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亜愛一郎の逃亡 (角川文庫)

亜愛一郎の逃亡 (角川文庫)
By 泡坂 妻夫

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  • Amazon.co.jp ランキング: #519181 / 本
  • 発売日: 1989-06-25
  • 版型: 文庫
  • 355 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
フツ国国王、碩学にして芸術家でもあるトレミー大博士の病状が回復、大博士を思慕する世界中の人々が愁眉を開いたというニュースの後、テレビは北海道・東北地方を襲った地震をマグニチュード7と告げた。突然の地震、例年にない大雪で北国宮後市のホテルニューグランド宮後は一人の客もいなかった。追い打ちをかけるように殺人事件が発生、逃亡中の犯人は、一見背の高い優男の精神病患者と伝えられる。直後に全身雪まみれの男が二人飛び込んで来た。一人は上背も品格もある美男子、一人は猪首で人相のよくない男。二人は冬の最中に「ミミズ、ミミズ」とわけの解らないことを口走っている。さては犯人と、追いつけた時、人魂が二つ飛んで二人はかき消えてしまった。愛一郎最後の事件簿、そして逃亡。


カスタマーレビュー

亜愛一郎の正体がついに明らかに!!5
◆「赤の賛歌」

  赤を基調とした画風で、一世を風靡した鏑鬼正一郎も現在では、画壇を牛耳る、
  ドンとしての政治活動ばかりが目立ち、絵からはかつての輝きが失われていた。


  母を火事のために亡くした鏑鬼正一郎を弟とともに
  引き取り、育てた伯母夫婦のもとを訪ねた亜たち。

  そこで聞いた話から、亜は鏑鬼正一郎の驚くべき秘密を見抜く……!!


  ケガをしても絶対に赤チンを使わず、スジコやイクラ、タラコ、西瓜が嫌い。
  お酒は好きだが、ワインやブランデーなどは駄目――。

  こうした伯母たちによって何気なく語られる鏑鬼の嗜好や少年時代の  
  エピソードと彼の画風とを結びつけ、秘められた真相を見破る亜。

  手がかりの配置が絶妙かつフェアで、終盤に伏線が
  漏れなく回収されていくのが、実に気持ちいいです。

  また、亜と同行する男嫌いの美術評論家もいい味だしてます。



 ▽付記

  米澤穂信さんは『クドリャフカの順番』の中で、文化祭における美術部の
  展示作品名を「青の賛歌」としており、本作にオマージュを捧げています。

さよなら、亜愛一郎5
◆第一話「赤島砂上」

 裸体主義者クラブ(!)の集会が舞台。

 
 トリックは、今では普通にことわざとして流通している
 〈ブラウン神父〉シリーズの「アレ」が用いられます。



◆第二話「球形の楽園」

 完璧な密室状態の丸いカプセルの中に、前頭部に打撲傷、
 背中に突き傷を負った男の死体が…。


 強迫観念に囚われた人間の視野の狭さには、
 身につまされるものがあります。



◆第三話「歯痛の思い出」

 病院での呼び出しである、


 「亜さん、井伊さん、上岡菊けこ……?」


 が、とにかく印象的。



◆第四話「双頭の蛸」

 北海道の湖に現れたという双頭の蛸を取材するため
 駆けつけた記者が遭遇した殺人事件。


 一枚の写真を見るにしても、人は自分の
 「見たいもの」しか見ない、ということでしょう。



◆第五話「飯鉢山山腹」

 車体に書かれていた「ニウ島産(屋島ウニ)」の謎。



◆第六話「赤の讃歌」

 赤を基調とした絵で名を成し、
 画壇のドンにまで上りつめた画家の話。


 終盤、すべてが裏返され、反転していく、
 逆説の論理が展開されていきます。



◆第七話「火事酒屋」

 火事が好きでたまらない酒屋の主人が遭遇した
 不審火の現場から発見された他殺死体。

 主人は放火と殺人、二つの容疑をかけられるのだが…。


 集中の白眉。

 背が低いために、消防士になれなかったという
 酒屋の主人の人物像が、事件の構造と有機的に
 結合しているのが、じつに秀逸。



◆第八話「亜愛一郎の逃亡」

 雪中の離れから、亜はどのようにして
 足跡を残さず、忽然と姿を消したのか?


 亜の正体が明らかに。

 祝祭的なラストの幸福感は格別です。



トリック が好きな人には是非!5
面白いですよ。主人公は絶世の美男子、お洒落、浮世離れしていて、
ところが推理するときのかっこ悪さ、がコメディーになっていて、
素敵な作品です。チェスタトンではないですが、読後の何気ない社会生活の中でも、
からくりをふっと思い出す後味の{いい}作品です。
 主人公を取り巻く美醜取り混ぜた登場人物たちのあくの強さがまた笑えます。
 主人公は{つねに}おっさんを伴って(というか伴われて)登場し、唯一?女性と
登場した話にしても、(3部作の中の別の巻ですが)おっさんみたいな行動をする美人研究者。美青年とおっさんが田舎に連れ立ってきてなにしとるんだ、という胡散臭さ、コメディーとしてだけでなく、ちゃんと筋にも関わってきます。そして退場するときも、またおっさんとともに。可愛い女の子に片思いされてても気づかずに?一方的に幻滅されて終了ー。
 映像化してほしい作品なんですが男性俳優が思い当たりません。知的な、高身長の、白皙の美青年。女性が全然本筋に絡んでこないのも映像的にきついか。
 富豪刑事、の手で、仲間ゆきえさんに亜愛一郎の娘、って設定でパンツスーツで決めて演ってもらって、周りを固めるおっさんたちをお笑い系のあくの強いおばさん芸人さんたちにやってもらったら、なんて妄想が膨らみます。毎回、美男ゲストを配置して、淡い片思いを。
 お笑い要素ばかり強調しましたが、心理トリック、動機、斬新な切り口ばかりでお買い得です。
 最後のこの巻で、私たちに淡い片思い?の感情を残させたまま、亜愛一郎は逃亡していくのでした。