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亜愛一郎の転倒 (角川書庫)

亜愛一郎の転倒 (角川書庫)
By 泡坂 妻夫

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  • Amazon.co.jp ランキング: #395276 / 本
  • 発売日: 1986-11
  • 版型: 文庫
  • 374 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
集中豪雨がもたらした土砂崩れで、列車は駅と駅とのド真中で完全にストップ。満員の乗客たちは復旧を待つことにしたが、先を急ぐ三人の男たちは徒歩での山越えを決意した。またたく間に道にまよい、野宿をする破目になったが、翌日も脱出できなかった。途方にくれる一同、その時幸いにもポツンと遠くに人家の灯が見えた。一夜の宿を借りたのはよかったが、これが災難の始まり。前の晩、たしかに隣りに見えた合掌造りの大きな家が、翌朝には跡形もなく消え失せていた。この地方の伝説どおりの怪事件が勃発した!名探偵亜愛一郎が活躍する傑作事件簿第2弾!連作短編集。


カスタマーレビュー

白昼の病院で起きた事件5
◆「病人に刃物」

  盛栄堂病院の屋上。
  衆人環視の状況下で、堤という男が刃物によって死亡した。

  ただ、奇妙なことに彼は階段に躓き、転倒しただけで、
  誰かに直接、刃物を突きたてられたわけではないのだ。

  のちに、堤が以前入院していた際に同室だった磯明(本作の視点人物)の
  所持するナイフが凶器として発見されるのだが、磯明に身に覚えはなく……。


  偶然に因るところが大きい、本作の事件。
  凶器の所在と「共犯者」の弥縫策がポイントです。

  また、本作のトリックの根幹をなすネタは、きわめて社会派的。
  できたら一生、関わり合いになりたくないですね。

心のない悪=「亜」5
◆第一話「藁の猫」

 完璧な写実性で有名な画家の内縁の妻が服毒死した。
 そして、なぜか遺体の手には藁の猫が握られていて…。


 前作『狼狽』の「DL2号機事件」と同じテーマが変奏されます。



◆第二話「砂蛾家の消失」

 (人家消失)という大ネタですが、
  仕掛け自体は至ってシンプル。

  動機の必然性の演出が見事です。



◆第三話「珠洲子の装い」

 飛行機事故で死んだ流行歌手の名を冠した
 映画のオーディションでの出来事。


 これぞ逆説、という論理が冴えわたります。



◆第四話「意外な遺骸」

 手毬歌に見立てられた他殺死体の謎。


 死体の死因がとにかくユニーク。
 廻文のお遊びも楽しいです。



◆第五話「ねじれた帽子」

 落とした帽子を頑として受け取らない男の謎。


 冒頭、無造作に示される伏線が、とにかく洒落ています。



◆第六話「争う四巨頭」

 第一線を退いた、同郷の政財界の大物4人。
 人目を避けて、彼らが会合するのはなぜなのか?


 「知」の喜びや、それまで気づかなかった自分の
 嗜好を知ることこそ、人生の醍醐味でしょう。



◆第七話「三郎町路上」

 タクシーの後部座席に突然出現した死体の謎。


 昆虫学者・響子の姐御っぷりが忘れがたい印象を残します。



◆第八話「病人に刃物」

 「転倒」がキーワード。

 誰の身にも起き得る危険ですが、
 最終的には因果応報というところ。


 作中の、勘違いコント風の会話に、現代でも
 決して色褪せない著者の洒脱さを感じます。