったい何百人この下巻だけで殺された事か...
物語を彩った主人公たちが、一人減り、二人減り
最後に本当の地獄絵図が待ち構える。(本の帯の口上に
偽りなし!)
最後の数ページになっても最後の最後に生き残る人間が
見えず、興奮するわ。
ティワナ、サンディエゴの突き抜ける晴天の下の
血みどろの殺し合いを想像してくれ。
やっぱり、現状<ミレニアム>より<犬の力>を推します。
[LA コンフィデンシャル]を超えたかもしれん。
次回作<フランキーマシーンの冬>早めにお願いします。

30年にわたる麻薬戦争を描いた、読み応え満点の一大サーガ5
その作風から“アメリカ文学界の狂犬”とも呼ばれているLA4部作で有名な暗黒小説の大家ジェイムズ・エルロイにして「この30年で最高の犯罪小説だ」と言わしめた、ドン・ウィンズロウの、30年にわたる麻薬戦争を描いた入魂の大長編。

血みどろの麻薬戦争に巻き込まれたDEA(麻薬取締局)のエージェント、ドラッグの密売人たち、高級コールガール、殺し屋、そして司祭。戦火は南米のジャングルからカリフォルニアとメキシコの国境地帯へと達し、’75年から’04年までの約30年にわたって苛烈な地獄絵図を描く。

本書は、麻薬カルテルの密輸の実態、組織化、陰謀、暴力抗争、政治的暗躍と権力との癒着、それにともなう政治・官憲の腐敗と、復讐、暗殺、そしてそれらに立ち向かう正義、人々の愛憎、何よりもまして裏切りにつぐ裏切りの構図のそれぞれを余すところなく、史実をまぶしながらもあぶりだしている。

それにしても激しい小説である。私はウィンズロウの作品を読んだのはこれが初めてだが、巻頭の「主な登場人物」が次々と殺されてゆき、血塗られた抗争の果てに生き残って微笑むのは誰か・・・、ウィンズロウの現在形・言い切り型のハードな文章に臨場感をあおられて、文庫上・下巻にして1041ページの厚さにもかかわらず、最後の最後まで目が離せず一気読みしてしまった。

本書はまさに、ウィンズロウが渾身をこめた、読み応え満点の一大サーガである。

現在も進行中のメキシコ麻薬戦争クロニクル5
 日本人にとってメキシコの麻薬戦争は太平洋の彼方の遠い世界の出来事です。本作がどれくらい現実とリンクしているのかネットでざっと調べてみました。南米の麻薬といえばコロンビアが有名ですが、それに比べてメキシコの記述はほんの僅かしかありませんでした。アメリカとメキシコの麻薬戦争に関して邦文で体系的に知りたてれば本書を越えるものは見当たりません。ニュースサイトを見るとメキシコではあまり小説の舞台と変わらないようです。本書を読めばなぜメキシコからアメリカへの麻薬の流入が止まらないのか、メキシコの麻薬はどこから来てどこに流れるのか、更に今までニュースでしか知らなかったイラン・コントラ事件の背景も本書を読みながら学ぶことができました。

 しかし本書の魅力は詳細な取材によるリアリティだけではありません。文庫本上下巻たっぷり1000頁、十数人の登場人物の世界にすんなり入り込ませるウィンズロウの筆力はすばらしい。裏切りに次ぐ裏切り、おびただしく流れる血、それぞれの思惑、毒をもってしか制せない毒に対峙して、自らも毒まみれになってもなお、どちらかが滅ぶまで続けなければならない戦いの輪廻を十分に味わうことができました。限りなく09年ベストに近い出来栄えです。