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亜愛一郎の狼狽 (角川文庫 (5735))

亜愛一郎の狼狽 (角川文庫 (5735))
By 泡坂 妻夫

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  • Amazon.co.jp ランキング: #716796 / 本
  • 発売日: 1985-03-10
  • 版型: 文庫
  • 411 ページ

カスタマーレビュー

「消えるドクロ」という小道具も秀逸5
◇「掘出された童話」

  偏屈で知られる会社社長・池本銃吉が、76歳になった時、喜寿の祝
  ならぬ「詫寿の祝」をするということで、盛大なパーティが開かれた。

  そこで、引出物として配られたのが、池本が自費出版した童話。

  その童話は、辛うじて文章として成立しているものの、意味不明な上、誤字まであり、
  編集者がそれを訂正して印刷すると、元の原稿に戻して刷り直せ、とまでいう始末。


  なぜ池本は、そこまでその童話にこだわるのか?



  《暗号ミステリ》の傑作。
  暗号作成者の性格や過去の職業から、亜は見事に暗号を解読してみせます。

  《暗号ミステリ》という理知的な物語に、超自然的要素を巧みに
  絡ませ、読者を最後まで惹きつける作者の手際は流石です。

連作短篇ミステリの最高峰5
◆第一話「DL2号機事件」

 爆破予告された飛行機に、あえて乗る男の真意は?


 「常識」に安住することの危うさ。
 「常識」が非常識に反転する構造が描かれます。


◆第四話「掌上の黄金仮面」

 巨大弥勒菩薩像の手の上に立つ怪人―。


 乱歩テイスト溢れる舞台設定は、
 決してこけおどしではありません。

 この状況だからこそ犯行に至ってしまった犯人の
 心理の形成過程が無理なく説得的に描かれています。


◆第五話「G線上の鼬」

 市道G号線で、タクシー強盗が殺害された事件。


 強盗を「鼬みたいに陰険〜」と表現したタクシー運転手。
 なぜ「狐みたいに」ではないのか?

 不可解にみえて、実は単純な
 人間心理の機微が暴かれる、集中の白眉。


◆第七話「ホロボの神」

 戦時中、南アジアの小島ホロボで原住民の
 酋長が日本兵の拳銃を使って自殺した。

 しかし、はたして彼らに「自殺」という概念があるのか?


 異なる文明の邂逅によって生み出される密室状況と、
 犯人の犯行動機の設定の見事さに舌を巻きます。


◆第八話「黒い霧」

 早朝の商店街にばら撒かれた大量のカーボン。


 スケールの大きなトリックの必然性が説得的に解明されると
 同時に、亜によって、見事な犯人限定の論理が展開されます。

 冒頭と結末が美しく円環を結ぶかのように収束する佳編。